<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
Latest Entry
Profile  Facebook
Dando's Site
Category
Search

Archives
Recent Comment
  • 9/29で『Blog vs. Media時評』サイトは閉鎖
    KI (08/31)
  • 危機の現状に対策が噛み合わぬ科学技術基本計画
    次のノーベル賞か? (08/13)
  • やはりノーベル賞大隅さんの警鐘を無視した政府
    森田 (06/19)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    宮本由香里 (05/15)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    森田 (05/08)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    業界人 (05/06)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    あ (05/05)
  • 科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア
    森田 (04/23)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    (04/08)
  • 京大さん、日経さん、ネット調査信頼は無茶
    (01/16)
Recent Trackback
Admin
   
Mobile

9/29で『Blog vs. Media時評』サイトは閉鎖

 このサイトを提供しているサーバー会社から「9/29(金)18時限りでサービス終了」が通知されました。2008年3月から10年近く皆様に読んでいただいたブログであり急なことで残念ではありますが、第555回「社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機」で取り上げたように、スマートフォンなど小さな画面でも読みやすいモバイルフレンドリーでないといけない時代となっては無理からぬと思います。

 ◇親サイトを抜本的に大改造◇

 代替えのサービスが用意されていないので検討した結果、親サイトの『インターネットで読み解く!』本体をスマホとパソコンの両方に対応できるよう抜本的に大改造することにしました。『インターネットで読み解く!』サイトは20年前のウェブを必要に応じて手書きで手直しして来たので、モバイルフレンドリーではありませんでしたし、現代に合わない仕様があちこち残っていました。執筆開始20周年でもあり今後も長く使えるよう、初めて専門家にスタイルシートを書いてもらいました。スマホでもタブレットでもパソコンでも、読まれる方の画面サイズに応じてレスポンシブに対応します。モバイル対応だけでなく親サイトは行間が詰まっていて読みにくいなどの懸案もありましたが、ほとんど解決しました。もちろんパソコン画面で小さな窓を開いている場合にも対応します。

 これまでに2015、2016、2017年の記事は書き換えを完了しました。ファイル数が多いので結構たいへんながら、これを機に全部をアップデートして以前の記事も読みやすくしたいと思っています。皆様にはお手間をお掛けますが、ここでブックマークされている記事、あるいはホームページからリンクされている記事があれば、『インターネットで読み解く!』の方に付け替えていただくようお願いします。今後とも親サイトの方で長くお付き合いいただければ幸いです。ここでの記事更新は終了します。


社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機

 インターネット検索が登場して20年、便利なだけでなく市民の集合知で社会の姿を映し出す機能が非常に危ぶまれる状況になっています。圧倒的シェア首位のグーグルがスマホ利用者の利便を重視し中身軽視に走るからです。商用のネット検索が使われるようになった1997年から、私は検索を活かしたネット評論を書き続けています。グーグル登場は翌1998年であり、ページ相互のリンク関係を集計して出した検索結果ランクは、これまでマスメディアが独占したニュース価値判断を覆し、市民社会自身による価値付け・重み付けと言えるものでした。ところが、例えばヤフー個人ニュースのアクセス統計でスマートフォンが7割を占めるほどになっており、グーグルは2015年にスマホ重視を打ち出して2016年からは更に強化しました。「モバイルフレンドリー」でないサイトは検索結果の順位を大きく下げたのです。


 私の「インターネットで読み解く!」からのページを、グーグルのモバイルフレンドリーテストに掛けた例です。もともとパソコンで読んでもらうページですから横幅がスマホ画面の2倍くらいの設定になっています。スマホできちんと読むなら横方向にもスクロールしなければなりませんから「このページはモバイルフレンドリーではありません」と駄目が出されました。

 「インターネットで読み解く!」サイトのアクセスにどう響いたか紹介します。グーグルのスマホ重視以前は月に約2万件の検索サイト経由のアクセスがありましたが、今年になると月間数件と激減しています。読まれたページがお気に入りとしてブックマークされる件数が月に2万近かったのに今は4千前後になっています。つい一昨年まで実際に読んで有用と判断されたページが、現在はこれほど使われなくなっています。

 順位を下げる要素はモバイルフレンドリーだけではないとの指摘が《もうGoogle検索ってダメかもね》(ふくゆきブログ)にあります。モバイル対応の他に「サーバーのレスポンスが遅いと順位が下がる」「古い記事は順位が下る」などがあり、「だんだん情報の本質的でない部分が検索の順位に影響してきて、検索しても見つけたい情報がさらに見つかりにくくなってくるかもしれません」と危惧しています。

 この危惧通りの経験を私がまさにしています。以前はニュースサイトで読んでちょっと気になったページがあっても放置して「必要な時に検索で簡単に見つかるよ」と楽観していたものですが、いまや検索しても出て来ません。少しでも気になったらテーマ別のファイルに入れておかないと、検索では巡り会えなくなっています。少し前までは考えられない事態です。

 まとめサイトが妙に優遇されたのも画面の狭いスマホでさくっと読めるからでしょう。これでは検索で本当に見つけたい情報が霧の彼方になってしまいます。例を上げましょう。2013年の第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で中国人研究者による科研費研究「中国環境司法の現状に関する考察〜裁判文書を中心に〜」を見つけ出しました。公害無過失責任をうたいつつ中国の環境司法はほとんど司法手続を受け付けない壁を設けて住民の訴えを圧殺していると、実証的に明らかにした労作です。当時でも様々にキーワードを工夫して検索でようやく見つけました。これはスマホには不向きなPDFファイルであり、今のグーグル検索では当時のようには発見できないと思います。

 この5月が私のネット評論活動の満20年です。1997年春には「goo」が商業検索を立ち上げ、「infoseek」が追いかけ、それを利用してインプレス社「INTERNET Watch」で連載を始めました。新聞記者をしていましたが、大きな仕事をしたのに取材記者から外れる左遷にあい、特例として社外活動の権利を得ました。それから色々な検索サイトを利用する中でグーグルとの出会いは鮮烈な印象がありました。ブログ隆盛期には新聞社内の記事審査リポートをブログ検索を使って書き、評判でした。なのに今となってはこれまでのように「主に検索を利用して書いている」とは言えなくなって絶望的な気分にさせられるとは、「グーグルは何を考えてるのだ」と叱責したくなります。

 【5/6追補】Facebookである方がこの記事に対して「Googleは、自身のビジネスのために自らを変化させているのであって、それは、至極当然の事です。Googleに文句を言うのは、筋違いと思います」とおっしゃいました。私の答えは以下です。皆さんはどうお考えでしょうか。
 「受信料とか購読料とかを取っていないグーグルが何をしても自由ですよ。しかし、この20年間、暗黙のうちに築かれてきた市民社会的な了解が崩壊していくのを指摘するのが今回記事の目的です。グーグルが『知らぬこと』とうそぶくなら、それまでの企業と了解するまでです。グーグルにとって本業中の本業で声望が地に墜ちます」


グーグル翻訳の劇的進化で中韓現地情報が面白い

 昨年秋に劇的な進化をしたグーグル翻訳で、ミサイル配備をめぐり葛藤する中国と韓国の現地情報がビビッドに読めるようになりました。日本語版として提供される外国ニュースはポイント外れで魅力を欠くと再認識です。グーグル翻訳のような機械翻訳は従来は文法に則った翻訳を指向していたのですが、囲碁ソフトの進化で有名になった人工知能化に方向転換しました。細かく文法を適用するのではなく、使用例を大量に集めて類推する方向と言っても良いでしょう。ただ、それでも不完全な翻訳である点は免れません。大雑把なニュース理解で良ければ現時点のグーグル翻訳でもオススメできるレベルであり、細部を詰めて理解したいなら「POP辞書」の併用を推奨します。最新ニュースを例に使い方を見ましょう。

 韓国聯合ニュースが15日午前10時に《中国国格の損傷を防ぐ?... 中ロッテマート商品毀損女性逮捕》を伝えました。ネット実況中継でロッテマートの商品を壊した瀋陽で起きた事件です。グーグル翻訳のままで引用します。

 《(北京=聯合ニュース)シムジェフン特派員=在韓米軍サド(THAAD・高高度ミサイル防衛システム)の敷地を提供したロッテの中国内の反感が大きくなった中で、中国ロッテマートの店舗で故意に商品を毀損する映像を撮影した中国人女性が警察に逮捕された》

 《女性は、周囲の顔色をうかがいながら、ロッテペペロお菓子の袋でお菓子を取り出して数回食べて、そのまま袋に配置するかと、ジュースの蓋を取って一度飲んで棚の上に放り出された》

 《瀋陽の警察もウェイボにあげた文で、「愛国をする前に、異性を見つけなければなら」とし「愛国という名前で国の恥をさせるなら、これ愚かか悪いことだ」と警告した》


 第550回「中国のやり過ぎ韓国いじめで反中が起きないなら」で指摘した韓国いじめは酷いものですが、女性の露骨さは「愛国無罪」にならなかった訳で、翻訳の言い回しにこなれない部分はあるものの大意は取れます。一点、「異性を見つけ」は理解不能です。そこでPOP辞書に原文をコピペして、韓国語から英語に逐語訳する窓を開きます。上の写真は該当部分が「理性」と訳されると示しています。中国語も同様に英語の逐語訳が使えます。

 韓国側も負けていません。朝鮮日報は《[発言台]對中国の武器で半導体Dラム活用しよう》を流しました。半導体メモリー禁輸で反撃せよと血気盛んです。

 《私たちとしては退路がない。屈服した瞬間主権国家でないことを自ら認める格好になる。私たちの戦略商品である半導体Dラムの対中国禁輸(禁輸)措置として国家意志を貫く方法が最も効果的だと思う。韓国企業は、PCとサーバのDラムなどでも70%を超える市場シェアを記録している。中国がサード基地である城主を爆撃することもできる明らかにしただけに、政府は、半導体Dラムを戦略兵器化する方案を積極的に検討しなければならない》

 昨年までより遥かに改善されましたが、今のグーグル翻訳では「韓国語→日本語」より「中国語→日本語」の方が精度が落ちます。「百度」で最新ニュースを探したら15日の「消費者の日」でアラ探し報復を恐れる韓国企業を取り上げた海峡ネットの《315韓国企業はなぜ報復の恐れ?韓国の人々はどのように「悲しい」態度になりましたか?》がありました。THAADを意味する中国語が「悲しい」と翻訳されるので要注意です。言い回しの劣化を補って読んで下さい。結論は韓国の若い層はサード配備延期希望と見ます。

 《朴前代表とステップダウンと中国は相次いで採択対策は、韓国の人々の態度は、「サド」は移行し始めています。韓国SBSテレビによると、14日に報告した回答者の46.6パーセントは、我々は、展開を中断すべきだと思う一方で、投票所の緊急性に応じて、同じ日には、回答者の47.8パーセントが、韓国は、できるだけ早く「悲しい」に展開されるべきであると考えられていることを示しました、明らかに、両側の意見の相違。どこで50歳以上の人口のほとんどは、デプロイすると、40歳未満の若者の大半は、次のシステム管理プロセスに問題を転送したいです》

 次の大統領最有力候補で若い層に人気がある文在寅(ムン・ジェイン)氏がTHAAD配備を次期政権に先送りするように求めている点を織り込んで、韓国政治の足元を見透かしています。

 外国メディアに日本語版ウェブが開設されていますが、日本人に読ませたいニュースであって我々が読みたいニュースではない印象を持っています。中国国営メディアは特に露骨です。第349回「中国になお無償援助、国内報道しない人民日報」に実例があります。韓国も中国との葛藤になると選別するのでニュース量がぐっと減ります。実情をウオッチしたいなら日本語ニュースよりもこちらです。ブラウザにグーグル・クロームを使えばグーグル翻訳をするかどうか、簡単に切り替えられます。


グーグルアースの3Dマップが地方都市にも拡大

 昨年初めに首都圏と宮城県エリアで始まったグーグルアースの3Dマップが全国の地方都市にまで拡大しています。建築物の精巧な3次元化なのでヘリで上空を飛ぶ感じが味わえます。自分の街の空を飛んでみてください。例として広島市の原爆ドーム付近と札幌市の中心部を切り出した写真を掲げます。




 昨年1月の『本格的に空中散歩が味わえるグーグル3Dマップ』では東京の丸の内や新宿などの写真を引用しました。グーグルアースの地名検索で該当の都市に行ったら、マウスのホイール操作などで拡大してください。たくさんある写真のマークにカーソルを合わせると現場の写真が見られます。

 グーグルアースの「ツール」タブにあるフライトシュミレータも使えますが、かなり上空を飛ばないと失速、墜落してしまいます。ヘリのように建物を眺めながら飛ぶには上の写真程度に大きくして、矢印キーで飛行方向を操作するのが善いでしょう。参考にフライトシュミレータでの画面を以下に引用します。大阪の淀川上空を飛んでいるところです。




情報端末の地盤変動が成熟の段階に達したよう

 タブレットの急伸長で変動が激しかった情報端末の世界に落ち着き先が見えて来たようです。スマートフォンのように激しく買い替えしないでタブレットはじっくり使われ、従来のパソコンと拮抗する地位を固めました。我が家でもタブレットはリビングのテーブル周辺でいつでもスタンバイ状態です。ネットで調べ物や、ニュースをさっと見る、電子書籍を読む、料理レシピや家計簿を見るといった簡単な仕事で、わざわざパソコンの前に移動することもなくなりました。超格安タブレット登場の話もあり、複数のタブレットが家庭のあちこちに置かれるでしょう。


 2013年に出荷が5割も急増したタブレットが、2014年には1割増に留まりそうです。Gartner社の調べた《タブレットの成長は2014年に鈍化、Androidスマートフォンの急上昇が続く》をグラフにしました。昨年の段階では第396回「2014年はタブレット主流、パソコン文化変貌も並行」と思われたのですが、ひっくり返すのは2015年だとなっています。

 《ウルトラモバイルとなっているのは、PCでもない、タブレットでもない、電話機でもない、あるいはそのすべてでもあるような新しい機種分類だ。まだニッチではあるが強い成長を示し、2014の売上は3760万台になる。このジャンルは今後も成長率では最速で、2015年には前年比でほぼ倍近い台数になる》といったニューフェースも言われます。小ぶりタブレットであり、大ぶりスマホであるような機種ですから、境界がますます分からなくなっています。

 タブレット急増のブレーキは米AppleのiPad出荷台数が前年割れになるからです。スマホのように2年くらいで買い替えるのでなく、3年以上から4年も使い続ける消費者が多いようです。これはパソコンの買い替えサイクルと近いと言えます。買い替えの波は2015年に来るようです。グラフの「モバイルフォン」の半分くらいがスマホで、従来型携帯電話も根強いようです。パソコンは減りながらも意外に堅調であり、スマホの続伸と合わせて2015年には端末出荷が前年比で5%伸びて25億台になると予想されます。

 こんな折に《Windowsを無料にしたMicrosoftが定価100ドル未満の低価格タブレットで勝負》とのニュースが舞い込んできました。《今日(米国時間11/26)は、Microsoftウォッチャーたちが騒いでいる。100ドル未満のWindowsタブレットが各種出る、というのだ。スペックは大したことないと思うが、100ドル札でお釣りがくるタブレットが最初からWindowsを搭載しているというのだ》

 マーケットシェアを求めてマイクロソフトが殴り込んでくる訳です。自分が市場を持っていないところですから無料でも失うものが無い強みでしょう。しかし、食卓にでも置いてちょっと手軽に使う用途には1台数千円のタブレットは重宝かもしれません。途上国での普及にもメリットになります。また波乱要因です。


Facebook3題:対中ODA貢献、消費増税、ISS写真

 家庭事情で忙しすぎて、じっくりとネット上のテキストデータを吟味している暇がありません。Facebookでは気分転換も兼ねて、ほぼ毎日ざっとニュースをサーベイして話題を提供しています。最近のものから反響が大きい3題をひろいました。

 【中国メディア 日本の援助功績を掲載 NHKニュース】

 「抗日戦争勝利記念日」に中国の大手ネットメディアが日本の対中ODAなどの戦後貢献を伝えたとのニュース――2つの意味で興味深いと思います。まず、中国大衆に伝わった点、さらにスマートフォン向け配信ニュースなので配信後には当局も手が出せない点です。 《中国のIT企業「テンセント」が、スマートフォン向けに配信しているニュースの中で、「日本は、中国を傷つけただけなのか」と題し、特集として掲載したものです。特集では、6年前の四川大地震の際に被災地に入った日本の国際緊急援助隊が、遺体に向かって黙とうしている姿や、中国の緑化のために力を注いだ故・遠山正瑛氏の活動などを写真付きで紹介しているほか、日本が中国に対して、2008年までの30年間に行った政府開発援助の総額が、2248億人民元に上ることなどを伝え、日本の功績を強調しています》 ・・・ニュース本文

 【消費増税の反動減は予想以上に深刻、今後の3つのシナリオを考える | nikkei BPnet】

 あれあれ、成長率大幅低下に安倍応援団の竹中平蔵氏まで「ここでは消費増税のやり方に問題があったということだけ指摘しておきたい。89年4月の消費税導入(3%)や、97年の消費増税(5%)のときは、事前に減税措置が講じられていたのに対し、今回はそうした減税措置がなかった。それどころか、社会保険料の引き上げなども重なったため、トータルとして国民の負担はかなり重くなってしまった」・・・分かっていたら経済学者なんだから事前に指摘しなさいよね。実質8兆円の増税は重すぎると言った学者がいました。安倍首相は国民増税、企業減税の一本やりでした。 ・・・ニュース本文

 【宇宙から見た地球の夜景--国際宇宙ステーションが撮影した写真より】


 国際宇宙ステーションから撮影された都市の夜景数々。有名な北朝鮮の闇(上に引用の写真です。もっと引いた写真では国が存在しないような暗黒ですが、さすがに首都付近などに光点群あり)がアップになってますし、東京首都圏もあります。どこを写したのかよく解らない写真が多くて割り出しを助けるボランティアを募集しているそうです。 ・・・ニュース本文


