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高速炉もんじゅ落下装置引き上げに工学的無理

 福島第一原発事故の影響もあって福井県敦賀市にある高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転も廃炉も出来ない惨状に関心が集まっています。そして、重量3.3トンもあり落下したままになっている炉内中継装置の再引き上げが来週にも実施されそうですが、昨秋の失敗に続いて今回も不可能ではないかとの工学的疑問を投げかけておきます。これで失敗したら東の福島に西の福井と、長年にわたり尾を引く原子力の厄介者を東西に抱え込む事態になります。

 昨年の引き上げ失敗は、落下の衝撃で筒状の炉内中継装置が曲がってしまい、原子炉上蓋の穴から抜けなくなって起きました。この穴は燃料出入孔スリーブと呼ばれる外径640ミリ、内径465ミリの筒状部品です。今回の引き上げではこのスリーブごと蓋から外してしまう大がかりな方法が考案されました。原子炉内部には200度以上の危険な高温液体ナトリウム、それを空気から遮断するアルゴンガスがあるために、安全に引き上げるための工夫が色々と凝らされているようですが、日本原子力研究開発機構は肝心な点を忘れています。

 20年前にこの原子炉を造った際には高温液体ナトリウムはまだ入っておらず、室温の環境で建設が進みました。200度もの高温が存在すると鋼材は無視できない膨張をします。最近になって炉内中継装置の関連資料をネットで見つけ、蓋とスリーブの構造を推定することで定量的な検討が可能になりました。


 上の図は「図12.2-2強度評価部位」を加工したものです。固定プラグと呼ぶ原子炉上蓋にスリーブが組み込まれ、その中に炉内中継装置がはまっています。装置がスリーブにぶつかった際の衝撃を評価する図で、赤く塗られた鋼材骨格の太さと熱伝導性の良さを考えると、赤い部分はほぼ室温に近いと考えます。その下にスリーブの中間段差があり、蓋側の内部には断熱材と思われる層が幾重にも重なっています。スリーブは上部と下部に空洞を持つようです。

 話の見通しを良くするために簡単なモデルを考えます。スリーブは段差がない直径500ミリ、建設時の蓋側の穴は片側0.1ミリのすき間があるとして500.2ミリ、中間段差部は最上部の室温より50度プラス、最下部の原子炉側は室温プラス200度とすれば、スリーブと蓋の穴の直径は鋼材の膨張を考えると現在、以下のようになっています。

           温度  スリーブ直径  蓋の穴直径
   スリーブ頂部  室温   (500.0ミリ) (500.2ミリ)
    中間段差部  +50度  500.3ミリ  500.5ミリ
      最下部  +200度  501.2ミリ  501.4ミリ

 スリーブ最下部を引き上げていけば、中間段差部に到達する以前に蓋の穴より直径が大きくなって抜けなくなります。もしスリーブだけ抜いていくのなら時間を掛けて温度が周囲の穴の温度まで下がるのを待つ手があります。しかし、スリーブは炉内中継装置を抱いていて、装置の下部は液体ナトリウムに浸かっていますから200度以上の高温は絶えず伝わってきます。スリーブと蓋の穴の間に最初からコンマ何ミリものすき間があれば抜けますが、アルゴンガスを封じ込める機能を考えれば、すき間はずっと小さく造られた可能性が高いとみるべきでしょう。機構側には建設時のすき間データが残っているはずですし、蓋の穴について裏側構造や熱容量のデータなども検討すべきですが、公開されていません。

 【参照】高速炉もんじゅ関連エントリー


コメント
素人ながら、熱膨張を考えるということであれば、フタの穴のほうについては
直径が狭くなる方向に考えるような気もしますが、どうなのでしょう。

色々と資料を読んで私なりに考えたことについて、つらつらと書いてみます。

資料1.http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/ivtmhoukoku/houkoku4.pdf
資料2.http://www.atom.pref.fukui.jp/ankan/173/giji.pdf
資料3.http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/ivtmhoukoku/houkoku12.pdf
資料4.http://www.jaea.go.jp/04/monju/category05/mj_kiseki/kiseki_html/kiseki3301.html
資料5.http://www.jnes.go.jp/content/000009651.pdf
資料6.http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/28244.html
資料7.http://www.jaea.go.jp/04/turuga/monju_site/pdf/rcrgaiyou.pdf

資料1の図7-4だとスリーブ内径などがよくわかります。
上半分が内径500mmで、外径は640mmだと思われます。
下半分が内径480mmで外径は不明。資料2の図14-4をあわせて見ると、
一番下の部分の内径が少し狭くなっており465mmということのようです。

資料2や報道を見る限り、ナトリウム液面は通常レベル(NsL)よりも3.2m低い
システムレベル(SsL)まで下げているようです。これはカバーガスの厚さを確保し、
ナトリウムと空気の接触を断つためだと思われます。
資料3の図14-4を見る限り、液面はしゃへいプラグの下面から370cm下にあるということになります。
炉内中継装置は、下部の約3mだけがナトリウムに漬かっている状態だと思われますので、
炉内中継装置からの熱伝導は、しゃへいプラグ下面のあたりではあまり考慮する必要はなさそうです。

