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国立大学改革プラン、文科省の絶望的見当違い

 文科省が公表した国立大学改革プランには絶望的な見当違いがあります。巨額ながら生命線資金でしかない運営費交付金に手を付けて競争的資金にする愚と、大学を評価する能力を持たないのに持っているとの錯覚です。本当に発動されたら国立大学法人化後、運営費交付金を年々絞られながらも辛うじて保たれてきた従来型バランスが一挙に崩壊するでしょう。第363回「大学に止めを刺す恐れ大、教育再生会議提言」で《「世界トップ100に10大学」という皮相な数値目標が達成された時、全体を支えるピラミッドが崩壊、高いペンシルビルがそびえて、それも長くは維持できなくなるでしょう》と指摘した「悪夢」に向かって確実に動き出したと見えます。

 国立大学法人運営費交付金は2013年で1兆792億円と額は大きく見えますが、授業料収入と合わせて教職員人件費や諸経費といった大学の基礎的な運営に充当されています。法人化初年の2004年には1兆2415億円あったのですから、10年間で13%も減額されました。以前なら少額ながら研究資金として配る余裕があったのに、今やかつかつの運営をするだけの生命線と化しています。研究費は外部から競争して獲得して来るようになりました。

 今回の国立大学改革プランの大きな柱は、その運営費交付金のうち4000億円を改革に積極的な大学に重点的に配分する点にあります。文科省が考える改革に沿わなければ、生命線以下の資金にして切り捨てもやむ無しと露骨に表明していると言えます。

 「今後10年で世界トップ100に10大学」と並んで当面の目標で掲げられた「教育研究の活性化につながる人事・給与システムに」と大幅な年俸制導入が何がしたいのか示しています。大学の教員は多すぎるから間引いて、もっと効率的に人件費を使えと言いたいのを、オブラートに包んでいます。財務省の文書「総括調査票」に「設置基準上の必要教員数と教員数の対比では、いずれの分野においても設置基準以上であり、最大で約4.7倍(常勤・非常勤教員数では約3.7倍)となる分野がみられる。特に、個々の分野の特性を勘案しても、教員数が過大となっている分野では教員数の抑制を図る」とあります。

 教員のクビを切る「間引き」が思うままに可能なはずはありません。内閣府の「2.2.4人件費削減の影響−常勤教員に関して」が「人件費削減の影響は特に35歳以下の若手教員層に強く反映される傾向があること。常勤教員給与総額の削減幅が大きい法人では当然若手教員数の減少も大きなものとなるが、総額を維持している大学でも一定程度の若手教員の減少を余儀なくされている場合がある」と報告しているように、人件費削減にさらに踏み込めば減っていくのは戦力になる若手研究者です。

 大学への評価体制を強化して行くとの方向にも、始めの一歩から間違っているのだから話にならない面があります。2004年に書いた第145回「大学改革は最悪のスタートに」で日本で評価が機能しない根本には研究者同士のピアレビューが出来ていない、たこつぼ型研究の実態があり、学閥のネームバリューに頼って恥じない研究費配分がまかり通る現状を変える必要を訴えました。文科省は評価が出来ない大学人に加え、外部からの声を入れれば機能すると考えているのだから何も見えていないと断じるしかありません。

 第363回「大学に止めを刺す恐れ大、教育再生会議提言」で取り上げている、先進国中で日本の論文数だけが特異に減少しているグラフを掲げます。


 国立大学改革プランには産業界からの共同研究受入額や特許収入が法人化後に増えたとする皮相なグラフはあるのですが、内閣府総合科学技術会議に出されたこのグラフは大学内部で何が起きているのか伺わせるのに、文科省は興味が無いようです。

 【参照】インターネットで読み解く!「大学」関連エントリー
     『安倍政権は技術立国の底辺にも目利きにも無知』