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年金制度欠陥と高齢化が中国財政破綻を呼ぶ

 先週、中国の60歳以上人口が2億人を突破、中国政府の債務残高は地方の隠れ借金に年金債務を入れるとGDPの90%にもと、気になる報道が相次ぎました。中国の経済成長を束縛する内在要因は根が深いと知れます。人口学は65歳以上人口の割合が7%以上の社会を高齢化社会、14%を上回った社会を高齢社会としています。東アジアで日本は既に24%と高齢社会に入り、韓国が2018年頃、中国は2025年頃に仲間入りします。問題はその時の社会の豊かさで、日本はGDP1人当り4万ドルあったのに、韓国は現在2万ドル余り、中国は6千ドルに過ぎません。


 人口が日本の10倍もある中国の老齢化を論じる際、日中それぞれの国内比率だけではイメージが湧かない面があります。絶対的な人口ボリュームが見えるように日中の高齢化推移を同じ縮尺のグラフにしました。既に緑色の65歳以上人口だけで日本総人口を上回っている上に、世紀半ばにかけて3億人を超す膨大な数に膨らみます。また、このグラフからも読み取れるように中国の生産年齢人口(15〜64歳)は今がピークで、2011年から減少に転じています。(人口出典:日本中国

 レコードチャイナの《「白髪の中国」へ、初ピーク迎えた中国の高齢者人口増=問題山積み―中国専門家》がこう報じました。「2013年、中国の高齢者人口は2億の大台を突破して2億200万人に達し、総人口の14.8%を占めるまでとなった。1950年代の『ベビーブーム』に生まれた人々がいま、最初の高齢者人口増のピークを形成している」「現在、高齢者人口は年平均800万人ずつ増加しており、2050年には4億3000万人に達する見通し。その時には、中国では3人に1人が60歳以上の高齢者となる計算だ」

 65歳以上人口ではなくて60歳以上を問題にしているのは、中国の定年退職が日本よりも早いからです。日本総研の『中国における少子高齢化とその社会経済への影響』は「定年とは、男性が60歳、ホワイトカラーの女性が55歳、ブルーカラーの女性が50歳(ただし勤続10年以上)であることを意味する」「退職とは、所定の年齢を満たし、または労災、病気で働く能力を完全に失った者が職場を退いて年金等の社会保障制度を享受することである」とします。

 実際の退職平均年齢は52歳前後との指摘もあり、退職して年金を得るべき層はグラフ緑部分の1.5倍から2倍にもなりかねません。実は、曲がりなりにも年金制度が整備されているのは都市の住民だけで、人口の3分の2もいる農業戸籍の地方住民には試行が始まった段階です。グラフ緑部分には年金保険の保障がなく、福祉政策で手当すべき高齢者が多数含まれます。

 現在、中国の年金積立総額はGDPの2%程度しかなく、日本の25%などと比べて大きく見劣りします。ジェトロ・アジア経済研究所の『中国都市部における公的年金制度改革と所得移転』によると経緯はこうです。「1995年と1997年に中国都市部の企業部門について賦課方式から部分積立方式に移行する等の抜本的な年金改革が実施された」。しかし、部分積立方式に移行するにあたり、従来の積立金はゼロだったので2000年GDPの75%に当たる年金純債務が発生したが、「政府はその存在自体を認識しておらず、その処理について具体的な方策も打ち出さなかった」

 政府債務がGDPの90%にもなると伝えた日経新聞の《中国、地方の「隠れ借金」拡大 GDP比50〜60%》の背景はこれだったのです。公表ベースの政府債務残高はGDP15%と財政健全ですが《中国の招商証券や華泰証券が推計している地方政府の「隠れ借金」は約15兆元。項懐誠元財政相は「20兆元以上」という見通しを示す。これを反映させると、中国の政府債務はGDP比で50〜60%に跳ね上がる。このほか、旧鉄道省の鉄道建設債務や年金債務などの公的な借り入れもある。「広義の負債まで入れると政府債務は90%を超える」(華泰証券)》

 ロイターは昨年、《中国も年金危機、高齢化で「時限爆弾」》で「中国国務院(内閣に相当)は年金基金の積み立て不足解決の1つの方策として、定年退職年齢の引き上げを検討している。国民受けは悪い政策だが、それ以外に選択の余地はほとんどないだろう」と伝えました。

 この超不人気政策を高齢社会に入るまでに実現させるのは習近平政権しかあり得ません。しかし、上記『中国における少子高齢化とその社会経済への影響』は「反対する意見も根強くある。大卒者の就職難が社会問題化している今、各レベルの政府機関、国有企業、大学・研究所など労働条件の良い所に定年を延ばす人が堆積すると、若者の行く道が狭まり、それに対する不満が高まる。そもそも定年の引き上げを支持する者は特権を握る社会的強者が多い。地位が高く、資源の配分で有利な立場にいる人は、その利権を手放したくないだけだとの批判もある」と厳しい内情を指摘しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー


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