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民主化あり得ず、中国市民意識調査で強い保守色

 全国規模の選挙も世論調査もない中国で、政治意識が探れる市民意識調査が公表されました。結果は驚くほど保守色が強く出ており、国民が自発的に民主化を成し遂げる可能性はゼロに等しいと読めます。自由化を求めるネット上の声が目立ってもあだ花にすぎず、11日の報道ではさらなら大学での思想統制が伝えられました。改革開放が始まった1988年の調査と比較して西洋化の受け入れは後退しており、中国共産党による政治意識「刷り込み」が大きな成果をあげていると知れます。深刻な大気汚染や河川・土壌の汚染など人間の生存を脅かす環境問題しか、民主化の糸口は残らないとみるべきでしょう。

 kinbricksnow.comの《中国に“右派”は8%しかいない、『中国人はどんな民主を求めているのか』著者インタビューを読む》は2011年に北京など規模が違う大小4都市で、18歳以上の市民1750人を対象に実施された30問のアンケート調査について、中国社会科学院政治学研究所政治文化研究室主任、副研究員の張氏から聞いています。

 西欧民主主義・自由主義志向を右派、毛沢東時代に郷愁を持つ全体主義志向を左派とすると「現在、中国社会において左派38.1%、中間派は51.5%、右派は8%」との結果になりました。中間派とは「民主が良いものであれ悪いものであれ、中国の国情に合致しているかを見なければならない。米国と中国を簡単に比較してはならない」とする主流メディアの見解を支持するグループです。これにより「中国人が求める民主とは、法治よりも徳治を優先、市民の権利と自由の保障よりも汚職の解決と市民による政府監視の実現を優先」など中国独自のものと言います。

 調査の対象は都市だけで、人口の6割を占める農業籍の地方住民は含まれていません。地方は更に保守色が強固と見られますから、国民全体としてみれば自由化を志向する割合は僅かになります。

 張氏は1988年にも設問20問が共通の調査をしています。「1988年の調査では、調査対象の西洋化の水準は現在よりもよっぽど高かったのです。当時は改革開放が始まったばかりで、社会は西洋のものに対して受け入れる姿勢を示していました」と、今回の後退した調査結果は意外だったと答えています。

 1990年代初めに小平から権力を受け継いだ江沢民政権は、中国共産党による統治の正統性を確認させるべく、反日教育を含む愛国主義教育を徹底して行きました。個人の身上調書に当たる「人事档案(とうあん)」を職場の上司が書いて、職場を変えても一生ついて回る仕組みが維持されている中国ですから、思想信条についても目に見えない縛りが張り巡らされているのも同然です。第320回「中国政府主導だった反日デモと愛国教育の正体」で刷り込み教育の証言・実態について書いています。

 新たに思想統制を強める動きが出ています。共同通信の《中国当局「報道の自由」教えるな 大学に指示》はこう伝えています。《北京や上海の大学に対し、「報道の自由」や「公民権」、民主や人権の尊重を意味する「普遍的価値」など7項目について授業で教えてはならないとする指示を出した》《ほかに禁じられたのは「公民社会」「共産党の歴史的誤り」「司法の独立」》。残り1項目は「権貴資産階級」で権力と癒着して富を蓄えている新たな社会階層を指します。

 一般市民に対して西欧型の見方・考え方をさらに覆い隠す動きです。ネット上では監視網を大量動員した言葉狩りが実施されており、メディアも検閲下にあり、さらに大学の授業でも語るなと進んできました。「司法の独立」まで語るなとは、第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で描いたように環境問題のアキレス腱にもなっているからでしょう。


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