全国どこでも3次元「地理院地図3D」を試す

 国土地理院が日本全国どこでも3次元で見られる「地理院地図3D」サイトを19日に公開、かなりのアクセスラッシュになっているようです。世界的に有名な函館の夜景を材料にちょっと3D地形図を試してみました。

 3Dサイトの入口はこちらです。ページの右肩「3次元で見る」ボタンを押すと、まず筑波山が現れます。そこからスケールダウンして遠くに移動します。北海道・函館に行きましょう。「函館市公式観光情報・函館の夜景がきれいな理由」から函館の夜景写真を引用させていただき、作った3D地形図と合体してみました。地形図の高さ方向は実感に近い2.4倍に強調してあります。人間が函館山山頂から見ているのを上空から見る「神の視点」です。


 《高さ334メートルの函館山山頂展望台から市街地を見下ろす風景。山頂まではロープウェイで3分という近さで、山麓から連続する市街地は、手が届きそうな目の前に見えます。これが、展望台に出た瞬間の「わあ〜!」という感動を呼ぶのです》。この感じ、地形図からも分かります。本当に函館山から指呼一望になっているんです。函館市街の広がりがきれいな扇形になっている理由も、郊外に山が迫っているからだと知れます。

 3Dサイト入口ページ下の方に地理院オススメの地形名所も並んでいます。マウスの使い方を知った上で、名所では「拡大」ボタンを押さないで、地形図の方をクリックすると自在に操作できる3D名所地形図が現れます。まずこれで遊んでから、自分の故郷や土地勘がある場所を3D地形図にして楽しまれたらよいでしょう。

 年初に『本格的に空中散歩が味わえるグーグル3Dマップ』で首都圏や宮城県での都市3D合成景観の面白さを紹介しました。今回の国土地理院3D地形図は日本アルプスなど山岳の威容や島、岬、湾など起伏のある海岸線の美しさを伝えてくれます。どちらも使い方を覚えておかないと、もったいないですよ。


本格的に空中散歩が味わえるグーグル3Dマップ

 グーグルが16日に首都圏と宮城県エリア分を公開した3Dマップを試しました。空中散歩感覚は取材時にヘリやサイテーションに乗った時に近く、極めて精巧です。矢印キーでどこまでも空を飛び続けてみてください。45度斜め上から見た視野が連続合成されていきます。家1軒、木々1本ずつまで立体的に見せてくれます。「Google Earth」「Google マップのEarth ビュー」「モバイル版 Google Earth」で見られるので、移動しながら自分の現在地を空から見るのも面白そうです。馴染みがある場所4つ、東京駅から皇居、新宿副都心、築地市場から浜離宮公園、東京湾のお台場付近を以下に切り出してみました。
 《東京駅から丸の内ビル街、皇居》

 《新宿副都心》

 《築地市場から浜離宮公園》

 《東京湾のお台場付近》

 パソコンで見るならば「F11」キーでフルスクリーンモードにされるようお勧めします。普通に使われているブラウザの小ぶりな窓では、上に引用した絵よりぼけた感じになります。移動するにはマウスで動かすより、矢印キーが楽しいと思います。絵を大きくして、即ち高度を下げてヘリで飛び続ける感覚が味わえます。地形の起伏や田畑や森の表現もなかなかです。5年ほど前には「ちず丸ぐぃ〜ん」が建物の輪郭を連続合成してこれに近い感じを味あわせてくれましたが、新しいグーグル3Dの精細感は抜群に優れています。説明ページは「新しく美しい 3D マップで東京の空を飛んでみよう」にあります。

 【参照】インターネットで読み解く!「3D」関連エントリー


使える存在に動く電子図書館、11県の地域発信型も

 電子図書館という夢が少し現実味を帯びてきました。理想はどこにいても利用できる巨大ネット図書館ですが、既存図書館での電子書籍拡充が本格化しそうですし、11県から地域図書の無料ネット配信が始まりました。青空文庫のように著作権切れを待つのでは、もどかしくて堪りません。公共のサービスとしてもっと良質な提供が望まれます。わたし個人は図書館に行かなくても自宅のパソコンから図書館の電子書籍が読める大阪市立図書館電子書籍を1年ほど使っていて、下にその利用トップ画面を引用しておきます。


 ここで読める和書は1000タイトルほどです。一般受けする本はあまり多くなくて少し専門指向に振れた書籍がほとんどと見受けます。その限りで時々思い出しては使っています。一部ページの印刷も可能です。「公立図書館の電子書籍サービス状況」によれば現在、全国で21図書館があり、読むための携帯用端末を貸し出しているところもあります。大阪市の自宅アクセスは珍しいタイプになります。

 そこへ大日本印刷、日本ユニシス、図書館流通センターに丸善が組んで、10月に「クラウド型電子図書館サービスを刷新、図書館と生活者の利便性向上へ」を打ち出しました。クラウド型なので新たにサーバーやシステムを用意する必要がなく、ネットで結んで直ぐにサービスが始められます。既に1万タイトルが提供できると言い、「2014年4月に予定されている札幌市の図書館システム更新に併せ、第1号ユーザとしての採用が予定」されています。今後5年間で300図書館に広げようと目論みます。

 図書館の形態ではありませんが、「Japan ebooks」のシステムを利用して秋田から宮崎まで11県がそれぞれ各地域関連図書を無料で発信しています。これも電子図書館の仲間には十分入ります。始まったばかりなので自治体の広報誌や観光ガイドの類が多いものの全部で3000タイトルを超します。例えば香川県で「うどん」を検索すると23件が見つかり、「さぬきうどん百店満点」のような実用ガイドもあります。地域の特産グルメには全国的には知られていない、こだわりの存在があり面白そうです。

 「インターネットで読み解く!」で第6回「文書の電子化から電子図書館へ」を書いたのはグーグル検索登場以前の16年も前です。夢の実現は遅々としていると改めて思いますが、今年になって『書籍流通に大波乱か、非破壊スキャン機が登場』という事態になっています。図書館で本を借りて気軽に電子化してしまえる時代に至って、従来の著作権偏重で良いのか、お金儲けより多数に読んでもらうことを重視する著作者もいるのですから新しい手法が登場して良いころだと考えます。


国内で来年にはスマートフォン普及率が過半か

 13歳以上のインターネットユーザーの4割が既にスマートフォンを使っており、半年で1割も嵩上げされるペースが続けば来年には全人口を母数にした普及率でも過半に達する見込みです。インプレスR&Dが公表した 『スマートフォン/ケータイ利用動向調査2013』が「スマートフォン利用率は個人が39.8%、企業が41.7%と1年でほぼ倍増、個人のスマートフォンユーザーのFacebook利用率は38.7%」と伝えています。昨年10月の個人利用率が22.9%、5月29.9%で、10月までに10ポイントも上げて加速しています。米国では今年始めで成人普及率44%となっており、急速に追い付く情勢です。


 年代別の利用状況を見ると中高年世代でもしっかり使われるようになりました。特に男性50代、女性40代で3分の1が持っており、物珍しい状態を脱しています。最も高い20代は男女ともに58%を記録しています。まだ持っていない層に聞くと、「利用しようと思わない」は34%しかなく、今年度か来年度から利用を始めたい人が22%もいます。

 13歳以上のモバイル端末保有者は1億0270万人で同世代の9割、全人口に対しては8割です。60%を超える利用率になれば人口当たりの普及率で過半数に届くわけです。来年になって使っていない人には乗り遅れ感が強まりそうです。従来の携帯電話に比べて、スマートフォン利用者は検索などでの情報収集やフェースブックなどソーシャルメディアの活用に時間を使っています。

 6月に発表された「2012年第1四半期世界のスマートフォン調査、UAEとサウジアラビアが普及率6割超」には主要国の第1四半期段階での普及率が比較グラフになっています。日本は従来携帯でネットを使ってきたので出遅れました。英国やオーストラリアは50%を超えています。グーグルが実施したこの調査リポート「Our Mobile Planet:日本」は「82%が1日に1回以上インターネットにアクセスする」「36%がテレビよりスマートフォンの方が大切」と回答したとしています。

 【参照】インターネットで読み解く!「ネット利用」関連エントリー


FaceBookで取り上げた話題セレクト(Nov#2)

 フェイスブックの私の「ウォール」「Blog vs. Media 時評」ページで、マスメディアやブログなどから多彩な話題を取り上げています。今回は米大統領選の完全予測、「中国の収容所群島」、急成長のタブレット、輸出用超高級万年筆で文字を書いている動画が魅せたモノづくりの素晴らしさなどを紹介。

[FaceBookの話題セレクト]11/8
《大統領選でニューヨークタイムズのネイト・シルバーの数理モデル予測が全50州で的中―政治専門家はもはや不要?》
大統領選の勝敗を全50州で的中させたネイト・シルバー氏の衝撃です。「シルバー・モデルが与えるもっとも大きく、破壊的な影響は、伝統的な選挙キャンペーンや政治評論はもはや選挙結果に決定的な影響を与えることはないという事実が明らかになってしまうことだ。シルバー・モデルは選挙の数ヶ月前から オバマの勝利がほぼ確実であると予測していた」
 1990年代半ば新聞記者ながら総選挙当落判定のためにPCで膨大なデータ分析をしていたので「ありうべき」と思ってしまいます。世論調査など社会観測データと選挙結果を並べて相関関係を構築するのは、新聞の選挙情勢調査の基本です。
 厳密に言うと、どうしようもないようでも伝統的選挙キャンペーンなどがあることを前提に推定結果が得られているので、キャンペーンもなくテレビの評論家も沈黙したら、それこそ結果が変わる恐れもあります。

[FaceBookの話題セレクト]11/7
《死んだプランクトンが餌=ウナギ完全養殖、産業化に前進−東大など》
ニホンウナギ絶滅へカウントダウンだっただけに、嬉しい研究前進です。深い海溝付近では幼生が食べられるのは降り積もってくる、植物・動物プランクトン死骸だったわけです。

[FaceBookの話題セレクト]11/7
《「中国の収容所群島」裁判が要らない“便利”な懲罰制度「労働教養」―中国 : 中国・新興国・海外ニュース&コラム | KINBRICKS NOW(キンブリックス・ナウ)》
ソ連から消えた「収容所群島」が今なお中国に。 《2003年、司法部は「エイズ予防管理戦略計画」の中で、2001年末に全国に340か所の労働教養所があり、31.7万人を収容し、平均収容期間は1年7か月にのぼることを初めて明らかにした》

[FaceBookの話題セレクト]11/7
《読み書きできないエチオピアの子供たちにAndroidタブレットを与えたら...彼らは5ヶ月でハックした》
感動的なエピソード。途上国援助は地元政権や仲介の利権で吸い上げられ易い援助形式より、子ども向けにこれですね。

[FaceBookの話題セレクト]11/6
《タブレット世界出荷49%増 アップルはシェア50%に低下 7〜9月》
急成長のタブレットを個人向けパソコンの仲間とみると、世界で既に4台に1台がタブレット(第3四半期1億1559万台中の2780万台)。ネットを見て回ったり、電子書籍を読む、ビデオを音楽を楽しむといった使い方では、気軽さ、取り回しの自由さでリードしています。来年はもっと凄いことになりそうですね。

[FaceBookの話題セレクト]11/6
《海外「世界一美しい」 日本製の高級万年筆に外国人が色々と大興奮》
国内版価格26,250円の輸出用超高級万年筆で文字を書いているだけの動画ですが、動きと文字のすばらしさに魅せられます。最近買った安物ペンも結構気に入っていますが、とても足元にも及びません。達筆な方なのでしょう、文字の切れ味最高です。


FaceBookで取り上げた話題セレクト(Nov#1)

 フェイスブックの私の「ウォール」「Blog vs. Media 時評」ページで、マスメディアやブログなどから多彩な話題を取り上げています。ニューヨークのハリケーン被害や日本人の起源DNA解析など、関心を持たれそうなものをいくつかピックアップして紹介します。

[FaceBookの話題セレクト]11/3
《ニューヨークがハリケーンに弱い理由》
これでは仕方がないですね。「高潮は、ニューヨーク市のように周辺の海が浅いと余計に発達する。水深が低いと、それだけ高潮は高くなるのだ。サンディのようなカテゴリー1のハリケーンによる高潮は通常0.9〜1.5メートルほどだが、今回、ニューヨークの金融地区では4.2メートルという記録的な水位に達した」
《ハリケーン:水没したNYはどう復旧されるのか》
ニューヨークの復旧は大変そうです。「ニューヨーク市に張り巡らされた地下鉄や車両のトンネルには、約15億リットルもの水が入り込んだ」・・・これは利根川の1日流量の6割くらいです。

[FaceBookの話題セレクト]11/2
《三越伊勢丹の純利益93%減 4〜9月、大阪店舗不振で減損》
梅田進出の三越伊勢丹「年間売上高目標は550億円だったが、今期は340億円と計画を4割下回る見込み」・・・とんでもない見込み違いの原因は開店前から分かっていました。商品企画を東京勢が女性抜きでやっていると聞いています。綺麗だけど冷たい感じの店舗です。「大阪なめとんちゃうか」の読者コメントも。

[FaceBookの話題セレクト]11/1
《外国人旅行者も驚く、日本が世界に誇れる5つの美点》
CNNにそこまで言われると面はゆいような心持ちに・・・「日本は、まるで現代技術の周りを古き伝統が回っている万華鏡のような魅惑的な国だ。この国には、創造力、奇抜なファッション、古風な美しさ、効率的な事業、そして目もくらむファンタジーがある。日本は、全く予想もしない方法で五感を満足させてくれる場所だ」

[FaceBookの話題セレクト]11/1
《アイヌ、琉球は縄文系=本土は弥生人との混血−日本人のDNA解析・総研大など》
言われていた日本人の「縄文・弥生混血」起源のほぼ確定です。新味は「本土人は大ざっぱに言えば、縄文人2〜3割と弥生人7〜8割の混血ではないか」でしょうか。以下もご参考に。
インターネットで読み解く!第7回「縄文の人々と日本人の起源」
http://dandoweb.com/backno/970619.htm
第157回「日本人の起源を読み解く@2008リンク集」
http://dandoweb.com/backno/20080323.htm



ブログ界定点観測ネットに『中国・海外』追加

 ブログ界定点観測「ジャパン・ブログズ・ネット」に新分野『中国・海外』を追加しました。中国を中心にインドや東南アジアからなど最近、収集した、見るに値するサイトのRSSフィードが新着順に並べてあります。東日本大震災・福島原発事故の発生でメンテナンスが停止状態でしたが、『政治・経済』など各分野にも手を入れて行きます。フィードに全文を収録するサイトが増えているなかで、多くのブログをざっと概観できるよう先頭段落程度に限って引用してあるのが特長です。

 ちょうど竹島・尖閣列島の領土問題があちこちで取り上げられています。国内の反応は『政治・経済』などから、海外の情報は『中国・海外』から得られます。研究者や専門家の多様な意見が見られます。まだ解散風が吹いているとは考えませんが、総選挙への動きで橋下新党についての関心も高まっています。この動向も睨みながら収録サイトを増やしていきます。是非ご活用下さい。


宇宙から地上から、秀逸ハイビジョン動画3題

 この秋、ネットで巡り会った、飛び切り美しく見応えがあるハイビジョン動画3題をリンクしておきます。国際宇宙ステーションからのオーロラを冠した輝く夜景に、地上から夜空を見上げ、あるいは地上の自然を愛でた作品です。このブログを訪れていただいている皆さんに見ていただきたいと思うと同時に、私も出先で見たいなと思うことがありそうなので公開リンク集にしました。画面右下のフルスクリーンボタンを押して鑑賞されることをお勧めします。

 最初の動画は国際宇宙ステーションから夜の地球を撮影、編集したものです。極には緑のオーロラ、大陸の街々の輝き、雨雲からは雷のとどろきが光として見えます。通常画質の短いバージョンで見ても宇宙からはこう見えるのだと感銘を受けました。5分間たっぷりの高精細動画で堪能してください。

Earth | Time Lapse View from Space, Fly Over | NASA, ISS
from Michael Konig on Vimeo.



 2番目「A Timelapse Journey with Nature: 2009-2011」は北米を中心に世界各地の情景をふだんは見ないアングルで切り取っています。こんな撮影条件を待つだけでも恐ろしく時間がかかると思えるシーンお連続です。自然美に驚くビデオです。

A Timelapse Journey with Nature: 2009-2011 from Henry Jun Wah Lee on Vimeo.



 3番目「The Mountain」は先の2作品とうってかわって映像の展開に驚くのではなく、大自然に和む映像美です。天の川いっぱいの夜空、雲海のざわめき、高地のお花畑、森の美しさに心安らぐ感覚があふれます。

The Mountain from Terje Sorgjerd on Vimeo.




TPP参加問題、ソーシャルメディアでは反対数倍

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題で日経新聞の世論調査《TPP「参加を」45%、反対上回る 本社世論調査 内閣支持率横ばい58%》は「『参加すべきだ』が45%で『参加すべきでない』の32%を13ポイント上回った」と伝えましたが、ソーシャルメディアでは反対の意見表明がかなり優位に立っています。賛成に振れている既成マスメディアに対して、ブログやフェースブック、ツィッターで情報を集めている市民は反対派が数倍多数の傾向です。

 グーグルのブログ検索で、各キーワードを持つエントリー数を過去1カ月分集計すると以下のようになります。

   TPP           297,000 件
   TPP AND 反対       108,000 件
   TPP AND 賛成       33,300 件
   TPP AND 反対 AND 賛成  25,500 件

 「賛成」と「反対」の両方を持つ分を差し引くと、「TPP反対」82,500件に対し、「TPP賛成」は7,800件にすぎません。10倍の差が付きました。この計算をしないでも3倍の差があります。

 今年になって急速に国内利用者が増えているフェースブックはグーグルのウェブ検索で「site:ja-jp.facebook.com」と集計するサイトを指定して調べました。こちらもこのままで反対が3倍、「賛成」と「反対」の両方を持つ分を差し引くと、反対がほぼ10倍です。

   TPP           8,400 件
   TPP AND 反対       1,450 件
   TPP AND 賛成        568 件
   TPP AND 反対 AND 賛成   453 件

 ツィッターでの発言数は"buzztter"でモニターすることが出来ます。2日16時時点から過去1週間分はこうなっています。縦軸が最大値の大きさに合わせて縮まっている点にご注意ください。「TPP」全体のツイート数は「原発」を上回るほどになっています。



 3番目にある「反対」のグラフは2番目の「賛成」に対して最大値「111」と「79」の比1.4倍大きく見なければなりません。目分量でも反対のボリュームは賛成の3倍程度はありそうです。一番下の「賛成」と「反対」の両方を持つ分は、ブログやフェースブックの分に比べると小さめです。ツイート出来る文字数の制限が効いているのでしょう。


『iPad新聞』の大欠陥:存在証明はテレビ以下

 既に1500万台以上売れているアップルiPadに特化した有料新聞「The Daily」が2日に創刊されて1週間が経ちます。紙の新聞はもちろん、ウェブ版も作らず、しかも米国のApp Storeでしか入手できないので、日本からはiPadを持っていてもアクセスできない存在です。辛うじてボランティアが作った非公式な目次集《The Daily: Indexed》があるので記事の一部は読めていますが、豊富な動画などマルチメディアを駆使しているという実像には手が届きません。気になりつつ横目で見ているうちに気付きました。新しい電子新聞の期待に反して、この形態の『iPad新聞』は社会的な批評の対象として考えるとテレビにも劣る存在になっています。

 概観してもらうには「ITmedia」の《写真で見る「The Daily」――これは新たなデジタルメディアか?》がよいと思います。iPadの大型画面で記事を載せた各ページがどう現れて、どう見せているのか感じはつかめます。

 有料と言っても週で99セント、年間で39.99ドルの画期的な安さです。その経営見通しはこうです。「News Corp.がThe Dailyの制作に100人体制のスタッフを組織し、その開発に3000万ドルもの金額を投じたということ、そして、今後の運営にも週に50万ドル程度が掛かる」「長期的には購読料と広告料のバランスが取れたメディアになる」「初期投資を考慮しなければ25万人程度の購読者獲得がまずは最初の目標となるだろう」

 「メディア・パブ」の《マードックが仕掛けたiPad専用の電子新聞「The Daily」、ユーザーの第一印象は》はiTunes app storeのユーザー評価を引いて「ユーザーの第一印象は比較的良かったようだ。2300人以上のユーザーが5段階評価(5つ星から1つ星まで)に参加している。平均すると、3.5となっている。満点(5つ星)を投じた人は、43%の1008人であった」と伝えています。

 その上で「ソーシャルメディア陣営の一部からもブーイングが」「90年代半ばに登場したCD-ROM版マルチメディアの復活で、閉じたパッケージメディアであると」「The Dailyの記事には、リンクがないし、RSSフィードもない。筆者や編集者と連絡するためのメールアドレスもない。検索エンジンからアクセスができない。対話性も決められた範囲内に限定される。などといった不満が聞かれる」

 CD-ROM版マルチメディア以上に困るのは、あの記事は面白かったね、と言い合う基盤を欠く点です。iPadをネットに接続して開くたびに60本以上もある記事が更新されて、前のものは読めなくなります。個人的に切り抜きたい記事はクリップ出来るようですが、大量の情報は日々にどんどん流れていき、テレビ番組を録画して批評を交換するといった程度の連携すら難しいのです。

 非公式な「The Daily」目次集を作成している方のブログ《Waxy.org: Andy Baio lives here》をのぞくと、「法的に問題があるから止めろ」と言われれば何時でも止めますとメールアドレスを掲げていらっしゃいます。しかし、ジャーナリズムの有り様として今日の記事しか見えず、以前の記事が全く読めないという形態には問題があるとの認識で、共感できます。

 昨年11月の第230回「既成メディアとネットの拮抗、潮目が変わる」ではiPad新聞に期待を持ったのですが、いざ現れてみるとネット社会の中で位置づけが難しいと感じます。少なくとも、非公式な目次集すら無い「The Daily」ならば存在感は極めて希薄ですし、物書きの側からしても何のために書いているのか魅力に欠けます。


現実にすぐ追い越されてしまう最高裁判決

 またまた時代遅れの困った判決を最高裁が出しました。《最高裁が「まねきTV」訴訟で審理差し戻し、自動公衆送信に相当すると判断》(INTERNET Watch)です。実は2月発売予定の「Slingbox PRO-HD」というテレビ番組・各種ビデオ自動転送装置に注目していました。最高裁の論理だとこれすらも違法になりかねませんが、差し止めるのは不可能でしょう。

 判決の理屈はかなり奇妙です。「著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨と目的は、公衆送信の一態様である『自動公衆送信』が既に規制の対象とされていた状況下で、自動公衆送信の準備段階の行為を規制することにあると説明」「公衆の用に供されている電気通信回線に接続し、装置に入力される情報を受信者からの求めに応じて自動的に送信する機能を有する装置は、単一の機器宛に送信する機能しか有しない場合であっても、行われる送信が自動公衆送信である」

 インターネットに接続すること自体が駄目と言っているようなものです。そして、利用者が自分用に受信機を購入して業者に預けている形態でも「受信者からの求めに応じて装置が情報を自動的に送信できる状態を作り出す行為を行う者が主体であると解するのが相当で、装置が公衆の用に供されている電子通信回線に接続しており、これに継続的に情報が入力されている場合には、装置に情報を入力する者が送信の主体にあたると解するのが相当」と、かなりな屁理屈です。

 上記の「Slingbox PRO-HD」はハイビジョン画質でも転送が出来て、自宅のAV機器のビデオを地球の裏側からでも楽しめるとうたっています。最高裁判決の対象事例はまさにこのケースで、海外で日本のテレビ番組を楽しみたいユーザーの要望に応えていました。「Slingbox PRO-HD」を3万円余りで購入して日本の知人宅にでも置けば、テレビ各社が今回の最高裁判決にしがみつこうが海外からでも視聴は出来てしまいます。視聴するソフトはインターネットのブラウザですから、iPadなどの機種別・OS別の縛りが無くなる点が非常に面白いと感じています。


年明けの話題もツイッターとウィキリークス

 年が改まってもツイッターとウィキリークスの話題が続いている感じです。AFPが《日本の「あけおめ」、ツイッター世界記録を更新》で「ツイッター(Twitter)のブログ発表によると、2011年が訪れる瞬間、日本では世界の秒間ツイート記録を更新し、1秒間6939ツイートを達成した」「それまでの秒間ツイート記録も日本で、2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で日本代表チームがデンマーク代表に勝利した直後の1秒間3283ツイートだったが、2倍を上回るツイート数によって、約半年でこの記録を塗り替えた」と伝えたと思えば、ウィキリークスに絡む個人情報で重大な問題が公になりました。

 CNNの《米当局、ツイッターにウィキリークス関連情報提出を要請》です。「米当局は、ミニブログのツイッターに対し、民間告発サイト『ウィキリークス』の創始者ジュリアン・アサンジュ氏、および同氏の著名協力者数人に関するアカウント情報などの提出を要求」「情報提出の対象となったのは、アサンジュ氏のほか、(アイスランド国会議員)ヨンスドッティル氏、米軍の機密情報をウィキリークスに漏えいした疑いで逮捕されたブラドリー・マニング米陸軍上等兵、オランダのハッカーなど」「バージニア州の連邦裁判所はツイッターに対し、これらの加入者の氏名、ハンドル名、電子メールアドレス、現住所、接続記録などの、アカウント関連情報を提出するよう求めたという」

 「小林恭子の英国メディア・ウオッチ」が「米司法省が、ツイッターに対し、アサンジやアイスランド議員の個人情報開示を要求」でまとめてくれています。当初は有無を言わせず内緒で個人情報を引き渡せ――だったのですが、ツイッター法務部が抗議して、加入者各人に知らせ異議申し立てが出来るようにしたようです。CNNの情報源は憤ったヨンスドッティル議員です。「考えてみると、ネット関係の大手はすべて米企業ーグーグル、アップル、フェイスブック、イーベイ、ツイッター・・・。なんと切ないことだろう、これほどまでに頼り切ってしまっていたとは」と嘆く事態であり、日本のユーザー情報も米当局が要求すれば引き渡されてしまいます。いや、今回のように公にならない状況下で何があったか知れないのです。

 ツイッター利用者について「In the looop」の「mixi, Twitter, Facebook 2010年11月最新ニールセン調査 ? Twitter、ついに国内ネット人口の20%超え」が年末にリリースされています。利用者数が「mixiは961万人、Twitterは1244万人、Facebookは293万人」と出ていますが、ここに現れないユーザーがいるため「11月度のTwitterユーザーは約1,600万人に達すると推定される」そうです。2010年1月に比べて3倍近い増加です。やはり増加中のFacebookとともに今年、どこまで伸びるか注目です。

 ウィキリークスについては毎日新聞が電話取材で《ウィキリークス:米公電暴露 ペンタゴン・ペーパーズ事件のエルズバーグ氏が擁護》と報じて目を引きました。「米外交公電暴露について『動機は米市民が気づくべきうそや犯罪を暴露し、政策が改善されるよう影響を与えるためで、米国の国益のために行った私と同じ』と擁護した」「米政府がアサンジ容疑者や情報漏えいを厳しく追及していることについては、『オバマ政権はブッシュ前政権より防衛問題などについて少しも透明性が高まっていない』と非難し、政府の秘密主義を正し間違った戦争を避けるため、暴露がもっと必要だと訴えた」

 日本からの外交公電暴露も捕鯨問題を手始めに出てきましたが、これまでのところ内容は抑制が効いています。


毎日新聞「金沢市長選:ツイッターで選挙戦」について

 毎日新聞が12日朝刊1面トップで「金沢市長選:当選陣営がツイッターで選挙戦 指導を無視し」と報じました。1364票の小差で当選が決まった選挙戦に「ネット運動が影響を与えた可能性が高く、公選法改正の動きや来春の統一地方選に向けて波紋を呼びそうだ」と、問題だとの論調です。しかし、このケースは立件して裁判になったとして、最終的に最高裁で有罪になるか疑わしいと思います。

 《市選管が問題視するツイッターを書き込んだのは、陣営のネット戦略を担当したIT関連会社社長(48)と山野氏の秘書。社長は告示(11月21日)後の23日、「金沢市長候補山野氏。今は金沢ベイで街頭演説中です」と山野氏の画像を添付して投稿。公選法への抵触を心配する声に「心配ご無用! メール、電話、ツイッターALL(オール)OK!『一票入れて!』とハッキリ言っていいです」と、投票呼びかけの拡散を求めるような書き込みをしていた。28日の投開票日までの書き込みは、選挙に関係ない個人的な内容も含め212回あった》

 《秘書は市長選を中心に計44回書き込み、投票締め切り約2時間前の28日午後5時51分には「かなり、せってます。まだの方はその一票で変わる」と記載。午後6時36分には社長が「今、500名差です」「あなたの一票で! 新市長誕生を! 投票所へ! 一番ヤル気満々の男にお願いします」と書き、文末のURLをクリックすると山野氏の画像が表示されるようにした》

 総務省はツイッターも公選法に引っかかると解釈していますが、厳しい規制ある「文書図画の頒布、掲示」とは不特定多数を相手に配布、掲示する行為です。エントリーが長期にわたって見えるブログの場合はともかく、ツイッターにこれを適用するのはもともと無理筋です。ツイッターはフォローしてくれている知人に対して発信しているもので、不特定多数の人が見るのは特に評判になった希なケースです。フォローした知人がリツィートして広がっていく可能性はありますが、そこから先は知人の問題です。

 参院選を前に「ネット選挙は大衆には解禁済み。運動でなければOK」で書いているように、直接の投票勧誘でなければ実質的に何を書いてもかまわない状況がすでに生まれています。リツィートする知人が責任を問われることはまずありません。

 世耕弘成参院議員が「【ネット選挙解禁その3:ツイッター自粛の扱いに苦労】」で「結果として第三者による選挙運動を誘発する可能性がある。そこでこれらの機能を利用することを自粛することにした」「かなり苦しい理屈に見えるかもしれないが、ネット利用選挙運動解禁を一歩前進させるための整理ということでご理解頂きたい」と書いているように、政治家でもツイッターの本質を知っている人には無理なことをしているとの自覚があります。

 毎日新聞は《電話で指導。改善されないため、選管は24日に石川県警に連絡した。県警は警察庁と相談したが、公選法違反の警告はしなかった。県警幹部は「判断は難しい。ネット選挙解禁の流れから、いま立件するのはどうかというところもある」としている》とも伝えています。捜査側として手掛けたい事件ではないでしょう。

 ブログあるいはツイッターの反応を見ていると賛否両論ですが、新聞に引きずられた感情的な議論が多いようです。県庁所在地都市の市長選がツイッターで左右されることがあれば、とても興味深いのですが、フォローしている人の規模も不明で、冷静な目配りがされた記事ではありません。毎日新聞が挙げている「投票日の午後6時過ぎから若い人がどっと投票に来た所があった。初めて見る光景に驚いた」(市選管職員)などの状況証拠に説得力があるとは思えません。


岡崎図書館事件始末の次は被害届の取り下げ

 岡崎市立中央図書館のホームページ・システムを作った三菱電機インフォメーションシステムズが事件後、半年も経過してから、かなり渋々とシステム欠陥を謝罪したのですが、偽計業務妨害容疑で愛知県警に逮捕された中川さんが大事な論点を「私にとって重要なポイント(朝日新聞記事)」で提起されています。「今後ほかの技術者の皆さんが、同じ状況に出くわしたときに、私と同じように逮捕され、犯罪者とみなされてしまうことを心配しています」「警察への被害届は出されたままという状態です」「公式に『これは犯罪ではありませんでした』と発表して頂けることを願っています」と、図書館側に迫っています。

 「高木浩光@自宅の日記」も「 岡崎市に求められているものは何か 岡崎図書館事件(12)」で、岡崎市は公式には「その後の捜査により、大量アクセスを行った人物が逮捕され、報道によりますと、起訴猶予処分となっているとのことです」と発表したままであり、犯罪があったとの立場を変えていないと指摘します。そして「岡崎市には、これが犯罪ではなかったのだということを認めて、発表していただきたい。それは中川氏個人に対してではなく、すべての国民に対して必要なことではないか。そうしようにもきっかけがないのかもしれないが、それは、被害届の取り下げという方法で可能だと思う」と述べます。

 起訴猶予処分が出された後で被害届を取り下げても刑事訴訟上の意味はありませんが、捜査上でするべきことをせず、半端な理解のまま処分を出した警察と検察側に対して警鐘を鳴らす意味は持つでしょう。私の手元にも読者からのメールで「大きな過ちをした、検察の担当者には、罪が課されないというのは、刑事事件の誤認逮捕の警官が罪を問われないというのと同じですね。懲戒免職くらいの責任の取り方が必要だと思います」と非常に厳しい意見が届きました。捜査側が何か反省を示してくれる可能性はきわめて薄いと思いますが、きちんとネジを巻いておくことが必要でしょう。

 そして、岡崎市側についてコメントすれば、市立図書館の真っ当な利用者を事前の警告もなく警察に突き出した形になっているのですから、システムの欠陥が明らかになった今、頬被りして済ませるのは地方自治体の在り方としても問題ありです。


岡崎図書館事件、半年経過しシステム欠陥謝罪

 第207回「岡崎図書館事件を知るとIT立国など到底無理」で取り上げた38歳の会社社長が岡崎市立中央図書館のホームページに大量アクセスを繰り返しシステムを止めたとして、偽計業務妨害容疑で愛知県警に逮捕されたのが5月でした。昨11月30日、このシステムを作った三菱電機インフォメーションシステムズが半年も経過してシステムに欠陥があったと認めました。《三菱電機ISが図書館システム問題で謝罪、「SIerとして不十分な点があった」》(INTERNET Watch)などが伝えました。

 会見では「1回のアクセスに対して10分間データベースとの接続を維持する仕様となっていたため、頻度の高い機械的アクセスによってデータベースの同時接続数が設定値を超えたためアクセス障害が発生した」と説明されました。せいぜい数十秒で終わる図書検索なのに10分間も引っ張り続ける仕様だったために、1秒間に1回、新着図書の有無を見に行く会社社長のコンピュータからのアクセスがあると、同時に処理する件数が膨大になってしまう欠陥です。検索結果を返したら接続を切る――普通の処理にするだけで問題解決でした。

 全く突然に逮捕され20日間も拘留の上に不起訴(起訴猶予)になったご本人が長大な「Librahackメモ」に、自身の経験とこの間、色々な人が真相究明のために集めたデータを時系列で並べていらっしゃいます。「6/10 検察庁で検察の取り調べを受けた」の項にある会話がシステム欠陥との関係、日本の検察のITレベルを示しています。

 《検察官との会話1:本人「あの(方式の)アクセスでサーバがエラーを発生するとは(普通)思いませんよ?」 検察官「でもプロなんだからそれぐらい気付かないの?」 本人「いやいや(予想できません)。リクエストに対するレスポンスが返ってきてから次のリクエストを送信するのでサーバにかける負荷は高々1リクエスト分です。だから自分のアクセスが原因でサーバにエラーが発生するはずはないと考えますよ、普通。」 検察官「でも君が何回もアクセスしたから問題が起きたわけでしょ。」 本人「それは図書館のサーバの不具合が原因ですよ。」 検察官「・・・」 検察官「でも他の利用者はそんなことする(プログラムを使ったアクセス)と思う?」》

 検察官がここまで説明されて理解できなかったとは、地検廻りを経験し頭脳明晰な検事を知っている者として意外です。会社社長の「リクエストに対するレスポンスが返ってきてから次のリクエストを送信する」説明が理解できれば、全く別のファクターが裏側に潜んでいると推論して当然なのです。理系出身か文系出身かの問題ではなく、純粋にロジックの問題です。そして、早期の真相究明を阻んだのが「システムに問題は無い」と言い張り続けた三菱電機ISと、その言い分に乗って頑なだった図書館側の姿勢でした。

 この件で大活躍された高木浩光さんが「三菱電機ISに求められているものは何か 岡崎図書館事件(10)」の最後に、10月下旬に同社を訪れて常務を相手に非常に厳しい通告をされたことが書かれています。「三菱電機ISは情報システムの会社だ。現時点でなくとも将来、Webクローラを用いたシステムを開発し運用することだってあるだろう。そのような当事者でありながら、このような対応を続けるのか。情報システムの関係者全体に迷惑がかかることが未だわからないのなら、業界から退場してほしい」

 6月には「司法、マスコミを含めた社会全体のデジタルデバイドは深刻で、これじゃIT立国など到底無理」と書きましたが、あの時点ではシステム製作側までもがこんなに鈍とは思っていませんでした。これではグーグルに対抗するような、国際的な競争力があるモノやシステムを生み出すなんて根本から無理です。天を仰いで嘆息するばかりです。


既成メディアとネットの拮抗、潮目が変わる

 27日は大阪で開かれた「ジャーナリズムフェスタ2010」に行きました。この催しの趣旨は既成マスメディアの窮乏化で外部委託費が削られる中、フリーランスのジャーナリストが今後どう展望を切り開けるか考えるものです。新聞、テレビなど既成メディアとオルタナティブであるネット・ジャーナリズムの関係は、今年に入って潮目が変わってきており、皆さんがどのように考えているか興味があったので参加してきました。予想通り、閲覧端末としてのiPadが世界規模で普及し、取材活動の産物がアップルストアのアプリケーションとして売れる可能性がクローズアップされていました。電子書籍化はもっと広がっており、他の手段も含めてネット情報の有料化が論議されましたが、この方向はネット上の全ての情報を検索可能にしてしまおうとするグーグルの野望と正面からぶつかります。

 この催しについて、いま出ているメディアの記事は共同通信の《デジタル時代の報道を議論 「マスメディアと対決」》くらいしかありません。ネット上で輝いている知性が既成メディアの報道を遙かに凌駕しているのは以前からの事実です。2006年にはオーマイニュース日本版について「大型市民記者メディアは無理と決した [ブログ時評65]」と書きました。あの当時から質の高いブログの記事を活用すればずっと善いと思っていたのですが、最近になってポータルサイトがそれを現実にし始めました。

 ポータル最大手の「Yahoo!みんなの政治」「政治クローズアップ」で個別テーマを開けてみてください。ブログから選ばれた記事と既成メディアの記事が同じようにリンクされ、並んでいることに気付くはずです。いや、そのテーマについての「見方」「読み解き方」について言えば、多くの場合、ブログ側が断然優勢です。今回の催しでも指摘する発言がありましたが、「PJ(パブリック・ジャーナリズム)ニュース」という無理筋に手を出したライブドアが、現在は「ブロゴス」という形で読むに耐える専門家を中心にしたエントリーを集め、相当なページビューを稼ぐようになっています。事実上、既成メディアとネット・ジャーナリズムが同じ土俵に立つ、拮抗の時代が来ました。

 パネリストに関西ウォーカーの玉置泰紀編集長がいらっしゃり、全盛期の50万部から10万部弱に減っているものの、編集者がDTPソフトを使って印刷直前の状態まで仕上げて印刷会社に渡すようにしたら、広告料を除いて販売収入だけで黒字になっていると報告されました。レイアウトを描いただけで原稿、写真などの素材を印刷会社に丸投げしていた雑誌が次々に潰れていく中、これも面白い話です。

 これから連想したのがメディア・パブの「マードックとジョブズが手を組む、共同プロジェクトのiPad新聞が来年早々にも登場」です。「the Sunやthe New York Post、 the New Yorker、The New York Times、 AOL News、 The Atlanticなどからジャーナリストをかき集めているとか。Forbes誌によると、総スタッフ数は150人程度になり、News Corpの予算は最初の年が3000万ドル程度と見られている」と書いています。アップルストアのアプリケーション専用として売るのなら紙面編集以降の費用は知れていますから、ある程度のスタッフ数と取材費を投入してもペイするのでしょう。

 週間購読料99セント、200万読者を目指す「iPad新聞」ですが、こんな大規模ではなく、限られた分野やローカルな地域で小規模な新聞を作る方向にも応用出来るのでないでしょうか。地方紙が潰れて地方ニュース空白地帯が広がる米国でローカル新聞を再興する可能性だってあるかも知れません。国内でも少し知名度があるジャーナリストを中心にすれば、ミニiPad新聞が可能でしょう。有料と言えば、「まぐまぐ」から出している「ホリエモン」こと堀江貴文氏の有料メルマガが、来年初めには年間1億円の売り上げ規模に達するとの見通しも会場で「まぐまぐ」から報告されました。少し前までなら信じられない数字です。月間数百円程度の購読料なら広く受け入れられる状況になっています。

 どのような形であれ有料コンテンツはインターネットでの検索対象から外れます。その主翼であるアップルはますますグーグルと対峙する存在になっていきそうです。

 【参照】新聞社の電子版有料化、内外とも苦戦苦悩


『尖閣ビデオ』の注目度、日本シリーズの8倍@Twitter

 5日未明に突然、ユーチューブにアップロードされた「尖閣ビデオ」を巡る議論は国会もメディアも混沌として焦点が定まらず、拡散気味です。そちらの議論に参戦するつもりはありませんが、ネットウオッチしている立場からは社会の衝撃度観測に関心があり、今回の出来事を大衆がどれほど感じたのか、ツイッターの頻度グラフが見事に記録してくれたので報告しておきます。最後に劇的に盛り上がったプロ野球日本シリーズ第7戦に比べると、注目度8倍だったとして善いでしょう。

   【訂正】はてなブックマークで《「日本シリーズ OR 中日 OR ロッテ」で
  2800を超える》と検索結果への異議がありました。11日に再度検索した
  のですが、24時間以上前のデータが失われているようで、確認できません。
  その通りなら、日本シリーズのtweetは4倍にはなるでしょうから、
  「注目度、日本シリーズの2倍」とすべきかと思います。

 Twitterの周辺にある「buzztter(バズッター)」サイトを利用すると、ツイッターでささやかれたキーワードごとに集計してグラフを作ってくれます。140文字の制限があるツイッターでは「尖閣ビデオ」が必ずしも言われる訳ではなく、色々と試行してみると「尖閣ビデオ OR 流出 OR 海保」の組み合わせがベターでした。これでピーク時が1143件です。一方、「日本シリーズ」のピーク時は614件です。以下に8日正午現在で作成のグラフ(右端が8日正午)を並べます。


 グラフをなぞることでTweet回数を推計しています。「尖閣ビデオ等」は夜中に急激に立ち上がった後、一時落ち込み、夜が明けてから再び盛んになります。グラフは1時間に1つの点と考えられるので、7日未明までの45時間で区切ると合計が10262件になります。「日本シリーズ」は低調でしたが、第6戦の史上希な壮絶な引き分け試合で一気に盛り上がったのがツイッターでもはっきり分かります。視聴率20.3%を叩き出した最終の第7戦について、10時間で区切って集計すると合計が1324件です。比は7.75倍になります。ただし、グラフの刻みが30分間隔かもしれず、その場合はTweet回数合計は両者ともに2倍になります。

 出来事への大衆的な関心度を見る指標にブログのエントリー件数推移を使う試みを、第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」第167回「ブログ記事数グラフで見る米大統領選」などで続けてきました。しかし、便利だったテクノラティ社が撤退してしまい、現在はグーグル・ブログ検索で日付を指定してカウントしていくしかありません。ところが、11月に入ってからはグーグル・ブログ検索「尖閣ビデオ」で、
 1日 4770件
 2日 4167件
 3日 3603件
 4日 3307件
 5日 7507件
 6日 7250件
 7日 7014件
 8日 7628件
 9日 4427件(16時現在まで)
となっており、国会で限定的にビデオを視聴した段階から盛り上がっていましたから、5日未明のビデオのゲリラ的公開がどれほどの衝撃だったか見えないのです。

 今回のようにツイッター集計で社会的な注目度、衝撃度を評価できるのなら、今後にも応用が利きそうです。なお、測定のツールとしてはフリーソフトの《!0_0! Excel 「長さ・面積測定」》を使わせていただきました。


新聞社の電子版有料化、内外とも苦戦苦悩

 今年は日経新聞がある程度の無料記事を残して有料電子版に踏み切り、英国ではタイムズ紙がウェブに無料記事が存在しない完全有料化を果たしました。来年からはニューヨークタイムズ紙もこうした電子版有料化に加わります。日英の両紙は公式には順調を装うものの、私は実際には苦戦模様と受け止めています。ニューヨークタイムズも有料読者への価格設定をどうしたものか、頭を痛めている様子です。経済金融情報中心で唯一の成功例と言われるウォール・ストリート・ジャーナル「電子版有料読者120万人」に続くのは、なかなか難しいようです。

 完全有料のタイムズ紙について「EBook2.0 Magazine」の「英国Times紙の有料読者獲得は10万」は、逆に無料主義を続けるライバル紙、ガーディアン側の見方をこう伝えています。「評価は、とにかく手厳しい。10万の購入者のうち、定期購読は半分にすぎないとみているからだ」「電子版を購読するのは従来からの愛読者のみ。数百万人がトップページだけを見て去っていく。わずかな購読者を得ることで、つねに『会話の中心に存在すべき』共鳴器としての地位を失っているではないか」。数百万人の客が10万、20万人になれば広告価値は激減します。示されているシェア・グラフの落ち込みは深刻です。同紙の電子版購読料は月8.67ポンド、1100円余りなのに、5万の定期購読者しかいないのです。

 日経新聞の電子版有料会員は始めて1カ月もしない4月17日に6万人を超え、7月7日には7万人とアナウンスされました。朝日新聞は「3年前後で30万人の有料会員を目ざしていた同社では『想定を若干上回るペース』(広報グループ)と話し、順調な滑り出しと位置づけている」と報じたのですが、その後の動きが見えませんでした。11月になってようやく「コンテンツメディアの在り方」(読売新聞)にパネルディスカッションでの同社幹部発言が収録されました。「日経電子版は有料サービスで、しかも従来のサービスと比べても非常に高価だ。しかし、開始以降約8万人が有料サービスの会員になり、その属性は企業の部長以上が40%、役員が25%という属性になったという」

 電子版有料会員の増え方は「4カ月で1万人」にペースダウンしたと見られます。電子版の定価は毎月4000円ですが、既に紙の新聞を定期購読している読者は1000円の追加で済みます。日経新聞の最終版を読めなかった「早版地域」の読者にはこの1000円は価値があり、4月の立ち上がりに多数集まったはずで、その後の追加は少ないとみられます。そして、企業幹部中心の読者属性は「社用」で利用されている現れであり、一般市民読者の心を捉えているとは言い難いでしょう。

 「WSJのweb有料会員になってみたよ。」(一若者が観る三千世界)が月1660円のウォール・ストリート・ジャーナル日本版Web有料会員になって、日経新聞との比較をしています。「Nikkeiは4000円/月の魅力はちょっと感じなかった」日経に「好ましく感じなかった点は、1) ブロガーは個別記事へのリンク禁止、 2)リンク切れ起こす(会員サービスとしてアーカイブ検索は存在する)、3) URLがなんか変」「紙面でどんな広告うたれているかが分からず、メジャーな流れについていけない」「あの記事見た?という新聞購読者同士のコミュニケーションがない」とあり、それぞれ理解できます。日経の場合、外部のネット世界、ソーシャルメディアなどで話題にされる利用方法を最初から拒絶しています。

 ニューヨークタイムズ紙については、「ニュースサイトの有料化」(From the Land of Freedom Fries)に、同紙のアンケート依頼に応じた話が書かれています。「『nytimes.comは来年から有料になります。月$10ならあなたはアクセスしますか?』これに『ノー』と答えたら、次は『$10の8割引ならアクセスしますか?』」「この料金設定の質問が延々と続いた。日曜版(紙媒体宅配)プラス電子版無制限で月$60とか、日曜版プラス電子版記事月に10本で$20とか(正確な設定、金額はよく覚えていない)、とにかくありとあらゆる組み合わせ、値段で、これでもか、これでもかと聞いてくる」

 月1000円前後が可能なのか、思い切って下げるべきなのか、悩みは深いはずです。そして、アクセス数の激減があれば広告収入だけでなく、話題の中心から外れる結果、マスメディアとしての社会的地位の変動も招きます。

 【参照】インターネットで読み解く!「電子版」関連エントリー


反日デモ、Twitterの大波に中国当局が逆上

 中国におけるTwitterの使われ方に一連の反日デモを通じて注目が集まっているところですが、「【速報】冗談つぶやいたツイ民まで拘束=本日の重慶反日デモ潰しに当局が見せた本気」(Kinbricks Now)が民衆操作が思うようにならぬ中国当局の逆上ぶりを伝えています。容認した反日デモが政府批判の様相を強くしている誤算からでしょうか。

 「26日には重慶市でのデモが予定されているが、同日未明、取り締まり強化を象徴するような事件が起きた。24日、宝鶏市デモのニュースを知った重慶市在住の女性ネットユーザーは『26日にもし重慶でデモがあったら、”おめでとう!暁波おじさん”っていう横断幕を持っていくよ』(暁波とはノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏のこと)とつぶやいたところ、26日未明、警察に突然訪問され、派出所に連れて行かれたという」

 言論の自由が無かった国に、ぽっかりと生まれた自由空間で軽口を叩いたら未明に警察連行とは。実質的に罪になりそうな点が無いのですから人権抑圧勝手放題の国とは言え、あまりにも酷いと思えます。Kinbricks Nowの「誰が反日デモをしかけたのか?!中国系メディアは反日デモ報道を封殺―中国」はデモの大波が襲った16日のネットの状況をこうも書いています。「ネット掲示板にはデモの写真や動画のアップが続いていますが、それも削除されたところが多いよう。中国版ツイッターの新浪微博では『デモ(游行)』が検索できないばかりか、『散歩』(デモではなく、『たまたま』ひとところに集まった風を装う中国の運動方式)も検索できず。さらにさらに『日本』『西安』『成都』『鄭州』も夜には検索できなくなっていました。自国の主要都市さえ検索できないって一体」

 中国からTwitterへは正式には遮断されていることになっていますが、様々な方法でアプローチされ、その情報が新浪微博など国内ネットに流れ出る構図になっています。Kinbricks Nowでは四川省綿陽市でデモ隊を追っかけて実況中継した長編が翻訳されていて興味深い内容です。

 ちょうど良いタイミングで「Business Media 誠」に「『Twitterは中国に100%自由な言論空間を与えた』――トップツイーター安替氏の視点」が掲載されました。劉暁波氏の夫人、劉霞さんは現在は取り上げられましたが、受賞決定からしばらくの間、iPadを使ってつぶやくことができました。「劉霞さんのフォロワー数は5000〜6000人ほどで長らく推移していたのですが、劉暁波さんがノーベル賞を受賞した10月8日ごろから増え始めて、1万人を大きく超える数にまで伸びたことが分かります。それは明らかに、『劉霞さんが何を考えているか』を外部の人が知りたいと思ったからでしょう」と中国の先駆的ネットユーザーの情報を伝えています。

 ブログの場合は「だいたい半日に1回、管理者がチェックして、まずい情報が出た時にブログが削られるという管理が行われていました」「しかし、Twitterでは一瞬のうちにたくさんのツイートが投稿されるので、それをすべてチェックするためにはものすごく多くの人手が必要となり、その費用も莫大なものとなるわけです。そのため、Twitterに代表されるマイクロブログは管理できない状態になってしまいました」

 即時にブロックできなかったからといって、後になって冗談まで摘発する中国当局が相手では甘い見通しは控えるべきかも知れません。この自由な発言空間が守られ、中国社会に影響を広げていくかどうか、注目したいと思います。

 【参照】2010/10/11「中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる」


2010年代はネットもアジア太平洋の時代に

 世界人口69億人、携帯電話契約53億件、ネット人口20億人――立て続けに世界規模の人口関連統計が発表されています。特に注目しているのがインターネット利用人口です。国際電気通信連合(ITU)の「プレスリリース ITU estimates two billion people online by end 2010」を読んでみましょう。

 「家庭でインターネット使う人は2009年末の14億人から2010年末には16億人になる」「新たに増える2.26億人の内、1.62億人が途上国であり、急成長している」しかしながら「2010年末までに先進国では人口の71%がネット利用が可能な環境にあるのに、途上国ではまだ21%だ」「それを家庭でみると先進国は62%、途上国では13.5%にすぎない」

 このプレスリリースにはとても興味深いグラフが添えられていますので、以下に引用します。

 グラフの本体は2005年から2010年までの地域別インターネット利用者数の推移を積算しています。2010年で既にアジア太平洋が3分の1を占めていることが分かります。グラフの上には地域別に人口当たりのインターネット利用率が表示されています。アジア太平洋の21.9%に対して、南北アメリカは55%、欧州が65%と先進国は頭打ちの段階に近づきつつあります。過去5年間で世界のネット利用者は倍増しましたが、次の5年間でもその勢いを保つのはアジア太平洋と現在9.6%の利用率しかないアフリカでしょう。

 このグラフが5年後にどのように変化していくのか、想像してみましょう。全体の規模は30億人を少し超えた程度でしょうか。その中で、伸びしろが大きいアジア太平洋が過半数を占めているはずです。利用者数だけでパワーを測ることは出来ず、コンテンツも大事ですが、2010年代はこれまでの5年間とは違う時代がやって来ることを予感させるグラフです。


中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる

 中国最南部、広西チワン族自治区北海市に属する白虎頭村で武装警官数百人による村民追い出しと家屋取り壊しが7日から始まり、Twitterで現地から実況が流されていましたが、強制執行は止まったようです。「ついに中央介入か。何故か止まる強制執行」(中国という隣人)が「お隣広東省を根城とする南方都市報が先頭切って報道を行ったことで、流れが変わりそうです。南方の記事を新浪、捜狐などのポータルサイトが転載したことで、政府が乗り出す下地を作りつつあると見られます」と伝えています。

 独学で日本語を学んだという中国人高校3年生がツイートを翻訳してくれ、それが「<その2>【実況】中国農村の土地強制収用」でまとめて読めます。青い「死に装束」の老人が覚悟を固めてプロパンガスボンベの前にいる写真や、瓦礫になった家の現場写真も出ています。中国の人権抑圧がこんな形で生々しく世界中に流されるとは驚異的です。

