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科学者・技術者への不信感と原子力学会の欺瞞

 東日本大震災と福島原発事故を受けた平成24年版科学技術白書はかなり苦渋に満ちたトーンになっています。メディア報道は科学者・技術者への国民の信頼が揺らいでいると伝えましたが、不信感の段階まで進みつつあると感じます。過去の失敗を認めて挽回すべく率先して努力しているならまだしも、原子力学会は政府や国会の事故調査委が報告を出すこの時期に、これから事故調を立ち上げ、来年末の報告を目指します。それで自己満足以外に何の役に立つのか、科学技術者の社会的な責任はどうしたと国民から思われて当然です。

 白書第1章第2節「科学技術政策に問われているもの」に震災前後での国民意識の断絶が現れています。《今回の地震・津波や原子力発電所事故により、科学者や技術者に対する国民の信頼感は低下したと言わざるを得ない。科学技術政策研究所の調査によると、震災前は12〜15%の国民が「科学者の話は信頼できる」としていたのに対して、震災後は約6%と半分以下にまで低下している。「どちらかというと信頼できる」を含む肯定的回答の割合を見ても、震災前に76〜85%だったものが、震災後は震災前より10ポイント強も低い65%前後で推移している》とあります。次はもう一歩、踏み込んだ設問です。


 《震災前は「科学技術の研究開発の方向性は、内容をよく知っている専門家が決めるのがよい」との意見について、「そう思う」と回答した者が59.1%であったのに対して、震災後は19.5%へと1/3程度にまで激減している。「どちらかというとそう思う」を含む肯定的回答の割合を見ても、震災前は78.8%であったのに対して、震災後は45.0%へと大幅に低下している》

 震災前の回答ならば、ほぼ専門家に丸投げの意識と見てかまわないと思います。しかし、震災後には肯定派45.0%に対し前は極小だった否定派が半分の22.3%もあります。「どちらともいえない」が29.6%まで増えているので、これでは専門家に判断を委任しているとは到底言えません。

 この不信感は地震予知の失敗もあるでしょうが、原発事故対応の底なしの無惨さや放射線被曝影響について出された情報のいい加減さなどが非常に大きく働いたと思います。政府の出す食品や環境の基準を信頼しない市民が多数、存在するようになりました。専門家の否定そのものです。

 世界最大級になった福島原発事故を専門領域に抱える日本原子力学会は、3月の定期大会で事故の真剣な究明をしてこなかったと身内から批判を浴びました。アリバイ作りのような取りまとめ作業を専門委で始めたものの、結局は「福島原発:原子力学会が調査委 発生1年3カ月でやっと」(毎日新聞)となりました。

 《発生から1年以上たってからの発足について、調査委員長に就任する田中知(さとる)・東京大教授は「遅いとの批判もあろうが、廃炉作業の過程で判明する事実もある。今だからこそ俯瞰(ふかん)的に事故を見つめられる」と説明した》

 《東電や政府が公表したデータを活用して》調査とあるので、新しいデータを発掘する気はないようです。それなら専門スタッフが手薄な政府や国会の事故調に全面協力して、専門家の視点で切り込んでいくべきでした。国の事故調が夏場に報告を出し、それに基づく公的措置が採られた後の来年末に報告を出す意義が説明されていません。国の事故調報告を踏襲するのなら意味はありませんし、それを否定する画期的な中身になるのなら「証文の出し遅れ」として、逆に社会的な批判を受けるのではありませんか。どちらのケースも国民からの不信を増幅するだけです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


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