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日経電子版の客寄せ特ダネ、いただけない素人騙し

 国内の有力紙として本格的な電子版を23日スタートさせた日経新聞さん、朝刊トップの”特ダネ”「ゲイツ氏、東芝と次世代原発 私財数千億円投入も」を電子版に誘導する客寄せに使ったのは感心しませんでした。「ゲイツ、原発挑戦の真相」へと読み進ませて、原子力分野の素人さんには大変な原発が出来ると大いなる幻想を持たせたと思います。しかし、これが簡単に出来るくらいなら核融合実用化の大きな障害がひとつ取り除けるのだと申し上げたら、いかに困難な話なのか理解していただけるでしょう。

 いつもはもう少し醒めている「木走日記」あたりが「ビルゲイツを有料電子版販促に使う日経の姑息」と題名では皮肉りながら、「『核燃料を交換せずに最長100年間の連続運転を実現』とはすごい技術です、これが実現できれば新興国などこれから原発需要が見込まれる中でゲイツ氏の新たなビジネスチャレンジが世界規模で展開されるかも知れませんね。すばらしい」「お陰で不肖・木走も電子版購読者登録(最初の一ヶ月は無料ですが)してしまいました」と釣られてしまっているのが可笑しくて、笑いました。

 協力を求められた東芝の「小型高速炉(4S)」はナトリウム冷却高速炉ながら、出力1万キロワット級とコンパクトさが売り物です。小さいが故に中性子の発生も少なくて、核燃料体交換無しに30年運転をうたいます。ところが、今回取り上げられた米テラパワー社の「TWR」は10万〜100万キロワット級といいます。これで100年間連続運転すると原子炉は膨大な中性子線を浴びます。

 TWRと非常に似た発想の炉を国内で関本博・東工大教授が研究されていて「CANDLE」と名付けています。その「革新的原子炉CANDLEの研究」はウランを「いっきに40%燃焼した場合、一般に使用されている材料では持たない。材料を変更し、温度を下げることによりこの燃焼度を達成することも可能であるが、温度を下げることは原子炉の性能を落とすことに繋がることから、ここでは、被覆材への高速中性子の照射量が限界になる前に被覆材を交換する方法を採用する。この作業は高い放射線レベルで行なうことになる」と記述しています。炉の材料がもたないから途中で交換する訳です。

 言われるように100年間も連続運転して中性子線に耐える材料は、核融合炉開発で求められているものに近いのです。そうそう出来ると楽観的には考えられていませんし、もし耐えたとしても高度に放射化して非常に厄介な存在に化します。これくらいは少し原子力を取材していれば見えてきます。素人を騙すような「客寄せ」は、国内新聞メディアの将来にかかわる電子版スタートにふさわしくなかったと考えます。