 8日のツイートで「マスコミの記者多く到着。政府の取り壊し行為は一時的に中止」「午後2時10分、村人:『北京からの二人の記者が警察につれて行った』。午後3時、政府の取り壊し行為は一時的に中止」とあって、地方政府もごり押し出来なくなったようです。

 経緯は《「武装警官が突入してきた」土地強制収用の生々しいツイッター中継=蹂躙された人々の悲痛な叫び―広西チワン族自治区北海市》(Kinbricks Now)にあります。これだけ話題になったのは「中国版ツイッター・新浪微博で実況され、中国中のツイ民が注目する事態となったから」で「武装警官1000人が村を包囲」「消防車や救急車が待機。当局、やる気だ…」「武装警官が窓から入ってきて、村民を引きずり出した」「ぶっ壊される自宅を見て涙する村民」「最後まで戦うべく、火炎瓶の準備を急ぐ」などが現地から流されました。

 昔なら電話線を切断すれば済んだのでしょうが、携帯電話やモバイルパソコンには手の施しようがありませんね。ウェブ上の情報については「百度で検索すると、今春までは違法土地収用に関する記事がどっさり。ところが6月以後、ニュースが完全に消える。明らかに『河蟹』(検閲を指すネットスラング)された」そうですが、リアルタイムのTwitterをブロックするのは難しいはずです。

 【参照】これまで書いてきた「インターネットで読み解く!」『中国』関連ファイル


新聞がウェブの使い方を変えつつあるよう

 北海道新聞のウェブに13日、《【ウェブ特報】札幌連続女性暴行「容疑者の実家」ネットデマ 電話攻撃の全容(1)「違うって証拠あるのか」》が出されました。ネット掲示板でデマを流された被害者をフォローした記事です。注目したいのは「*この記事はウェブ・携帯サイトのみの掲載です。」との但し書きが最後に置かれていた点です。最近のホメオパシー騒動で、朝日新聞の記者がブログを積極的に使って紙面に出た記事をフォローする情報を大量に流しました。新聞とウェブ、ネットの関係に変化の兆しありでしょう。

 これまでもウェブだけの記事はありました。長い会見の記事全文を収録するなど、便宜的なものでした。北海道新聞の記事は掛かってきた迷惑電話の内容で冗長にすぎ、普通の紙面には出せない性質の内容です。しかし、延々と載せてみないと、その愚かしさが見えない点で伝える意味はあります。

 朝日新聞のブログは「こちらアピタルです。」に目次があります。100件を超えるようなコメントが付いていることに注目しましょう。ホメオパシー療法について、読者からも体験談を提供し合う情報センター的な機能を持ちました。昨年3月の「市民メディアの不毛と既成メディアの守勢」で批判した問題点が改善されていくかも知れません。


時間67ミリ豪雨で首都水没、Twitterで実況

 東京都心に午後3時に時間雨量67ミリの集中豪雨。NHKの放送は義経伝説とかのんびり再放送していますが、Twitterでは実況が流れています。「都内水没情報」から強烈な写真を拾うと、「渋谷でマンホールが噴水」や、「青山が海に」があります。現場にいる人が伝えてくれています。

 2009年初に『ハドソンの奇跡』に見る米ネットの活性で、エアバスA320型機のハドソン川不時着とTwitterによる速報を取り上げました。まさに、あの感覚が再現されました。

岡崎図書館事件を朝日新聞が独自取材で追及

 6月の第207回「岡崎図書館事件を知るとIT立国など到底無理」で「これで事件だと騒ぐ警察と、冤罪を疑おうとしないマスメディアで固められていては」と断罪した『事件』の罪滅ぼしを、朝日新聞名古屋本社の神田大介記者が「図書館HP閲覧不能、サイバー攻撃の容疑者逮捕、だが…」でやってくれました。名古屋は朝刊、東京・大阪は夕刊に入るようです。

 「朝日新聞が依頼した専門家の解析によると、図書館ソフトに不具合があり、大量アクセスによる攻撃を受けたように見えていたことが分かった。同じソフトを使う全国6カ所の図書館でも同様の障害が起きていたことも判明。ソフト開発会社は全国約30の図書館で改修を始めた」「岡崎市立図書館は『様々なプログラムによるアクセスにも対応するよう改善を進めたい』と説明。愛知県警は一連の不具合を把握していなかったが、『図書館の業務に支障が出たことは事実で、捜査に問題はない』としている」

 一般紙の紙面でこの話を取り上げるとなると、予備知識がない、広範囲の読者に分からせる必要があります。表現方法など随分、苦労しているのが見えます。大繁盛のこの件のTwitterでも神田記者本人が説明しています。ただ最後の部分「捜査に問題はない」だけはいただけない釈明です。問答無用で逮捕して20日間も拘留したのが問題で、警察である以上、捜査することには何の問題もありません。

 警察・司法に自浄能力が無い以上、せめてマスメディアがきちんとエネルギーを使って取材し社会的な間違いを正さなくてはなりません。「商業新聞」と言うと響きが悪く感じられる方もいるでしょうが、内部にいる側は多数の読者からの購読料=付託に応えるべく活動する理念を持っています。古い言葉を使うと「読者への忠誠心」です。「第四の権力」などあろうはずもありませんが、数百万人から付託されているのは事実です。

 この事件についてはその後、高木浩光氏が色々とフォローされていて「国会図書館の施策で全国の公共機関のWebサイトが消滅する 岡崎図書館事件(5)」などを見ていると、図書館関係者の技術レベルがあまりにお寒いと知れます。検索用にデータを集めに来るロボット向け「robots.txt」の書き方が稚拙にすぎて深刻な副作用が出るといいます。当然ながらメンテナンスを担当しているシステム業者の知識レベルも疑われます。6月に書いたことを再収録しましょう。「司法、マスコミを含めた社会全体のデジタルデバイドは深刻で、これじゃIT立国など到底無理です」

 【参考】この事件について良いまとめ記事があります。「岡崎図書館HP大量アクセス事件について」(さかなの目)


岡崎図書館事件を知るとIT立国など到底無理

 岡崎市立中央図書館のホームページにアクセス多数を繰り返して、利用者が閲覧しにくくした偽計業務妨害容疑で38歳の会社社長が愛知県警に逮捕される事件が5月に起きました。20日間も拘留されて不起訴処分(嫌疑不十分)になったご本人の説明では、新着蔵書を自動チェックしてリスト化していただけです。図書館に電話で説明を求めた専門家がいて、その回答を知れば、日本にグーグルのような企業が育つわけがないと知れます。司法、マスコミを含めた社会全体のデジタルデバイドは深刻で、これじゃIT立国など到底無理です。

 ご本人がネット上への説明用に作ったウェブが「Librahack」です。逮捕翌日の朝刊記事を集めた「各社新聞記事の比較」には「図書館にサイバー攻撃」「図書館HPにアクセス3万3000回」とかが並んでいます。5月に記事を読んでとんでもない誤解の可能性を直感したのですが、被疑者側の反論が全く取材されておらず、一方的な捜査側の発表しかありませんでした。これを疑うようにマスメディアの記者は教育されているはずなのに、裏付けのためにサーバーの専門家に聞いてみることすらしなかったのでしょう。サイバー攻撃と言えるアクセス回数とは桁違いに少なすぎるのです。

 図書館側の新着図書表示が3カ月と長く、日付もないのでどれが本当の新着か分からない事情から、同図書館のヘビーユーザーだった社長さんがプログラムを作ったのでした。「1秒に1回」の設定アクセス頻度には必然性はなく、「1分に1回」でも十分に役だったでしょう。ところが、私も同図書館に手動でアクセスしてみてレスポンスに何十秒もかかる場合がありました。かなりの低能力システムだから、しばしば処理をため込んでダウンする始末になったようです。

 「サーバ管理者日誌」が「岡崎市立中央図書館に電話してみた」で貴重な情報を提供してくれています。図書館側が不調を管理会社に訴えると「外部からの攻撃が判明」「警察に被害届を提出」「警察からは2,3回、問合せ」「令状を持った捜査が行われたことは無」く「逮捕は報道で知った」そうです。

 国内の過剰アクセスで迷惑したら、まずプロバイダーを通じて警告を出すのがネットの常識です。聞いてくれないなら「特定IPアドレス遮断」の機能を使うものです。これを一切省いていきなり逮捕、しかも20日間も拘留する乱暴さには唖然としました。また、大衆に広くサービスを提供する図書館は思わぬ利用をする可能性を考慮しなければなりません。「サーバ管理者日誌」が指摘するように図書館利用情報は重要な個人情報として守らねばなりません。安易に警察に提供する情報ではありません。

 これで事件だと騒ぐ警察と、冤罪を疑おうとしないマスメディアで固められていては、グーグルのように新しい検索システムを試そうと収集ロボットをあちこちに走らせるベンチャーが存在したとして、とても無事では済まないでしょう。「SQLer 生島勘富 の日記」は「岡崎図書館事件について」でシステム動作について詰めた分析をしていて、追記の中で「私が同じことをしたとして、仮に落ちたとしても自分の所為だと認識したかどうか……。これで逮捕はとにかく怖いと思います」と記しています。

 【続報】2010/8/21 「岡崎図書館事件を朝日新聞が独自取材で追及」


携帯ガラパゴス事情に風穴が開きつつある

 聞き飽きている携帯電話での日本=ガラパゴス説に、大きな風穴が開きつつあるようです。「ソフトバンクモバイル、iPhone 4の予約を一時中止に--過去最高の予約数」(CNET Japan)、さらに日経新聞の朝刊記事「携帯大手4社の通信料収入、データが音声を逆転へ」などがそう物語っています。

 日経新聞の記事は次の表がポイントです。各社上段が2010年3月期実績、下段が2011年3月期予想の通信料収入比率です。

          データ   音声
  NTTドコモ  46%    54%
          50%    50%
  KDDI    42%    58%
          46%    54%
  ソフトバンク  50%    50%
          52〜53%  47〜48%

 タブレット端末iPadに加えてiPhone 4が大評判のソフトバンクモバイルが最高益をあげそうなのに、スマートフォンで出遅れているKDDIが利益を減らしそうです。

 昨年末の「AT&T、ヘビーユーザーを対象にデータ通信料値上げを示唆」(japan.internet.com)は「ニューヨークとサンフランシスコにおけるデータ利用に関して」「わずか3%のスマートフォン ユーザーが、ネットワーク容量の最大40%を消費しているという」とスマートフォンの米国での使われ方を伝えています。

 KDDIもiPhone 4発売の日に合わせて、《au、Windows phone「IS02」を6月24日に発売--同社初の個人向けスマートフォン》となるのですが、いまさらWindowsというのがチャーミングでありません。


ネット選挙は大衆には解禁済み。運動でなければOK

 参院選を前に、インターネットを使った選挙運動の解禁がマスメディアで流れています。これはあくまで政治家側の話で、一般大衆には実質的に解禁済みです。誤解しないようにしてください。

 報道は「投票前日までHP更新、運用指針を正式決定」などです。ブログでも「世耕日記」が「5月29日(土)【ネット選挙解禁その3:ツイッター自粛の扱いに苦労】」で各党協議の有り様を伝えています。

 「今回は候補者、政党に限ってのネット利用選挙運動解禁となっており、解禁されていない人によるネット利用選挙運動を誘発することがないようにすることも『適切な利用』の一環であると考えられる」「ブログのコメント受付やツイッター、HPへの一般からの書き込みといった機能、サービスを自粛することになる」

 何かがちがちの規制がありそうですが、昨年の総選挙の際に「投票勧誘でないブログの意見表明は全く自由に」で書いた通り、選挙運動でなければネット活用はオーケーです。鹿児島県阿久根市長がブログで、候補者「○○○○と●●の党を支持する」と表明し、市選管が「公選法では認められないが、選挙運動には当たらない」とシロ認定しました。投票を依頼するような文言が無ければよいのです。

 日経新聞の「ネット選挙、参院選実施へ詰め 与野党が解禁合意」は「最大の問題は、候補者の支持団体や後援会など第三者によるネット利用だ。これまでも後援会幹部などが選挙期間中、ホームページに『○○先生の集会を□月△日に開催します』などという告知を載せるのは禁止されている。しかし『実際にはやっているケースもあり、当局も事実上放置している状況』と現職議員は指摘する」「第三者のネット利用に関しては従来通りにするしかない」と各党協議の雰囲気を報じています。


LD『ブログ奨学金』とグーグル・アドセンス

 昨日、今日とブロガーの懐具合に響く記事が連発されています。今日のは「ブログで年間300万円もらえる--ライブドアが優秀な書き手に『ブログ奨学金』」(CNET Japan)で、ブログを書いて本当にお金になる話です。昨日のは「Google、AdSenseでの分配率を一部公表」(ITmedia)で、コンテンツ向けAdSenseのウェブ運営者・ブロガー側への「分配率は68%、検索向けは51%。前者の分配率はAdSenseを立ち上げた2003年以来、後者は2005年に1度引き下げて以来変えていない」とのこと。

 ライブドアの『ブログ奨学金』は「当該ブログの月間PV数(PCとモバイルを合わせたPVが対象)が1万PVを超える」「得意分野や専門分野の情報を発信することで、世の中の役に立つオリジナルコンテンツを提供」する人から選考して、1年間で「特待生が300万円、第一種奨学生が120万円、第二種奨学生が60万円、第三種奨学生が30万円」を支給する企画です。

 月間1万ページビューを超えるのはそこそこのハードルですが、この程度ではグーグル・アドセンスを掲示していても月に1000円が善いところでしょう。途轍もなく大きなアクセスを集める「GIGAZINE」が3年前に「グーグルは今のままでは日本人の人生を変えることはできない」と憤っていたとおり、米国と日本ではアドセンスの単価に10倍の落差があるようです。グーグルの分配率が動いていないなら、最近の日本はもっと下がったかも知れません。その結果、日本では月間10万ページビューになっても、ネット収入1万円の世界でしょう。(ただし別の方向からの広告依頼が来る可能性は高くなるはず)

 そう考えるとライブドアの300万円はかなり魅力的だと思えます。マスメディアの反応は午後10時現在では冷たいですね。日経新聞がプレスリリースをそのまま流しただけですが、こうした刺激をネットの世界にもたらしてくれる企画がもっと増えると、ネット内部から変化が起きる可能性が生まれると思います。マスコミのおかしなネット弊害論よりも実効があるはずです。


立て続けのネット規制は現実とミスマッチ

 3月末に都議会のネットカフェ規制条例が成立したのに続いて、最高裁が8日、ネット上で名誉棄損などの不法行為を受けた人が、書き込みルートである「経由プロバイダ」に書き込み者の顧客情報を請求できるとの判決を出しました。やはり3月の最高裁判例でネット上の記事による名誉棄損罪の基準をマスメディアと同じにするとされたばかりです。額面のまま受け取れば、ネット上の表現に非常に厳しい規制が課されたことになります。

 「みんなにわかる!最高裁判所・判例解説」の「H22.04.08:発信者情報開示請求事件@経由プロバイダはプロバイダ責任制限法『特定電気通信役務提供者』に該当する」は判決の趣旨をこう説明しています。「経由プロバイダは(サービス利用者に課金する都合上)情報の発信者の個人情報を有しており,その反面,経由プロバイダ以外(電子掲示板のサーバー管理者など)はそう言った情報を有していないことが多い」「ここで,経由プロバイダは情報を開示する義務を負わないとすると,加害者の特定が困難になり,この開示制度を設けた意味が無くなってしまうから,としています」

 こうしたプロバイダに個人情報を登録せずにネットに書き込める場所がネットカフェです。都条例はネットカフェ側に運転免許証などで本人確認をし、その記録を残すように定めています。副作用として夜の寝場所を求めるホームレスが締め出される恐れがあったり、ネットカフェ側に残る個人情報記録が漏れたり、悪用されたりすることがないのか懸念されます。

 経由プロバイダに書き込み者情報を開示させる今回の判例確定にも、副作用の懸念があります。たとえば似非科学的な悪質商法業者に対する批判がネット上では盛んにされています。業者側が民事裁判に訴えて脅しをかけることがこれまで以上に増えると予想できます。マスメディア並みの調査義務を課すとした3月の判例と合わせれば、「自分が儲かるわけでもないのに悪質商法批判などしていられない」と萎縮させてしまう恐れが大です。

 一連の規制強化に対してマスメディアは問題意識をあまり持たないようです。ネット関連でマイナスの事例が持ち上がると大きく報道するけれど、ネット社会がもたらした前向きの意義を理解していない証拠です。従来はマスメディアが社会の知をランク付けしていたのに、検索システムと個人のウェブ、ブログが複合したネット社会は自らの力で知のランク付けを果たしてしまいました。メディアに頼らずとも、社会の持つ知の評価、流通が出来るようになりました。市民社会が自律的な発展で次の段階に移行したのです。そこに旧社会のルールすべてが適用できるはずもありません。

 3月の判例では「ネットの名誉棄損、最高裁が無理強いしても」と書きました。今回も実はネット上の反響は大したことはありません。それを見る限り、ネット規制が浸透していくのか疑わしくさえあります。司法や行政が罰則をたてに強制するのではなく、中学校あたりでネットの利用・活用法をトータルに教える仕組みを早く確立すべきです。それにしてもネットの書き込みをマスメディアと同じ基準とする最高裁には同調しかねます。現実に起きていることは法の建前よりも説得力がありますから、子ども達に建前だけ教えるネット教育は無効になる恐れが大きいので困ります。


ネットの新サービス:カーリルとradiko

 春の声を聞いた途端、新しいネットサービスが相次いで現れました。全国4300以上の図書館の蔵書検索が出来る「カーリル」と、ネットで民放ラジオが聴ける「radiko.jp」です。カーリルは全国通しのサービスです。しかし、radikoは東京と大阪周辺の放送局に限っていて、アクセスできる人をIPアドレスで判別して弾いていますから私の場合、職場では聴けず、家庭ならオーケーです。

 大都市なら図書館のウェブに検索機能が実装されています。書名がはっきりしている場合はそちらを使う方が早いはずです。カーリルは本の表紙画像が並んでいて楽しいのですが、検索に時間がかかります。出来がよい作家リストを使ったりして、本について色々と発見しながら使うものでしょう。

 そこで、radikoでラジオを聴きながら、ゆったりカーリルを使うのが面白いと思います。多くのウェブは音の情報を持っていませんから、インターネットとラジオは相性が良いと言われてきました。「ながら」をすると、この二つのサービスはいい組み合わせです。

 あちこちで評判になっていて、既にradikoの番組を録音するためのフリーソフト「radika」が開発されています。音質は48kbpsのステレオですから、それほど高音質ではないものの、AMラジオなら実際のラジオを聴くよりもクリヤーに感じられます。

 【関連】「ウェブ通」リンク集


ネットの名誉棄損、最高裁が無理強いしても

 ネット上の記事による名誉棄損罪の基準を緩めないとの初判断を最高裁が示しました。日経新聞の「ネットの名誉棄損罪 新聞・雑誌と同基準 最高裁初判断」は名誉棄損罪の成立要件を「表現媒体によって区別をしないとする初判断を示した。ネットを理由に責任が緩和されることはないとした今回の判断は、ネット上にはんらんする度を越した中傷行為への警鐘といえそうだ」と伝えています。しかし、ネットの現状を知っていれば、この無理強いが無数のネット大衆に浸透していくとは考えにくいと思います。

 この判決に賛成と反対の立場で、これまで経緯を注目していた弁護士さんが発言しているので取り上げます。

 賛成は「貧乏庶民の法的思考」の「インターネットでの誹謗中傷 その4」です。無罪とした一審判決について「一般人は(マスコミとかと違って)調査能力に限界があるし(必要性)、一般人の書込みは読む者は(マスコミの記事とかと違って)疑いの目で読むから(許容性)、名誉毀損の成否は違法になりにくいよう甘めに判断する、ということ──には驚きましたね」とします。「だいたいこんな刑事裁判になるようなヤツは、企業が『事実と違うから訂正せよ』と要求しても訂正しないんですよ。いわゆる『確信犯』ですから。『わかってやっている』のですから。『害意の一念』でやっているのですから。だから大問題なのです」

 反対は「弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS−BLOG版」の「不当な最高裁判決に驚き!と困惑!! 本日午前11時47分加筆あり」です。「この事件で、中傷という評価は誤っています。少なくとも、この事件は、市民として『できうる調査』はしていた事案です。ですから今回の最高裁判決は、本当に驚きです。たった4頁の判決で、市民に、マスコミと同様の調査義務を課すというのでしょうか?」と批判します。伊藤整翻訳のチャタレー事件を例にあげて「時代の変化を経て、以前は有罪であったものが、有罪でなくなるという事件も現にあります」「一体なぜ、その時代に、伊藤整氏は、有罪とされたのでしょうか?それは時代の変化に、裁判所がついていけていないからです」と判例は将来変わる可能性があるとします。

 新聞によっては1面にも取り上げた最高裁判決ですが、ネット大衆の目に触れるかと言えば極めて狭い範囲だけでしょう。グーグルのブログ検索でキーワード「最高裁判決・名誉棄損」で出てくる記事は、過去1日でわずかに174件です。「最高裁判決」のTwitterが40件余り。マスコミが伝えられる伝播力はこの程度のモノなのです。「警鐘」になるのか、極めて疑問です。圧倒的多数のネット大衆はこれまでと同じペースで書き続けるだけでしょう。最高裁は自分の権威を過大評価していると評しておきましょう。

 ※注:コメント欄指摘により「伊藤聖」を「伊藤整」に訂正


iPad登場目前、電子新聞など内外で動き急

 4月3日の米国発売が決まったアップルのタブレット型端末「iPad」。13日から先行予約が開始されて、「Apple iPadの初日販売総数は12万台? - 人気はWi-Fi版に集中」(マイコミジャーナル)という人気ぶりです。無線LANで記憶容量が少ないタイプが強いのですから、自宅やオフィスで専らメディアブラウザとして使うのでしょう。4月までに100万台規模の生産が進むようです。日本国内では4月下旬の発売です。

 「メディア・パブ」の「ソニーの電子書籍端末,17紙の電子新聞と5誌の電子雑誌が購入可能に」が、iPadに足下を脅かされかねないソニーの電子書籍リーダーが「これまでの電子書籍に加えて、17紙の電子新聞と5紙の電子雑誌もReader"! Storeから購入できる。今後、購読可能な電子新聞や電子雑誌を増やしていく」と伝えています。この分野では先行のアマゾン「キンドル」では月額27.99ドルで提供のニューヨークタイムズが、ソニー側では月額13.99ドルで出しています。他の新聞では9.99ドルが多数見られ、なかなかリーズナブルな値付けです。

 国内については1月に「新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈」で日経が月額4000円、デイリースポーツが1890円と伝えています。日経に至っては紙の新聞の販売に影響させないことを至上命題にしている観さえあります。月額1000円前後まで下がれば劇的な変化を起こす可能性があると思います。iPad側は米国でどう出るのか、日本国内ではどうするのか、注目です。

 「TechCrunch Japan」が「iPadの対抗機7種を見てみよう?甘美なインタフェイスだけがすべてじゃないぞ」で、既に発売済みやこれから出るタブレット型を集めて紹介しています。どれもグラフィックは美しいのですが、アップルとの決定的な差はアップルストアによるコンテンツ供給力の有無だということです。コードレスのメディアブラウザとして最初から色々な楽しみが出来ると期待されてこそ大きく売れるし、販売台数が大きくなれば参入するコンテンツ供給媒体も増えることになります。

 日経新聞が今週、《「iPad」に雑誌配信、「おとなの週末」など38誌》で「電通は講談社など有力出版社と組み、米アップルが4月下旬にも日本で発売する新型の携帯端末『iPad(アイパッド)』向けに雑誌38誌の記事を有料で配信するサービスを始める」と報じたように、国内も動いています。


手ぬるい新聞労連「記者会見の全面開放宣言」

 新聞労連の新聞研究部が4日、「記者会見の全面開放宣言〜記者クラブ改革へ踏み出そう〜」を出しました。昨年秋の政権交代に伴う記者会見開放に、マスメディア側は抵抗したのを反省して動き出したとも言えますが、かなり手ぬるい印象です。

 「本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。さらに、政府の動きに比べて、記者クラブ側は総じて積極的に素早く対応しているとは言えません。一般市民、記者クラブに加入していないメディアやジャーナリストからみて、記者クラブ、ひいては私たち新聞人自身が開放に抵抗していないか、問いかけなければなりません」とは、事の核心と距離を置きすぎです。

 例えば、開放するための【実行のための手引き】として並んでいる中に「さ者クラブへの加入を阻んでいませんか?」「記者クラブへの加入に際し、『日本新聞協会加盟社の記者であること』『会員の推薦が必要』といった条件を設けるなどして門前払いをしていませんか?」とあります。しかし、実際には新聞協会の方針でこう縛られているのです。

 新聞協会の「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」を読んでみましょう。【解説】には「外国報道機関の加盟基準としては、(1)外務省発行の外国記者証を保有する記者(2)日本新聞協会加盟社と同様の、またはそれに準ずる報道業務を営む外国報道機関の記者―の2条件を満たしていることが望ましい」とあって、実質的に既成マスメディア以外の加入を阻んでいます。個人の問題であるかのような呼びかけをし、業界の問題であるとの事実認識をはっきりさせないで開放を提言しても無意味です。

 「Japan Blogs Net」で反応を拾うと、「大石英司の代替空港」の「徴兵制来る?」が「本気なわけはない。こういうことをたまに言えば、危機感が募って記者クラブは引き締まるし、官房長官みたいなアホな人がクラブのご機嫌取りに走り回ってもくれるから、時々この手のポジショントークをやるんでしょう」とばっさり斬っていました。

 【関連】民主党の記者会見開放放棄にネットはホット


国内で新聞電子版が普及するには意外な落とし穴

 日経新聞が3月からの電子版創刊を正式に発表しました。あちこちで論評されていますが、私のサイトでは1月末の「新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈」で「日経の月額300円しか差がない値つけはあまりに臆病で現状維持志向と言うか、新規読者は期待しないと宣言したような印象」と辛口の指摘しました。価格体系についての疑問でこれ以上、申し上げることはありません。今回は一足早く始まっているデイリースポーツの電子版(2月末まで無料)を触ってみた印象を書きます。

 画素1024×768のノートパソコンでは正直なところ狭すぎて見る気がしませんでした。本文の活字が読めるようにするには2段階は拡大しなければなりません。こうするとスポーツ紙特有の大ぶりの編集、写真の派手な扱い方があって一目では見られず、見出し、写真と記事を関連づけて読むのに不自由を感じます。画面をマウスで動かし、見たい場所につい移動したくなります。自宅に帰って画素1600×1200の画面で見て、初めて実用になると感じました。これでちょうど新聞の縦方向が半分入ります。記事段数で7段半入るということです。

 最近、映画鑑賞用に普及しているフルハイビジョン仕様のディスプレイだと縦はやや小さく1080画素です。これを模擬してみると縦が6段くらいしか入らず、やはり縦1200画素は欲しいと感じました。日経新聞はスポーツ紙と違って編集がおとなしいので、何とか行けるかも知れません。それでも画素1024×768の普通サイズのノートパソコンではお話にならないと思います。英字紙の場合は横書きで、見出しも国内の新聞のように縦、横に複雑に並ぶことは少ないですから、横長パソコン画面に納まりやすいと思います。しかし、縦書きの新聞紙面は伝統的なレイアウトをしている限り、横よりも縦方向にかなり大きなディスプレイサイズを要求すると思います。実際に触ってみるまで、この落とし穴は想像できませんでした。

 なお、私のサイト訪問者の解像度ベスト10が以下です。半分くらいの方は不適当ということになりそうです。
 1 1024 x 768   24.4%  
 2 1280 x 1024  19.7% 
 3 1280 x 800   15.1%  
 4 1680 x 1050   6.3%  
 5 1920 x 1200   5.8%  
 6 1440 x 900    4.6%  
 7 1920 x 1080   3.3%  
 8 1600 x 1200   2.6%  
 9 1366 x 768    2%  
 10 1400 x 1050  1.8% 


ネットで経済産業省への提言サイト動き出す

 アナウンスされていた経済産業省の意見募集サイト「アイデアボックス」が23日、スタートしました。お役人から見れば「意見募集」サイトなのですが、一般人からは「政策提言」サイトとすべきでしょう。提言に対して賛成・反対・中立の投票やコメントができて、IT関係のテーマで議論が始まっています。予算の関係で年度いっぱい3月末までの運用です。

 話がはずんでいるテーマを拾うと「4.健康・医療分野のITによる産業高度化」に「OpenKarte構想」があります。全医療機関でカルテを電子化して閲覧できるようにし、医師不足や医療ミスなどの諸問題に対処しようという提言です。匿名が多く、コメントしている方のバックグラウンドが判然としないのものの、議論はそこそこかみ合っているようです。パソコン通信の会議室風でしょうか。

 このほか「1.ITによる産業高度化(全体論)」とかも活発です。しかし、どうやって話をまとめていくんでしょうか。あるいは言い放しで結構、と割り切るのでしょうか。それでも、従来のように官庁が問題別にパブリックコメントを一方的に集め、投稿した側からはどう読まれたのか全く分からないよりは、ましかも知れません。

 この討議サイトの運営ソフトには今後に思惑が込められています。「経済産業省の討議ウェブサイトを、無償公開ソフトウェア推進団体が構築」(オープンビジネスソフトウェア協会)によると「オープンソースの顧客管理ソフトウェアである、『SugarCRM』をもとに開発を行い、プロジェクト終了後に完成したソフトウェアを広く一般に公開」「今後は、他省庁や自治体に対しても同様の仕組みの採用を働きかけ、『公開』によりさらに一般の方々への還元を実現する方針」だそうです。


グーグルのリアルタイム検索を対比して使うと

 INTERNET Watchが「Google、日本語によるリアルタイム検索が可能に」と伝えているので、早速使ってみました。ネット上にある様々なコンテンツが、キーワードを設定しておくと、記事がリリースされてわずかな時間で集まってくるのです(裏返せば、グーグルのロボットが物凄い頻度でネット上を集めに回っているということです)。今回はふたつを対比する試みです。「民主党」と「自民党」をキーワードにブラウザの窓をそれぞれ開いて並べてみました。


 ご覧のようにウェブやツィッター、掲示板と色々集まります。「検索ツール」で「最新」を選んでおくと「新しい検索結果が見つかるとこの下に表示されます」とあって自動で更新されます。ずっと見続ける余裕があれば面白い観察になるかも知れません。何かの事件やイベント、大きな選挙や開票などの場面で使ってみたらどうかと考えました。


アップルのタブレットPC、やはりエポックメーキング

 年明けからいよいよ出ると騒がれたアップルのタブレット型PC「iPad」が発表されました。やはりエポックメーキングな製品と思われます。今日のところは実物に触れるわけにも、知りたい詳細な動作・仕様が手に入るわけでもないので、ウェブから手に入る製品情報、動画などを集めて見ましょう。本家アップルの紹介ビデオは是非とも見たいところですし、米国の発表会で触っているビデオもなかなか興味深いと思います。

 INTERNET Watchの《Appleがタブレット型端末「iPad」発表、電子書籍市場にも参入 》が基本情報としてはよいでしょう。「9.7インチLEDバックライト付きIPS液晶を使用。解像度は1024×768ドットで、iPhoneに似たマルチタッチディスプレイを採用している。本体サイズは242.8×189.7×13.4mm(高さ×幅×厚さ)、重量はWi-Fiモデルが680グラム」で最安モデルが499ドルという安さがショックでした。言われていたのと比べ半分です。流行のネットブック・パソコンの多くはこれより高いので、市場から追い出されかねないと思います。

 ご本家サイト「iPad」にある「Watch the video」は見るべきです。しかし、混み合っているので時間が掛かるかも知れません。GIGAZINEが《脅威の薄さと低価格、アップル社の新タブレットPC「iPad」の高解像度写真と仕様のまとめ》で手際よく仕様をまとめてくれています。iPhoneのように下部のドック接続でパソコンとつないだり、音声信号を取り出したり、外付けキーボードと結べます。

 気になるのは日本語の扱いです。「日本語入力してみました Japanese input #iPad」で早くも日本語入力の様子が撮されていました。

 《Apple iPad速攻ハンズオン! 超サクサクで日本語もOK(動画・写真ギャラリー)》(GIZMODO Japan)に、電子書籍端末Kindleとの比較写真や、発表会で実物に触っているビデオがあります。タッチパネルだけで軽く動く感じが分かります。マウスやキーボードの操作無しに、これだけ自由にパソコンが扱えるのなら、いわゆるデジタルデバイド層にも使える可能性を感じます。新しい時代が開けた印象です。


新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈

 うわさ先行だった新聞の有料電子版が2社から形を現し、両者の落差は鮮烈でした。INTERNET Watchが26日「デイリースポーツ電子版が2月1日スタート、月額1890円」と伝え、「■[メモ]日経新聞電子版は月4000円で3月創刊か 地方紙への課金システム提供も視野」(edgefirstのメモ)が「FACTA2月号」からの引用メモとして「購読料は電子版単独で月4000円、紙の新聞(月約4300円)と併読する場合はプラス1000円」と書いています。

 日経の方は正式なアナウンスでなく、社内情報が漏れてきたもののようですが、3月創刊が動かないならもう固まっていなければなりません。それにしても日経の月額300円しか差がない値つけはあまりに臆病で現状維持志向と言うか、新規読者は期待しないと宣言したような印象です。デイリースポーツは電子版が紙に比べ58%に下がるのですから、大いにお得用と感じられるでしょう。こちらは新規読者獲得に加えて、紙からのシフトも歓迎すると見えます。

 マイコミジャーナルの「日経電子版の創刊に見る"販売店"という呪縛」が国内の新聞に特有の販売店問題から説いています。「アメリカの新聞(電子版を含めて)購読者は発行本社の"もの"であり、顧客管理は発行本社が行っている。これに対して日本の販売システムでは基本的に新聞購読者は販売店の"もの"であり、顧客管理も販売店が行ってきた」「日本経済新聞社の場合、多くの地域で販売、集金を全国紙3紙、または有力地方紙の販売網に委託している」販売店にとって「講読者カードは現金と同じで、その詳細情報は 通常、発行本社にすら知らせていない」「自らが生殺与奪の権限を握る専売店に対してなら相当強引なことはできるが、いわば他社の暖簾を借りている地域では無理な相談である」と喝破、「併読する場合はプラス1000円」を他社販売店の協力を得て実施することは困難とみています。

 ところが、デイリースポーツは地方紙の神戸新聞から派生したスポーツ紙です。他社の販売店網で配ってもらっている点は日経と似ていますが、読者が電子版に移行して紙の部数が減ってもよいと割り切ったようです。背景として、自社販売網へのしがらみはあったとしても日経より圧倒的に少ないはずです。新聞広告収入減への配慮も薄いようです。日経の場合は電子版への移行で紙部数が大きく減ると広告単価が下がる心配もしているかも知れません。

 結果として日経はなるべく現状を変えないように電子版をスタートさせるようです。これでは電子版をつくり売る新規費用をかけて、どれほど利が出るのでしょうか。じり貧ぬるま湯の国内新聞業界を揺さぶると思われていた日経有料電子版のインパクトは極めて小さなものになりそうです。今度はデイリースポーツの果敢な実験の方に注目です。

 【関連】第193回「時事編集委員の退職と既成メディアの無展望」
   また米国地方紙が廃刊、百紙が同じ運命に [BM時評]
   ……親サイト「インターネットで読み解く!」「教育・社会」分野


グーグル対中国政府の戦い、一気に本格化

 検索大手のグーグルが13日に「中国政府による検閲などにもう耐えらない」とし、場合のよっては中国撤退も辞さないと発表しました。そして、CNN.co.jpが14日に「中国のグーグル検索に『天安門事件』登場、オフィスは厳戒」を流しました。「これまでは同サイトで『天安門事件』を検索しても、天安門の写真が出てくるだけだったが、13日以降は1989年の天安門事件について解説したサイトへのリンクが表示されるようになった」

 実際に中国にある「google.cn」にアクセスしてみましょう。「天安門」で検索すればユーチューブの天安門事件ビデオなどが検索結果に並びます。中国政府にとってはとても刺激的でしょう。完全に喧嘩を売った状態になりました。「ダライラマ」「法輪功」などの検索結果も同様に出しています。

 「Japan Blogs Net」で巡回してみると、「アンカテ」が「おまえらいい加減にせんと無検閲のgoogle.com見せちゃうぞ!」というエントリーを出して、グーグルが中国撤退した後の展開を占っています。

 「中国政府は当然これを遮断して、 google.com はもちろん、グーグルのサービスにはどれも中国国内からアクセスできないようにするだろう」「Google Apps というgmail(+もろもろ)の企業版を使っている会社は、中国へ出張した人とパソコンのメールも通じなくなるかもしれない」「そうなったとしたら、グーグルはこれに対抗して、技術的な手段でアクセスを確保しようとするだろう」通信が暗号化される技術「VPNを通してインターネットにアクセスすると、中国にいても自分の会社の中からネットを見るのと同じことになる。だから、中国政府がいかに検閲しても、会社から使えるサービスは、gmailであれGoogle Appsであれ、何でも使える」

 国内マスメディアの反応は、グーグルの戦いにあまり勝算がないとみる向きが多かったのですが、そう単純なものではないようです。「Googleの対中国戦略は問題ない?」(Ad Innovator)は「対中国戦略の変更は、直近では6億ドルの売上と長期的には100億ドルのビジネスを失うと考えられているが、The Business InsidersはGoogleが非常に賢明な決定をしたという説を展開している」と伝えています。

 【参考】グーグルは過去の進路の過ちを修正しようとしています。国内でも日本企業の力を自ら衰えさせたマスメディアによる誤解と過ちをただすべき時にあると思います。
  ……『プロジェクトX』の悪影響から抜け出そう



鳩山首相がブログとツイッター開始。メディアは?

 鳩山首相がブログ「鳩cafe」ツイッターを新年から始めました。昨年末の「鳩山首相からのソーシャルメディア発信が始まるよう」で紹介した通りです。

 ツイッターの方は2日午後8時でフォロワーが5万人を超えました。内容はまだまだぎこちないと思いますが、首相がネットをここまで使う姿勢を見せた点だけでも面白いと思います。オバマ大統領がツイッター使いとして有名でしたが、中国訪問時に自分では発信していないと暴露しました。鳩山さんは「『本当に本人が書いてるの?』というコメントを読ませていただきました。スタッフの意見も聞きつつ、基本的に私が書いています。それをメールで秘書官付に送り、ツイッターへの送信はその人がやってくれています」と答えているのですから、十分に合格です。

 メディアも色々と伝えています。ちょっとがっかりなのが読売新聞の「首相がブログ開始、予定公表で周囲ハラハラ」です。「首相はこの中で、『これから皇居での新年祝賀の儀に出席します』と自らの予定を“発表”。これには『警備上望ましくない』と指摘する声もある」とは、ニュース性をあまりにも知らな過ぎます。でも、首相ブログへの直接のリンクを張っている点では評価したいと思います。


鳩山首相からのソーシャルメディア発信が始まるよう

 いつもの「Japan Blogs Net」巡回で「www.さとなお.com」に注目。「国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ」が「国民と政治の距離の遠さをコミュニケーションの力で大幅に改善したい」「ソーシャルメディア(ブログやツイッターやYouTubeなど)を使ったコミュニケーションから始めて、首相だけに限らず、政治全体をもっと国民からわかりやすく、オープンで、透明な存在にすることが当面の目標」と首相官邸で話し合ったようです。

 さとなおさんは鳩山首相と2回の個人的な会食を通して、首相から原則的な賛同を得ているといいます。「もうちょっとしたら具体的に刷新(発信)が始まる」「まずは第一段階として首相の発信を刷新すること」「こうして第一歩目が踏み出せただけでも政権交代の意味があったかなと思う。民間の意見に対してこんなに聞く耳を持ってくれる空気感は以前にはなかった」

 実は鳩山謝罪会見を受けて民主党議員の発言をウオッチした「肝心なときにツイートがないぞ」(赤尾晃一の知的排泄物処理場)が「政治家のtwitterは,一部の議員を除いて,片方向の政治宣伝に終始している感が否めない。“生の声”が聞こえてこないのだ」と嘆いていています。

 25日は鳩山首相の偽者らしいtwitterが現れたりしてちょっとした騒ぎになっていました。本物登場はもう少し待ってからになるようです。


経済金融以外も「黒船」〜WSJ日本版をチェック

 15日にスタートした「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」(WSJ日本版)をのぞいてみました。国内メディアの関心は月額1980円の有料ニュースサイトとして成り立つのかにあるのですが、売り物の経済・金融情報以外にも可能性を秘めているように見えました。

 どんな記事が読まれているのか、「ランキング」で調べましょう。今週分(つまり15、16日分)トップは「米政府、雇用創出に向け官民合同でフォーラム開催」、今日16日分のトップは「米国新規公開銘柄パフォーマンス一覧表」です。両ランクで計20本ある記事の内18本は有料会員登録をしないと読めない鍵マーク付きで、相場などに関心がある人の好みと言えそうです。米国で106万人、中国版で70万人を集めているように国内でもそこそこ行くのでしょう。

 無料記事も結構、充実しています。日本版開設とあって内外からの特別寄稿、中国自動車メーカーの物まね脱皮物語、鳩山首相夫人のインタビュー、国内小集落でのルポルタージュが相当な長さを持つ点が印象的でした。国内メディアのウェブは本業の紙媒体に遠慮して細切れの記事しか出さない傾向があります。WSJ日本版には紙媒体はありませんから、きちんと取材した長尺ものの記事を出していけます。日本語障壁に阻まれてジャーナリズムは海外との競争から逃れてきましたが、そこに踏み込んできたと言えます。


時事編集委員の退職と既成メディアの無展望

 時事通信編集委員の湯川鶴章さんがブログに出した、年末での「退職のご挨拶」を見て、同じ業界に身を置く立場から「ついに既成メディアを見切られたな」と感じました。『ネットは新聞を殺すのか』などの著書で知られ、最近はマスメディアが将来生き残るにはSNS的な要素が欠かせないと主張されていたのですが、「わたしの専門であるオンラインビジネスの領域で時事通信社に貢献したいとこれまで努力してきましたが、自分自身の未熟さからほとんど結果を出せなかったのが一番の理由です。また今後も出せそうにないという展望に立ち、社を去ることが社への最大の貢献であるという結論になりました」と会社を去る理由を述べていらっしゃいます。

 彼とは一度だけ、新聞社内向けの勉強会で講師をされたときにお会いしたことがあります。私も社員なのに半ば社外講師のような形でその場に招かれていたので、突っ込んで話し合うことはありませんでした。米国で長く仕事をして帰国されたので海外のIT状況に強いながら、国内メディアの取材、営業現場にはあまり土地勘を持たれていないと思っていました。その一方、編集委員として会社公認でネット活動をされ、会社と完全に離れた私のネット活動とは違う立場だったので、時事通信社を内部から変えることが出来るかとも思っていました。しかし、国内既成メディアは新しい動きを作り出せる人材や経営陣の判断力を欠いていると悟られたのではないでしょうか。

 今週は米国でグーグルとニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙が組んだ《米Google、新しいニュースの見せ方「Living Stories」の実験開始》のニュースが流れています。例えば地球温暖化問題のページ《The Politics of Global Warming》をニューヨークタイムズがもともと持っているトピックス《Global Warming- Science》と比べると興味深いものがあります。新聞社が提供するニュースセットの上にグーグルが様々なデータを追加構築していくと、時々刻々と動いている感じがするし、張り巡らされたリンク多数の厚みは相当な物です。ネット上にはいろんな料理法がまだまだあるようです。

 しかし、こんなハードな話題を求める需要は相対的に小さくなっているように感じています。新聞などが得意とする話題分野は、市民社会が追いかけている話題全体に比べて少数派になったと言うべきです。数年前はネットの膨張により新聞の守備範囲に大きな「抜け」が生じていると言われたものですが、いまやカバーしていない方が大きくなりました。サブカルチャーを含めた多様で個人志向に振れた話題をどう捕まえ、どう伝えていくのか、既成メディアは生き残るためにも将来に向けた構想を打ち出すべきなのですが、今年も携帯電話と提携するといった「形」ばかりが追求されました。

 卑近な例で恐縮ですが、私の硬派サイトとしては珍しいAV特集「ベルリンフィルに耐えるPC用1万円オーディオ」その続編が意外に多数の方に読まれました。なぜかグーグル広告の収益も目立っています。クリック率の高さはじっくり読まれたということでしょうか。ジャーナリズムの仕事と音楽と食の趣味は、個人的な思いとしては一体の「トライアングル」をなしていて、それならもう少し提供する話題の幅を広げるかと思い始めています。


恐るべし、Google日本語入力。席巻の予感も…

 グーグルがまたまた新サービスを出しました。パソコンでの日本語入力です。それも本業の検索での研究開発を加味、入力途中の文字列から類推する、ひと味違う能力を持っています。まだベータ版ですが、「MS-IMEより良い」との声が出ていて国内を席巻するかも知れません。《グーグル、日本語入力ソフト「Google日本語入力」を公開》(INTERNET WATCH)は「Google日本語入力は、グーグルのソフトウェアエンジニアである工藤拓氏と小松弘幸氏の『20%プロジェクト』により開発を開始。工藤氏はGoogleの『もしかして』機能を担当しており、誤変換に起因するスペルミスを『もしかして』のシステムが高い精度で修正していくことから、『Google日本語入力』の可能性を確信したという」と伝えています。

 GIGAZINEの《「Google 日本語入力」はATOKやMS-IMEを超えることはできるのか、実際に使って実用に堪えるかどうか試してみた》は「実際に使ってみた印象としては、MS-IMEよりは割と上な感じ、辞書を鍛えまくったATOKよりは少し下、という感じです」と報告しています。早速《郵便番号辞書(for Google 日本語入力) 2009.11.30更新版 登録方法 with 根性》のように便利アイテムを提供する人が現れています。

 《Google IMEの先にあるもの》(GoTheDistance)は非常に興味深い考察をしています。「このGoogle IMEの先にあるものは、『翻訳』と『同時通訳』にあるんじゃないかと思います。今僕はMSのIMEでこのエントリを書いていますが、Google IMEは1文字ずつこの言葉をUPしているわけで、それを応用すると『。』と打った段階でズバっと英語に変換するとか、そんなことができるようになる可能性があります」「言語学は言語を記号体系として捉えることで文化的なアプローチも数学的なアプローチでも研究できる奥の広い学問です。言語⇒記号⇒記号体系⇒処理ルーチン⇒マッピング⇒うへぇという流れもありうると思います。超すげぇ」

 しかし、「Google日本語入力」をインストールすれば大きなプログラムが常時、パソコンの中で動き回る状態になります。本当に善意のプログラム部分だけなのか、心配になるのも当然です。《■「Google 日本語入力」を利用した雑感 》(適宜覚書はてな異本)がこう危惧を表しています。「裏を返せば、既定ではのべつまくなしに動作しているということです。これをわざわざオプションとして表示していること自体相当行儀が良い作りではありますし、既定で動作可能なのも実用上の判断だと思います。ただ、なんかキナ臭い感じはしますよね、こういうの。先程のシークレットモードもそうです。言葉遣いとして不安を煽り立てるようなもので、機能に即した命名が他にあったのではと思います。そういったところから、Googleは本当にEvilじゃないのかという不安が心底からは解消はされません」


グーグル検索独占に新聞が反撃するのは困難

 しばらく前から米国で「Wall Street Journal」を擁する「News Corp」がグーグルに記事検索させることを拒否する動きが伝えられていました。どうやら本物になり、それに検索サイト「Bing」を売り出したいマイクロソフトがかむ話になったようです。しかし、「新聞に拒否されてもGoogleは痛くも痒くもない?という驚異の調査結果」(TechCrunch)が伝えられたように、有力紙であっても新聞社がグーグルに反撃して、独占状態を崩すのはとても難しいのです。グーグル検索から離脱すること自体は収集ロボットを拒否する簡単な命令を入れるだけの話ですが……。

 「あるドイツの調査機関が、Googleの“財務的搾取”に反対する宣言にハンブルグで署名したドイツの148の出版社の、およそ1000のドメインがGoogleを去ったらGoogle自身はどうなるか、という調査を行った」「Google Germanyの上で100万種のキーワードについて検索したところ、結果の上位10項目に占めるドイツのニュースサイトの比率はわずかに5%であり、しかもそれらはGoogleに対する反対宣言に署名をしなかった出版社/新聞社のものだった」やはりそうなんですね。

 「メディア・パブ」の「WSJ記事の独占的な検索,マイクロソフトがニューズに支払う金額は?」はグーグル検索から離脱する対価をこう見積もっています。「WSJ.comへのトラフィックの25%がグーグルサイト経由からとなっている。WSJ.comの記事をグーグルが検索できなくする措置を取ると,その25%のトラフィックを失うことになる」その結果「広告売上が10〜15%減ると見積もっている。WSJ.comの広告売上高は1億ドル程度と推定しているので,1000万ドル〜1500万ドルの売上が消える計算になる」

 マイクロソフトは自社の検索サイト「Bing」に「Wall Street Journal」を独占的に検索させることで客を集めようとしています。広告の売り上げ減分を支払っても抱き込みたい意向のようです。しかし、ニューヨークタイムズなど他の大手新聞社が同調する可能性は薄いようです。そうなると「Wall Street Journal」だけを優遇した検索結果を提供することになりかねず、かえって検索の価値を落とすことになります。

 実は、個人的に「Bing」の能力を疑っています。検索を日常的にとても多く使っているので良い物ならどんどん使うポリシーですが、私のサイト「dandoweb.com」を入力すると「Bing」だけは「index.html」を見つけられないのです。グーグルはもちろん「Baidu」あたりでも問題なく検索結果のトップに「インターネットで読み解く!」を持ってくるのに不思議です。他のサイトと比べて検索結果に不満を感じたことはいくつもあり、対グーグル包囲網の軸にするには「筋」が悪すぎると思っています。


NHKが映像素材公開、早速「佳作」も誕生

 31日、「NHKクリエイティブ・ライブラリー」がオープンしました。アマチュアには撮影する機会がない様々なビデオ動画素材を無料で提供し、ウェブ上で素材を切り張りして組み合わせ、BGMも付けられる仕組みが出来ていました。商業目的でなければ、ダウンロードして外部のサイトで公開することも出来ます。

 素材は動植物から、日本や世界の風景、乗り物やCG画像、色別のイメージとかがあり、多彩です。「緑」の素材を眺めているだけで何かイメージが湧いてきます。また、音楽の他に動物の鳴き声や落雷の音といった効果音もあって楽しめそうです。ただ、もう少し大きな画像サイズなら申し分なかったのですが……。

 作られた「人気の作品」から、SLや雲をうまく使った2分余りの「もくもく列車」や「のんびりライフ」など何本か視聴してみました。ちょっとしたアイデアをもとに映像で何かを言う面白さがあります。オープン初日で結構、おやっと思う作品が寄せられていますから、すぐに人気動画サイトになるでしょう。


グーグル検索数からインフル流行予測が稼働

 グーグルが提供してきた斬新なサービスに「インフル トレンド 」が加わりました。「特定の検索キーワードでの検索数がインフルエンザの流行の指標となることを発見」していました。このデータを提供するサービスを昨年11月、米国から始め、10月初め世界20カ国に対象を広げました。日本も入ったわけです。

 下に引用したグラフは「2009〜2010」と「2008〜2009」を比べる設定です。10月4日の「中規模流行」が10月11日には「大規模流行」にはね上がっています。2番目のグラフは国立感染症研究所感染症情報センターの「新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新17」からの引用で、集計に時間がかかるので9月27日分までしか出ていません。




 「インフル トレンドの仕組み」には、過去6年間、米国での特定ワード検索数とインフルエンザ流行がきれいに相関した有り様が示されています。国内はどうでしょうか。2番目のグラフにある折れ線は、全国に5千ある定点観測医療機関のインフルエンザ様患者報告数の平均です。今年1月に流行のピークがあり、昨年末と3月に小さな「こぶ」が出来ています。上の「インフル トレンド グラフ」がかなり的確にこの動向を捉えていて、ちょっとびっくりです。

 逆にトレンド・グラフにある5月前後の山が定点観測グラフにありません。もちろん、この山は新型インフルエンザによるものです。「新型インフル5千人。お寒い都の監視体制 [BM時評]」など一連の新型インフル記事で書いている通り、各地の保健所の多くは新型インフルエンザの確定診断、つまりウイルス遺伝子検査を医療機関が望んでも回避するよう動きました。神戸や大阪のように全国の保健所が動いていれば、実態は違って見えたはずです。

 特定キーワードを持つブログ記事数の推移を見て世論動向をつかむ試みを、夏の総選挙でしています。まとめた結果は「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評] 」にあります。ブログを書く行為は全有権者からみて一部の人にすぎませんが、「民主党が単独で3分の2超」との予測報道で自民党側にやや揺れ戻された有権者の動向が反映されました。ブログに比べグーグル検索を利用する人の数は遙かに多いでしょう。患者発生という物理的な動きが、心配などの心理を通して検索数に表現されるとみていいと思います。グーグルは膨大な過去の検索記録を保存しています。「宝の山」からまだまだ色々な発掘がありそうです。


テクノラティ終了、ブログ界肥大化の果て

 14日、突然に「テクノラティジャパン サービス終了のお知らせ」がアナウンスされました。これだけブログが増えすぎれば収集も大変で商業的に成り立つまいと思うと同時に、昨年まではとても有用なサービスだっただけに残念です。第167回「ブログ記事数グラフで見る米大統領選」の「Obama」「McCain」グラフ対比はとても興味深いものでした。

