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マスメディアの劣化:水位上下報道にうんざり

 福島第一原発の屋外に溜まっている高放射能汚染水の水位が下がった、上がったと騒がれ続けています。重大事故の収拾を急いでいるときに子供の水遊びの実況中継をしているような違和感があります。水を抜いても直ぐに戻る以上、原子炉格納容器の破損した穴から水は繋がっていて、連日の注水があるのですから水位は上がるしかありえません。汚染水を抜いて行おうとしていた原発旧設備の復旧は諦めて、外部に冷却系設備設置を急ぐしかない自明の結論を、マスメディアはなぜ伝えないのでしょうか。事態の本質を捉え違っています。

 《2号機の水抜き難航 汚染水の水位戻る 福島第一原発》(朝日新聞)は「移す前に坑道から地上に通じるたて坑の入り口からの水位は上から91センチのところにあった。水位は坑道の汚染水をくみ上げている最中に、いったん99センチまで8センチ下がったが、くみ上げを止めると上昇を始め、16日午前7時には88.5センチになってしまった。当初より汚染水が増えたことになる」と報じています。

 繋がっている水の水位をどこか一部だけ変えることは出来ません。これは小学生の知識です。

 毎日新聞の《福島第1原発:綱渡りの汚染水処理 移送先確保急ぐ》によると「第1原発全体の汚染水の貯蔵には、新たな仮設タンク1万2000トン分を4月中に設置予定で、既に1000トン分を据えつけた。だが配管工事などが必要で、汚染水は移送先が一時的にない状態だ。東電は『トレンチの水位の上昇速度から判断すると、あふれるまで十数日は余裕がある』と説明している」そうです。

 水位上昇はまずいので東電も早手回しで設備を造っているのです。しかし、ここで国民に伝えるべきは事故の収拾とどう結びついているのかであり、目先のドタバタぶりではないはずです。「これから起きる深刻事を政府は想定していない」で指摘した放射能の環境流出に際限がなくなっている点を防がねばなりません。原子炉注水を止められるよう冷却系統を回復するしかないのですが、少なくとも2号機では外部冷却系を追加するしかなくなったのです。既に着手されている外部設備が出来ても配管が通るのか、予断を許しません。旧設備復旧が望ましかったのは当然です。

 今回の事故が起きてからずっと続いている国内マスメディアの欠陥――政府・東電の問題意識の範囲でしか報道しない、自らの取材力で事の本質を洗い出そうとしない姿勢にはうんざりさせられます。