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国政壟断のかけらも無いサムスン副会長の贈収賄

 大統領弾劾にまで発展した韓国の国政壟断事件で中核たるサムスン副会長の贈収賄。その判決には国政を捻じ曲げた重大事が語られません。親友の親族のスポーツ支援に金が出ただけで、贈賄請託を明かす証拠が皆無です。起訴内容で最も大きかった公益法人のスポーツ財団への寄付20億円などは無罪とせざるを得なかった裁判官は、有罪にしたい強迫観念に駆られたようです。公務員でもない親友の親族が受けた8億円余が賄賂であるためには大統領への請託が欠かせません。請託の証拠が発見できなかったために、朝鮮日報社説は《裁判長は「面会の際、李被告が朴前大統領に明らかに請託を行った事実は認められない」との見方を示したものの、李被告には経営権継承という大きな課題があったことに加え、乗馬への支援がすなわち崔順実被告への支援になること、そしてそれは大統領への金品の提供にあたることを認識していたと裁判長は判断した。つまり朴前大統領と李被告の間で「以心伝心、すなわち黙示的な形の不正な請託」が行われたという》と伝えました。

 証拠があって認定できる請託を、「暗黙の請託」として裁判官の心証で認定できるなら、韓国での贈収賄裁判はとても簡単に有罪が引き出せるようになります。請託したい案件を持つ企業人はこれからは公務員からの各種事業支援要請を断らねば、贈収賄に化けてしまいます。現にサムスン事件摘発で企業が尻込みして、来年に迫る平昌冬季五輪の企業支援枠に大きな穴が空きかけていました。大統領府は韓国電力公社を五輪スポンサーに押し込んで当座をしのぎました。

 現大統領に近いハンギョレ新聞などが李被告への経営権継承に、株主として国民年金が動いたとの疑惑を挙げています。事実なら国政を捻じ曲げた事実として前大統領が関わった経緯が明るみに出るべきです。請託が暗黙であるとするなら、この裁判判決が目に見える実行行為として究明しない手はありません。国政を曲げた事実関係を是非読みたいものです。

 サムスン副会長の贈収賄を無罪にすれば、前大統領への疑惑全体が瓦解する恐れがありました。俗に憲法よりも国民情緒法が上位とされる韓国で、無罪とする判決を出せば世間から糾弾される恐怖に裁判官は耐え難かったでしょう。あろうことか、求刑12年に対して5年の実刑と量刑が軽めだったと批判された点についてだけ、裁判所が釈明しています。中央日報《李在鎔副会長の量刑への批判に裁判所が釈明》は《26日のSBSによると、公報担当判事は「無罪が認められたわいろの部分は343億ウォン。量刑が過度に低いという表現は考えてみる余地がないだろうか」と明らかにした。特に、裁判所は今回の判決で判事の裁量により量刑を半分である2年6カ月まで減軽しなかった点を強調》と報じました。毅然とした確信など片鱗もありません。

 歴代の大統領を獄に繋いでカタルシスを覚える国民性はどこから来ているのでしょうか。


 2014年の旅客船セウォル号沈没事故の後で書いた《奇怪な韓国の闇、民衆は達観する「愚政府・愚役人」》に掲げたグラフを転載しました。国際的な社会意識調査「International Social Survey Programme」からです。《このグラフは刑事警察の無能だけが「社会の闇」ではないと、2003年調査から教えてくれる。「自国の社会における公正さと平等を、あなたはどの程度誇りに思いますか」との質問に「とても誇りに思う」「まあ誇りに思う」と答えた合計割合を各国別に並べた。韓国は34カ国中で下から3番目、わずか16.7%に過ぎない。ロシアなど旧ソ連圏の国レベルだ。ちなみに日本は50.3%ある》。そのくせ「たとえ自分の国が間違っている場合でも自分の国を支持すべき」と答え、「国の対面は別」とする割合は日本の倍以上あります。そちらのグラフも御覧ください。

 旧ソ連圏並にしか社会正義が実現されていないと常日頃から思っているからこそ、権力者や大財閥を懲らしめて嬉しい国民感情になるのでしょう。サムスンだって日頃はどんなワイロで良い思いをしているか、想像だけは難しくありません。しかし、この裁判は無理押しに過ぎます。企業の信用を作るのはとても難しいが崩すのは瞬く間である点を知るべきです。海外メディアも指摘する世界的企業トップの巨額贈賄による国際的な信用失墜の痛手は韓国内だけの問題に留まらないと思えます。海外でペナルティが課される場面もありえます。