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中国新指導部の今後と温家宝首相の後始末

 5年ぶりの中国共産党大会で新しい指導部が選出されました。竹のカーテンの向こう側ですから実情は知れません。しかし、中国ウオッチャーの分析を見ていると人民から望まれている体制改革の期待は薄く、そのような難題を避けるべく対外強硬姿勢に傾くのかなと思えます。もう一つ、親族による2000億円以上の巨額蓄財と報道された温家宝首相について、党として調査するだったのに後始末がありませんでした。「どうか私のことは忘れて」と首相が発言したニュースが逆にリアリティを感じさせます。

 ふるまいよしこさんの「習近平の新時代へ」(コラムニューズウィーク日本版)は中国共産党総書記就任スピーチが、10年前の胡錦濤氏と比べて極めて平易な言い回しになっていると指摘します。《中国の政府関係者のスピーチといえば、これまでずっと「これぞ中国よね!」的な語句がずらずら並び、聞く者、読む者、翻訳する者をけむにまき、結局「行間」を読んだ者勝ちというスタイルが普通だった》例えば前任者は「我々は必ず、党の全同志の重き委託と全国人民の期待や希望を裏切ることなく、小平理論の偉大な旗を高く掲げ、全面的に『3つの代表』の重要思想を貫き、真摯に第16回党大会が提起した各任務を推し進め・・・」

 《しかし、習近平のスピーチはこう始まった。「党の全同志の重き委託、全国の各民族人民の期待と希望、これらは我々がきちんと仕事を行なっていく上で心を奮い立たせるものであり、また我々の肩の上にかかった重い責任でもあります」》これで発言通りですから確かに生身の人間を感じます。でも限界は直ぐに露呈します。

 《習近平はさらに共産党内部についてもこう触れている。「新しい形勢下において、我々の党は多くの厳しい挑戦に直面しており、党内には多くの解決が急がれる問題が存在している。特に一部党員幹部の中で起こっている汚職腐敗、形式主義、官僚主義などの問題については必ず、大きな気力を持ってして解決しなければならない。党全体が意識して目をさまさなければならない」》

 新指導部の視野が党内の末端改革に止まり、体制改革には進まないと主張しているのが「十八大反省会・中央政治局常務委員編」(The Useless Journal of CHINA)です。指導部を形成する常務委員7人を分析して、《最高意思決定機関としての常務委員会は、保守に偏った分、常務委員会政策決定のルールと言われる「合意形成」(満場一致)には比較的スムーズな顔ぶれになっている》とします。《彼らに課されているのは、意見が別れそうな敏感な問題、直接的に言えば既得権益者である太子党・上海閥の逆鱗に触れる問題(急進的な民主・改革政策や、陳良宇・薄煕来クラスの双規など)に手をつけなければいいだけ。”消防隊長”の異名を持つ王岐山が鬼の紀検委を率いる理由も、腐敗防止の対象に既得権益者層を巻き込ませず、かつ末端のおイタした小役人や企業家をバシバシと斬って捨てるための布石だと考えると合点がいくのです》

 引退する党内序列2位、温首相の「どうか私のことは忘れて」(WSJ日本版)はこう見ます。《温氏が世間から消え去りたいと考えるのには一理ある。かつて自らが記録的成長に導いた中国経済が徐々に衰退・減速し、中国の奇跡も評判ほどではないのではとの臆測が流れ始めるのをこの7カ月じっと見守ってきた。そこへきて先日、親族が多額の蓄財をしていると外国メディアに報じられた。これはいかなる政治家にとってもショックな出来事だが、改革者としてのイメージを打ち出してきた温氏にとってはなおさらだ。表舞台から消え、忘れ去られたいと願うのも無理はない》

 温首相は腰が軽く各地の現場に出掛けて人民に声を掛ける『水戸黄門』的なイメージがあったのですが、「温家宝は役に立たないから」(中国という隣人)はそれも虚像だったと思わせます。首相の車を、不正な土地収用を直訴するべく土下座して止めた農民が7日間の行政拘留処分を受けたエピソードです。ネットで話題化して、結局は行政側が謝罪しました。「これは文字通り氷山の一角。運良くネットで拾い上げられるか、ネットに配信する力が必要になります。根本的な解決にはなっていない」との指弾です。指導者の「善意」に頼っていては駄目で、整備された法治国家にするしか解決策はありません。それは遠い昔、秦が統一国家を樹立できた原動力でもありました。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー