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ストレステストを自ら否定:保安院の技術知見

 関電大飯3・4号機は再稼働に向けストレステスト合格――として原子力安全・保安院が原子力安全委員会に審査書を送ったばかりなのに、16日に公表された福島原発事故の技術的知見に基づく30項目安全対策には明確に不合格です。昨年夏に用意したテストですから、最新の知見で否定されるのは仕方ありません。保安院は自らの見解に責任を持って再稼働不可を宣言すべきです。

 公表された東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間とりまとめ)」から、分かりやすい電源問題を取り上げましょう。福島原発事故は全交流電源喪失で主要機器が停止して冷却機能が失われ、1〜3号機がメルトダウンに至りました。事態が悪化する過程で、バッテリーに蓄えた直流電源にも重要な役割があると認識されました。最後の命綱になっている安全装置は電源無しで稼働するのですが、それを起動する弁の開閉にも電気が必要だったり、温度計や圧力計などの値を監視しないと動作状況が確認できません。

 そこで「技術的知見」は「一系統の蓄電池の蓄電容量のみで負荷の切り離しを行わずに少なくとも8時間(事態の正確な把握、冷静な判断、作業の準備・実施に必要な時間)、さらに不必要な負荷の切り離しを実施した上で少なくとも24時間(注:電源車や別途の非常用発電機など外部からの給電に時間を要する事態を考慮)、プラントの特性に応じて必要な時間の稼働を可能とするよう蓄電容量を確保することが求められる」との対策を打ち出しているのです。8時間は事態を把握するまで取り敢えずの余裕、24時間は無駄な機器を外して外部からの救援で電源補給があるまで待つ余裕です。

 大飯3号機でこれに対応する部分を見ましょう。「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)」のちょうど真ん中あたりにあります。

 「蓄電池については、その容量から約5時間の時間余裕があり、また、空冷式非常用発電装置の重油については、発電所構内にある補助ボイラ燃料タンク及び非常用ディーゼル発電機燃料貯蔵タンクの重油で補給するが、プラント外部からの支援がない場合でも、これを消費するまでには約85日間の時間余裕がある」

 しかし、この空冷式非常用発電装置は事故が発生してから取り付けると説明されているものです。福島事故を踏まえた「技術的知見」が事故の状況を把握するまで最低「8時間」見込んでいる余裕よりも、ずっと短い5時間で外部から応援が来て必要な電源を補充してくれるとの超楽観的な想定しか、鳴り物入りのストレステストは課していないのです。当然ながら24時間待てる余裕などありません。

 ストレステストが作成される段階ではこうした「技術的知見」が固まっていなかったのですから仕方がありません。これほど明確に福島事故の反省点に違反している状態で再稼働などあり得ません。保安院は自ら作成した30項目安全対策に合格していないストレステストは撤回させるべきです。

 また、原子力安全委員会への審査書送付についてはストレステスト意見聴取会委員のお二人から「関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明」が出され、技術的な問題点がさらに指摘されています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー