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福島の甲状腺がん、低年齢増えチェ事故化の恐れ

 福島の甲状腺がんは1巡目検査に比べ2巡目で事故当時10歳以下が2.7倍に膨れ上がっています。チェルノブイリ事故で10歳以下が顕著に増え始めた事故6年目が昨2016年に相当すると指摘して警鐘を鳴らします。「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議」の2016年10月提言は「福島におけるこの明らかな甲状腺異常の増加は、高性能な超音波診断機器を導入したために引き起された集団検診効果であると考えられる」と相変わらず現状を無視していますが、事故1〜3年目に実施の1巡目結果と事故4〜5年目の2巡目結果を比べることすら怠る「専門家」とは何なのか、ほとほと情けなくなります。福島の1、2巡目検査結果と、チェルノブイリ事故で汚染が深刻だったベラルーシ・ゴメリ州の1〜5年目と6年目の甲状腺がん登録を比較できるようグラフで並べました。


 できるだけ最新の県民健康調査「甲状腺検査」公表資料に基づいて「悪性ないし悪性疑い」とされた1巡目109例と2巡目69例を、事故当時の年齢で並べました。1巡目では10代後半にピークがあって集団検診効果と言わしめたものです。しかし、2巡目結果を重ねると10歳以下に顕著な異変が現れました。1巡目でわずか7例が2巡目で19例に、つまり2.7倍になっています。「放射線の影響なら低い年齢で現れるはず」と主張する専門家なら、1巡目は集団検診効果が大きかったとしても2巡目は別物ではないかと考えるべきです。

 ゴメリ州では1986〜90年は各年齢に散発的でしたが、6年目の1991年から0〜5歳、次いで6〜10歳の甲状腺がんが急速に増えました。チェルノブイリでは原子炉が爆発して放射性物質の飛散が激しく、空気中や雨で環境に定着したセシウムが被曝主体の福島とは状況が違います。全く同じ推移とは限らないものの福島の10歳以下の異変は、チェルノブイリであった1991年以降、爆発的ながん増加再現を強く懸念させます。

 原発があった浜通り、放射能の雲が再三流れた中通り、それ以外の地区とのがん発生に差が見られないというのも集団検診効果説の根拠でした。しかし、2015年12月の第508回「甲状腺がん、2巡目で明瞭な放射線影響に気付け」で2巡目に限って地図で分布を見ると汚染地域に集中していると初めて指摘しました。

 2巡目結果が出揃った現時点で検討すれば、いわき市を汚染地域から外して分類したのが間違いの始まりだったと分かります。2011年10月の『この放射能の雲の下に膨大な人がいた事実に戦慄』に掲げた放射能汚染ルート地図で福島市など北方面、郡山市など中通りに流れた以外に、首都圏に向かう雲がいわき市を通っています。

 汚染地域を原発周辺・福島市・郡山市・いわき市など、それ以外の会津地区などを対照地域としましょう。甲状腺がん発生率は1巡目で計算すれば汚染地域0.040%に対して対照地域0.025%になります。2巡目は汚染地域0.029%に対して対照地域0.015%でした。集団検診効果が薄れた2巡目で、より明確に放射線影響が出ていると考えます。

 2016年末のourplanet-tv.org《福島の小児甲状腺がん疑い含め183人〜2巡目で68人》は岡山大の津田敏秀教授の見解を伝えています。《「2巡目の検診結果は、相馬地区を除き、すでに桁違いの甲状腺がんの多発を示している。もちろん、統計的有意差が十分にある。」とした上で、「もはや2巡目について、スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」は原理上は使えず、むしろ1巡目における「スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」を評価をするにあたっての基準になる」と指摘する》

 2016年から福島では3巡目の検査が実施されています。まだ最終結果は出ませんが、その受診率が大きく下がっている点が危惧されます。今年2月の第26回「県民健康調査」検討委員会の資料では主に汚染地域で4-7歳42.1%、8-12歳53.5%、13-17歳63.2%しかありません。2巡目の受診率は4-7歳80.2%、8-12歳93.3%、13-17歳87.1%もありました。2016年9月の「福島県民健康調査」検討委員会で希望者のみを対象にするなど検査の縮小が提案され、異論が多く出て議論の末に現状継続となりました。受診率激減で分かる通り実質的に検査は縮小されているのです。これからが心配される時期なのにです。