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新型炉ばかりの中国原発、安全確保に大きな不安

 福島原発事故で一時足踏みしていた中国の原発建設が一気に進み始めました。今年2基目が運転を開始、年内に続々と運開です。中国での運転が世界初の2機種を始め主流国産型も新型炉で他人事と思えぬ危うさ満帆です。日本の原発ならフルパワーで長期継続運転が当たり前ですが、電力事情が悪く停電が発生しがちな中国では、無計画停電すなわち外部電源喪失のたびに原子炉の緊急停止、非常用発電機を含む炉心冷却用電源の確保、再立ち上げと煩雑な操作を繰り返さなくてはなりません。安定稼働実績が無い新型炉でこれを頻繁にするのは実地テストにはなるものの対応する運転員も含めて過酷です。3月末時点での原発建設と運転開始の動きをまとめたマップをご覧ください。


 2011年末現在、14基稼働の地図に26日運開の広東省・陽江原発で18基になるまでを書き加えました。福島原発事故の後では2013年2月、遼寧省の紅沿河原発が最初の運開、次いで福建省の寧徳原発、2014年に入って紅沿河2号、そして陽江1号です。以上の4基は「CPR1000」と呼ぶ仏アレバ社の加圧水型原発を国産化した百万キロワット炉です。最初に造られた嶺澳3号(広東省)から数えて4年に足りぬ稼働実績しか無いまだ新しい機種です。陽江原発の写真を引用します。


 CPR1000は年内さらに福建省の福清原発が運開予定です。そしてこの後、浙江省の三門原発と山東省の海陽原発で、世界でまだここだけの第3世代加圧水型炉「AP1000」が運転されることになっています。115万キロワットの大型炉です。東芝グループのウェスチングハウス・エレクトリック社がこれまでの経験を注ぎ込んで、運転員の操作や電源がなくても安全システムが働くように設計したといいます。三門1号と内部構造の写真を並べて引用しておきます。特徴的な点は格納容器の上に巨大円筒の水タンクが載っかっていて、上から水を注入できます。でも普通の運転員は最後の手段に頼らずに事態を収拾しようとするものです。


 広東省の台山原発では年内に「EPR 欧州加圧水型炉」と呼ぶこれも大型160万キロワット新型炉が運開予定です。世界で最初に着工したフィンランドのオルキルオト原発で完成していますが、運転開始には慎重になっていて「2016年までには」との意向ですから、3番目着工の台山1号が運転の先陣になる展開です。全くの新型炉を初めて動かすならフィンランドくらいの姿勢は不思議でも何でもありません。

 三門原発AP1000運転員訓練は2013年初から1年半の日程で始められました。それが終わる今年半ばには直ぐに運転しようとしているのですから、ウェスチングハウスが教育にあたるにしても首を傾げます。各地で原発が次々に運開していく中ですからベテラン運転員を集められるはずもなく、初心者に教えていく期間として1年半は短いと思います。2011年の第271回「高速鉄道大事故でも運行停止しない中国政府」で「ドイツ人が2−3カ月かけて学ぶ高速鉄道運転を中国は10日で学ばせた」エピソードを紹介しました。本当に謙虚さに欠けます。複雑系技術の現場にはマニュアル通りに対処できない修羅場がある恐ろしさを考えもしないのでしょう。

 福島原発事故後に中国政府は新規の原発計画はAP1000に一本化する方向に変えました。国産CPR1000は第2世代改良型炉で不安があるからです。それでも着工済みのCPR1000は冒頭のマップのように次々、大量に商業発電に入っていきます。大震災前日に書いた第243回「中国の原発、無謀とも見える大増設は大丈夫か」で見た、「2年余り準備し、建設を始めれば5年以内に商業運転に入れる」考え方でAP1000一本化を免罪符にして突っ走っていると見ます。PM2.5越境スモッグ騒ぎで中国との一衣帯水ぶりが実感されています。大きな原発事故だけは起こして欲しくない、しかし、ここまででお分かりのように信頼感はありません。

 原発増設は確かに大気汚染対策になる面があります。しかし、人口で世界の2割しかない中国が、石炭では世界の半分を消費している粗放・浪費の経済産業構造を変えるほど劇的な効果は無理です。重篤スモッグ問題についてはやはり「『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない」です。関連リンクを参照ください。