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中国で暴露、ぼろぼろの環境行政と水資源管理

 春節が終わって大気汚染が改善しないばかりか、中国からは環境汚染で国土も国民も悲惨なニュースが矢継ぎ早に流れてきます。権限が弱い中国環境保護部がこの際、ぼろぼろの環境行政の実態を見せたいかのようです。人間が生きていく上で空気とともに欠かせないのが水です。その水資源管理も破綻に直面しているのが現状と伝わります。どのニュースも日本ならば新聞の1面トップクラスなのに、あまりに淡々と伝えられるので価値判断が狂ってしまいます。

 強烈だったのはレコードチャイナの《中国当局、環境汚染が原因の「がん村」の存在認める=全国に100カ所以上―中国》です。有害な芳香族化合物の大量流出事件や違法な排出・廃棄が全国規模であり、規制する環境行政が後手に回っているために、取り返しがつかないほど住民被害が拡大しています。

 《中国環境保護部が発表した「化学品による環境リスク防止・制御に関する第12次5カ年計画」によると、中国政府は第12次5カ年計画(2011〜2015年)中に人体や生態環境に深刻な影響を及ぼす化学・工業汚染物質3000種以上に対し、全面的な防止・改善措置を施す予定だ》《計画によると、化学物質による環境汚染によって多くの地域で飲用水の深刻な汚染が発見されているだけでなく、がん患者が多発する「がん村」も全国に存在している。中国メディアの報道によると、その数は100カ所以上に上る。「がん村」は当初、海外からのアウトソーシング産業の発達が最も早かった東部沿海地域に集中していた。しかし、東部沿海地域の産業構造の調整や環境保護政策の強化によって環境汚染に関連する産業が内陸部へ移転し、それにともなって汚染エリアや「がん村」も内陸部へと徐々に拡大している》

 時事通信の《97%の都市で地下水汚染=高まる危機感―中国》も、日本ならとんでもない大騒ぎになるほど悪質です。化学工場や製紙工場が有害汚染水を高圧で地下に注入して、正規の廃水処理をサボっています。

 《中国の64%の都市で、地下水が深刻な汚染に見舞われていることが分かった。118都市で継続して調査したデータを基にしたもので、33%の都市も軽度の汚染があるといい「基本的に地下水が清潔な都市」は3%にとどまった。「このデータを報じた17日の中国紙・南方都市報(電子版)は「中国の地下水汚染は既に直視せざるを得ず、根本的に抑制せざるを得ない時に来ている」と危機感を訴えた。中国では水資源全体の3分の1を地下水に依存。高度経済成長により化学工場などが排出する汚水が地下に流れ込むケースが深刻化しているほか、有害物質に汚染された地下水を飲用することで健康被害も拡大しているとされる》

 水資源について調べてみると、大和総研から「中国における水環境問題〜深刻化する水質汚染問題の現状と中央政府の施策」がリリースされています。そこから「図表2 中国行政区別の一人当たり水資源量(2006年)」を以下に引用します。


 中国は長江など大河があって水は豊富でも、人口も多いために1人当たりなら豊富とは言えません。その上に広い国土で偏在しており、このグラフの通り、北京、上海、天津の重要な直轄市などは軒並み「年間1人当たり500立方メートル以下:絶対的水不足の状態」にあります。大都市は特に低く水資源量は上海154、北京142、天津96立方メートルしかありません。

 文部科学省の報告書にある、日本国内の記述と比べてください。《日本の水資源使用量は、生活用水に国民1人当たり1年間に約130立方メートル、工業用水の淡水補給量が1人当たりに換算して約110立方メートル、そして農業用水が約460立方メートルで、合計約700立方メートルになる》。北京、上海の水資源は日本で生活用水をまかなうだけの線に近いのです。

 北京では地下水に頼る割合が高く、地下水位は年々低下する一方です。他の大都市も似た状況で、地下水の工業廃液汚染は致命的です。水資源の豊富な南部の長江などから北部へ水路を造る「南水北調事業」が一方で進められていますが、工事は大幅に遅れており北京市への導水の見通しは立っていないようです。それでも人口の都市集中は止まりません。全国では3億人が飲用水に事欠く有り様とされています。

 ぎりぎりの資源が汚染の危機に瀕している中で、閣僚級である環境保護部長の2007年の発言を、大和総研のリポートが収録しています。《地方政府の幹部の環境責任を問う制度を導入した理由について、「いくつかの地方政府は区域・流域の環境許容能力が限界に近づいているにも関わらず、盲目的にGDP成長率のみを追求し、国家全体の利益や大衆の健康すら犠牲にしてまで少数(筆者注:地方政府の幹部や企業を指すと考えられる)の特定利益を保護している。このような状況を改善するためには教育や啓蒙だけでは不十分であり、強力な抑制メカニズムが不可欠である」》

 今回の重篤スモッグでも犯人の一角、自動車燃料の品質規制強化を環境保護部が求めても、最高指導部と結びついている国営大企業の壁を前にして遅々として進みません。これを好機と実情をぶちまけているのでしょうか、東京新聞の《中国、汚染通報2・6日に1件 半数は危険な化学製品》には《中国環境保護省は23日までに、同省に対して2008年から11年までの4年間に通報があった環境汚染は568件だったと発表した。平均で約2・6日に1件の通報があった計算となる。うち約半数の287件は危険な化学製品による汚染で、違法な垂れ流しや、生産過程や輸送中の事故が原因という。同省は「深刻な健康被害と社会問題を引き起こしている」と危機感を表明》とあります。環境保護部が正式で、日本政府と対応するよう「省」に変えて報道している場合があります。

 【参照】「インターネットで読み解く!」
     『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない
     日本への中国重篤スモッグ流入ぶり連続アニメ
     第343回「中国大気汚染の絶望的な排出源構成と規制遅れ」


コメント
NHK"70年代われらの世界"('70年4月〜75年11月)という番組という番組をご存知ですか。当時小学校低中学年だったわたしに強烈な印象を残した番組です。
今の中国はまさにこの番組の状況を40〜50年遅れで体験しているように見えます。キーワードは公害、新幹線、オリンピックです。人口爆発は一人っ子政策でなんとか回避しているようです。
この番組の録画・フィルム・録音が残っていれば中国国民に見せることで意識改革ができるのではないかと思うのですが。
今のNHKがこの様な番組を制作する能力があるとは思えないことが残念です。
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