断熱材と書いておられる部分は、資料4にあるように熱しゃへい層と呼ばれる部分です。
資料5の3-13ページを見ると、熱しゃへい層はSUS304の薄板とアルゴンガスを交互に重ねたもののようです。
その上に放射線しゃへい層があり、燃料出入孔スリーブの中間段差部はその辺りにあることがわかります。
資料5はあくまでもシミュレーションしただけのものですが、図3.2-13を見ると、
仮にアルゴンガスが500度だったとしても放射線しゃへい層のあたりの温度は270度くらいになるようです。
また、資料5の3-13ページには、
  「炉心出口温度が529度であっても、炉容器プレナムの熱しゃへい板等の効果により
   ナトリウム液面は300度程度に下がっていると考えられる」
とあります。これは原子炉フル運転中でナトリウム液面がNsLだった場合の話ですが、
現在は液面がSsLで温度は200度、その上はアルゴンガスになっていますので、
しゃへいプラグ下面付近の温度も200度よりはだいぶ下がっているものと思われます。

そもそも最低でもナトリウム温度530度まで考慮して作られているわけですから、
たった200度で強烈にスリーブとフタとがくっつくような設計とは思えません。
熱膨張を考えて作られているなら、200度の現在はむしろスリーブ下部と
フタとの間には余裕ができているような?

ただ、これをもって熱膨張やナトリウムによる固着の心配がないとは言い切れないですが・・・。


資料6を見ると、一体引抜用吊具は、スリーブにボルト4本だけで接続されるようです。
スリーブ3.6トン、炉内中継装置3.3トン。さらに資料7を見ると、
「炉内中継装置ハンドリングヘッド用閉止プラグ」と「炉内中継装置本体保持具」もつきますから
だいたい合計で7トンから8トンの重さがこの4本のボルトに・・・。大丈夫なんでしょうか。

あと、資料3の図14-4で燃料出入孔スリーブの形をよく見ると、
内側管と外側管を貼り付けた中空構造のようにも見えるんですが、
無理やり引き抜くのに強度は大丈夫なんですかねえ・・・。

スリーブは設計上取り外すことを考えていないとのことなので、取り外しの過程で、
スリーブを抜いた穴から予期せぬ破片等が落ちたりしないのかというのも心配です。

穴の周囲にナトリウムが付着することもあると思いますが、そのへんも問題ないんですかねえ。
何をもって、「しゃへいプラグはまだ健全」と言うつもりなのでしょうか。

もんじゅは、なんとしてもこのまま廃炉にもっていってもらいたいものです。
  • 某髭
  • 2011/06/11 9:21 AM
  •  
考えてみるとスリーブを無理やり引っこ抜くわけですから、
ボルトにかかる力はもっと大きくなりますね。
  • 某髭
  • 2011/06/11 9:34 AM
  •  
色々とお調べいただいたようですね。
穴も自然な熱膨張なら広がりますから、はめ合い
の精度は温度が上がっても保たれます。

熱しゃへい層(SUS304の薄板とアルゴンガス)の
情報はありがたい。上下方向には強くブロックす
る仕組みでしょう。
  • dando
  • 2011/06/11 5:25 PM
  •  
いろいろと勉強させていただいています

ちょっと気になったのは圧入、焼き場め等で固定されたものを交換等で
取り外すことは普通に行われている作業と理解していますので、工学的無理とう表現が理解できません。どこがどのように無理なのでしょうか。
またスリーブと固定プラグの間に隙間を入れる必要があるのでしょうか、それこそ圧入、冷し場めで隙間ゼロにしておけばシール用の部材は
いらなくなると思います。
  • tune
  • 2011/06/23 9:18 AM
  •  
もんじゅ炉内落下の装置、引き抜き完了
http://www.asahi.com/national/update/0624/OSK201106240001.html

「工学的に無理」とはなんだったのか。

高速炉もんじゅ落下装置引き上げに工学的無理(6/10)
http://news.livedoor.com/article/detail/5625269/

ブロゴスの方はコメント欄が大炎上してますね。
  • 2011/06/24 11:22 AM
  •  
引き抜き成功したようですが コメントお願いします 団藤さん
  • 小野
  • 2011/06/24 1:08 PM
  •  
http://getnews.jp/archives/125795
>敢えて付け加えると、もんじゅ問題をできるだけ広く知ってもらうための“向こう傷”ですから、やむなしと思っていますし、この間、ほとんど1人で騒いでこなければ現在のような関心の高まりはなかったでしょう。

素敵な言い訳ありがとうございました。存分に笑わせていただきました。
これからも”なんちゃって工学”を駆使して、素晴らしい釣り記事を発信し続けてください。期待しています。
  • 2011/07/02 5:00 PM
  •  
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