 「米国テクノラティ社の事業方針の変更に伴い、日本語システムの開発及びサポートの継続が困難になったことにより、今回のテクノラティジャパンの全サービス停止の決定にいたりました」との説明です。本家だけは残るのかも知れませんが、ブログが増えすぎている現在、キーワードによる単純なブログ検索では有用な記事を探すことは困難です。おそらく米国でもお客さんが来なくなるのでサイト維持は難しいでしょう。

 3月に書いた「ブログ検索エンジンへの失望、日米同じか」で「ブログ・エントリーのリリース順に大きな検索リストを出すテクノラティやグーグル・ブログ検索が本当にゴミの山だと思ったのは、かなり前からのことです」と切り捨てた通りです。Googleはウェブ検索で定評があり、顧客を確保しているから成り立ちますが、テクノラティのようにブログ検索だけでは苦しい。

 「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評] 」で提供した記事数グラフを手に入れようとすれば、地道にグーグル・ブログ検索から期間を限定して該当数字を拾ってくるしかなくなりました。結構な手間ですし、毎日定時に検索する作業は忙しいと忘れがちです。昨年まで、思いつきでテクノラティに頼れたお手軽さが懐かしい。グーグルは設備増強をして徹底的に収集しますから、ブログ界肥大化について行くとは思いますが、本当に限界は無いのでしょうか。


9月29日は民主党とネットの接触記念日に

 9月29日、岡田外相がリードして、大手メディアが作る記者クラブに限定されていた大臣レベルの記者会見を広く開放しました。対象がネットメディアやフリーランスの記者にまで広がったのは、本当に画期的な出来事でした。他省庁にも拡大していくはずで、既得権の上に胡座をかいてきたマスメディア、特に在京メディアには衝撃的でした。たまたまこの日、鳩山首相が、ある有名ブロガーと夕食を共にし、Twitterを初体験するハプニングもありました。オバマ大統領の得意技を知らないで済むはずがないでしょう。民主党とネットが接触した記念日として記憶されるかも知れません。

 外相会見は「外務大臣会見記録(要旨)(平成21年9月)」にテキスト版と動画版が用意されています。テキスト版はテーマ毎に切り張りされているので、全体の雰囲気を知るには動画(45分)をお勧めします。30分で広報責任者が会見を打ち切ろうとしたのですが、外相が「もう少しやりましょう」と引っ張るところなど、新政権下で確かに変わったと思わせます。

 出席したフリーランスの記者側がどう見たのか、「田中龍作ジャーナル」は「『記者クラブ談合』の一角は崩れた」「記者会見開放の効果、フリー記者がスクープ」などの連作エントリーで追っています。後者は次のように伝えます。「『民主党スタッフと岡田幹事長(当時)の政策秘書が総選挙前に米国政府の働きかけで渡米し意見交換していた…(中略)』とする記事を朝日、毎日が30日付で伝えた」「この記事は29日の記者会見に出席していたフリージャーナリストの宮崎信行氏のスクープである」「朝日と毎日は記者会見で宮崎氏の質問と岡田大臣の答弁を聞き記事にしたに過ぎない。朝日と毎日は『後追い』したのである」

 記者会見の開放について大手メディアは正面から取り上げるのを避けていましたが、30日付の朝日新聞は「大臣会見、民主『開放』」と大きく報じました。この中で総務相や環境相らが会見で開放を口にしたことも伝えています。ただし、中見出しに「恣意的運用に危惧」とあったりして歯切れはかなり悪いと思います。外務省記者クラブは外相から投げられた問題提起に答えを出せず、見切り発車の形で会見開放はスタートしました。

 私個人は全国紙記者ながら、記者クラブの枠にこだわって取材する時代はとっくに終わったと思っています。クラブなどに拘束されずに取材活動全体をオープン化すべきなのです。中央官庁の役人の情報を有り難がっているから、在京メディアには起きている事実が見えないと判断しています(参考に10年前ながら時評「この国のメディアが持つ構造死角」)。なお、米国では2005年にホワイトハウスがブロガーに記者証を発行しています。「ホワイトハウスで初めて記者証を得たブロガーの物語」をご覧下さい。

 「鳩山首相とご飯した」を書いたのは、ブログが始まるずっと前からグルメ・文化記事系のネット活動をしている「さとなお」さんです。鳩山首相がブログ読者であったことから、朝、突然に夕食を一緒にする話が舞い込んできたそうです。恵比寿の立ち飲みから古い居酒屋へ。「途中、首相にお断りをした上で、このご飯の様子を少しだけ Twitter で実況中継した」「実況中継することで首相に興味をもってもらうのが狙い」「このソーシャルメディアが持つ『フラットでオープンにつながる世界』に少しでも触れていただき、トップダウンなコミュニケーションとは違う流れを感じてもらいたかったからである」「書き込む姿を見てもらったり、ボクの実況へのみなさんの返信をパソコン画面で見てもらったり(熱心に読んでくれた)、いろいろしているうちにかなり興味はもっていただけた模様」

 このエントリーはかなりボリュームがあるのですが「はてなブックマーク」が600を軽く超える大反響を呼んでいます。好感を持たれた方がかなり多いと感じます。時事通信の「首相、酔って羽目外す=『宇宙人だから』」に、居酒屋2階窓から乗り出す首相の写真がありますが、その部屋ではこんなやり取りがあったのですね。マスメディアに出ない、いい話がネットで読めるのは楽しいことです。


鳩山内閣発足、翌日のブログを保存(Japan Blogs Net)

 歴史的な政権交代が鳩山内閣の発足として形になりました。「Japan Blogs Net」で翌17日夜の状態を、5分野から収集、保存しています。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 新閣僚の人選、就任しての発言など色々と言及があります。この夜のトピックは「民主党の記者会見開放放棄にネットはホット」で紹介している記者会見の本格開放が、新首相の最初の会見で実現しなかった点でしょう。新政策を予算の裏付けをつけて打ち出すのは無理でも、海外に例がない記者クラブ制度を抜本的に変えることに注目していたブロガーは多かったのです。26日現在で言うと、岡田外相がオープンにすると宣言した外務省はフリーのジャーナリストにも記者会見への登録を受け付けました。「開放された外務省会見と2つの密約とオバマの核廃絶」などをご覧ください。


民主党の記者会見開放放棄にネットはホット

 民主党はこれまで党本部での記者会見はオープン化し、政権交代してからの政府の記者会見も従来の記者クラブ制にとらわれず、開放する方針でした。ところが、16日にあった首相官邸での鳩山新首相の会見は、従来の内閣記者会に加えて外国メディアや雑誌記者にまで開放されたのに、フリーランスやネットメディアの記者を閉め出したものになりました。ネット上では「公約破り」としてかなりホットな話題になっています。「Japan Blogs Net」でウオッチしている中から拾いましょう。

 閉め出された当事者の一人、ビデオジャーナリスト神保哲生氏の「どうやら問題はガバナンスにあるようです」は「周辺の政治家の話を聞いても、直接やりとりをした上杉さんの話を聞いても、鳩山さん自身はオープンだと言っているようです」「それがそのまま実行されないのが、今回の問題の本質のようです。私の中では今回の問題はディスクロージャーの問題というよりも、ガバナンスの問題になってきています」と民主党内の統治ぶりに疑問符を打っています。

 「民主党は旧メディアと心中するかもしれない」(5号館のつぶやき)は「マスコミでは、民主党政権になってから記者会見が外国特派員と雑誌記者にも開放されることになったと報じていますが、それは裏を返せば『記者クラブを廃止する』と言った、鳩山さんや小沢さんの顔を立てるための目くらましに過ぎないということも感じられます」「数年後には新聞もテレビも消えてしまうとすら言われている現状で、こんな後ろ向きな抵抗勢力に成り下がっているマスコミに未来がないことはますますはっきりしてきました」「民主党も、こんなマスコミと一緒にあっという間に崩壊しまうようなことにならないことを祈りますが、かなり不安を感じさせられた初日の出来事です」と手厳しく書いています。

 「POLAR BEAR BLOG」の《逢坂議員の「Twitter 炎上」の件》はその関連で、民主党の逢坂誠二衆院議員の発言「もう既に『公約破り』とか非難の声があるが、ちょっと気が早すぎるかも。政権スタート後、まだ2日目です」が多数から批判されていることを伝えています。「個人的にはこの一件、日本初の『Twitter 議員』が、日本初の『Twitter 議員炎上』にどう対応されるのかという目で見ています」とフォローしています。

 記者会見のオープン化問題はマスメディアは報道していません。実現すればジャーナリズムの有り様に大きな影響があると考えています。ネット上の批判がどのようになっていくのか、ゆっくりでも開放化に進むのか、注目です。

 【追補】岡田外相が18日、記者会見を原則としてすべてのメディアにオープン化しました。参照・・・時事通信「記者会見の方式見直す=岡田外相」


石破茂農相のブログ釈明はある意味で画期的

 民主党への政権移行作業は、社民党・国民新党との連立工作が9日にようやく出来た状態で、かなりゆっくり目に進んでいます。首班指名は確実なのですから、もう実質的に組閣してしまい、一時を惜しんで各省庁からの情報の把握に進むべきだと思います。一方の自民党も8日の両院議員総会で、河野太郎衆院議員が総裁選立候補推薦人を半減の10人とする動議を出したのに反応無しでした。「両院議員総会」でご本人が「本当は推薦人など不要だと思っているが、とりあえず十人ということにしておいたのだが、驚いたことに動議に賛成した議員が十数人しかいなかった。ショック」と嘆いていらっしゃいます。解党的出直しの意欲が見られません。

 そんな中で《石破農相:WTO閣僚会合欠席 「職務放棄」民主議員が批判》といったマスメディア上での批判を浴びた石破茂農相が自身のブログで「WTO非公式閣僚会合に出席しなかったことについて」と丁寧に釈明したのは新たな動きでした。「ネット有志の公開質問状に民主党が回答した」と並んで、政治家や政党の新たなネット対応として記憶されるでしょう。

 石破氏へのメディアなどの批判は、大臣が出なかったために日本だけが閣僚会議から閉め出されたとするものでした。批判に対しては、民主党の方針をあげ「FTAとは、原則として関税を撤廃することであり、これを日米間で締結するという方針はこれまでの政府の通商政策の方針とは本質的に異なります。こうした考えを持つ政党が政権に就くことが確実な状況下で、私がWTO非公式閣僚会議に出席したとしても、今後の日本国政府の方針を責任を持って打ち出すことはできませんし、すること自体が一種の越権行為であると考えました」と述べています。詳しくはブログを見てください。

 この釈明ぶりに対するネット上の評判も悪くありません。自民党総裁候補と目される一人が、投げられた批判に対してブログを使って国民に広く説明責任を果たす姿勢そのものを好感しているようです。自民党の混迷を見ていると、舛添厚生労働相に総裁選立候補を断念させた派閥のドンたちのように未だに勘違いを続けている政治家が多数います。再建は無理かと思わせる中でわずかな好材料でしょう。


政権交代、ブログの反応を保存(Japan Blogs Net)

 歴史的な2009総選挙の開票が終わった31日未明から、ブログ界では様々な意見がアピールされました。その代表として、「Japan Blogs Net」の記録を、9月1日夕の段階で5分野から収集し、保存しておきます。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 民主党の勝利は開票前から確実視されていました。意外でもなければ、驚喜するような熱狂もない、不思議な感じがあります。圧勝した民主党にして政権移行作業の大変さ、それ以上にマニフェストに書いたことを実行する至難さが見えています。惨敗した自民党は、政権を狙う政党として存続できるのか、大いに危ぶまれる状況にあります。


投票勧誘でないブログの意見表明は全く自由に

 ブログ市長さんの総選挙での候補者と政党への支持表明は、公選法上、全くおとがめ無しの結論が出たそうです。「総選挙異聞:阿久根市長ブログと公選法/凄腕小沢」で取り上げた鹿児島県阿久根市長について、MSN産経ニュースの《特定候補と政党の書き込み「シロ」の理由 ブログ市長が投げかけた波紋》が市選管の説明として「公選法上は、ブログなどで特定候補者を支持する書き込みは認められていない。ただ、選挙運動との関係で言えば、『よろしくお願いします』といった表現は書き込みの中にはなく、当選を目的とした選挙運動には当たらない」と伝えました。

 つまり選挙運動と疑われるスタイルでなければ、全く自由に意見表明してかまわないということになります。いささか困った市長さんなのですが、今回は、踏み込んだ実例を示していただき、それが公的に認められた結果、ブログ界は今後、公選法をほとんど気にする必要がなくなりました。これは素晴らしい、感謝したいと思います。


衆院選公示後、ネットでどこまで書けるか

 総選挙の公示が迫っています。公職選挙法の規定が紙の文書に限らず、ネットにも適用されるとの見解が出ており、前回の2005年衆院選時にはネット全体が非常にナーバスになりました。2004年から急速に立ち上がったブログ界も総選挙期間中は議論を停止した観がありました。候補者や政党の直接の選挙関連活動でなければ、現在では前回ほど極端な自粛は必要ないとの雰囲気がネット上にあります。

 「Japan Blogs Net」でウオッチしている「H-Yamaguchi.net」が「選挙公示後のブログ更新についてお役所に聞いてたらい回しにされた件」で、取り締まる側の総務省や警察に、どこまでなら良いのか答えろと迫ってみた結果を報告しています。

 農業政策について7つの例文まで用意して具体的に問うているのですが、きちんと答えてくれないのが実情です。「一概にいえない」「場合による」「全体をみて総合的に判断」――何これは、法治主義の国ですか。「少なくとも、何が罰せられるか事前にわからないというのは非常にまずいと思う」との指摘に賛成です。

 実は、捜査機関は違法な事柄を見ても全てに着手する訳ではありません。少なくも加罰的違法性があると判断しなければ動きません。ネット上で微妙な表現が膨大に出てきても、相手になどしません。事件として取り上げて、検察・警察の名を上げられるケースについてだけ動き出すと考えて良いでしょう。


ネット有志の公開質問状に民主党が回答した

 総選挙公示を来週に控えて民主党が、ネットを中心に科学技術の問題を取り上げて活動している有志の公開質問状に回答を寄せました。質問はNPO法人サイエンス・コミュニケーションが核になり、ブロガーが加わって作成しました。そこで出しているメルマガの購読者数が3千人に足りませんから、政党が相手にする有権者グループの大きさとしては決して大きなものではありません。公開質問状は各政党あてに出されており、回答があったのは民主党が初めて。本格的な政策論議について、このような対話ができはじめたこと自体がニュースだと思います。

 質問は8月1日付「NPO法人サイエンス・コミュニケーション、総選挙に向けて各政党へ公開質問状を送付」にあります。回答は8日付「公開質問状に対する民主党からの回答」です。

 各党が回答を出すようなら色々な項目を見比べてみたいと思いますが、「日本は世界でただ2か国、国連人権条約の高等教育無償化条項を批准していない国の一つだといわれています」と問いかけた「c)高等教育政策について」だけでもマニフェストにない、新たな政策志向が引き出されています。

 「現在、日本とマダガスカルのみが留保している国際人権A規約(締約国160カ国)の13条における『高等教育無償化条項』の留保を撤回し、漸進的に高等教育の無償化を進める」「学生・生徒に対する奨学金制度を大幅に改め、希望する人なら誰でもいつでも利用できるようにし、学費のみならず最低限の生活費も貸与する」「今後は、諸外国の例を参考に、給付型の奨学金についても検討を進める」

 ポスドクの身分を続けながら大学・大学院時代に受けた奨学金の返済に苦しんでいる知り合いがいます。給付型を含めた奨学金の問題は若い世代にとって関心が高いテーマです。社会をリタイアした高齢者を大切にと言うのなら、一方でこれからの社会を維持発展させる実質投資である高等教育も大事にしなければならないのに、これまでの政策は非常にアンバランスでした。


児童ポルノ禁止法改正をめぐる新たな懸念

 児童ポルノ禁止法改正で対立する与野党に修正の合意が出来たと一部のメディアが伝え、一般社団法人インターネットユーザー協会(MiAU)が「児童買春・児童ポルノ禁止法改正についての緊急声明」を出して「児童ポルノ法改正案には、子供たちを守る仕組みとしては不十分である一方で、一般国民の生活やインターネット利用に大きな弊害を生む可能性のあるものが含まれている」と抗議しました。

 一方、「保坂展人のどこどこ日記」は《児童ポルノ禁止法の「修正協議」は継続中》は「もっとも隔たりのあった『単純所持規制』については、与党と民主の案を折衷する方向で話し合われているが、結論は出ていない。一方、3号ポルノに代表される『児童ポルノの定義』についてはまとまっていない」と、勇み足をたしなめるなど、国会の会期末にきて慌ただしくなっています。

 先日、「リンクだけで犯罪・逮捕は日本警察の常識!! [BM時評]」を書いてから、新たな疑問と懸念が浮かんでいます。児童ポルノサイトのアドレスを掲示板に書き込んでリンクを張る、あるいは既に裁判で有罪になっている例ならアドレスを書いただけで「公然陳列」になるのだとすれば、児童ポルノサイトのアドレスを持っているだけで児童ポルノを所持していると解釈できそうです。あまりに無茶苦茶な気もしますが、「リンクをクリックするだけで児童ポルノ画像に飛べるのだから公然陳列になる」との理屈ですから、アドレスを持っていることが児童ポルノ単純所持になって、なんら不思議はありません。

 「そういう妄想を、そもそも考えるな」とでも言うのでしょうか。基本の基本として、どんな妄想でも持つことは個人の自由です。文学や絵画など芸術作品には、それを昇華して生まれてきたものが多数あります。そんなものは認めない、人間の頭の中を縛るような法律や捜査実務が目の前にある気がします。


リンクだけで犯罪・逮捕は日本警察の常識!!

 読売新聞の「海外の児童ポルノ・アドレス掲載、19歳私大生ら摘発」が8日、「海外の児童ポルノサイトのアドレスをインターネット掲示板に掲載した」「児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑などで」神奈川県警が男2人を逮捕、掲示板開設者の19歳私大生を書類送検すると伝えて、「リンクを張っただけで逮捕されるのか」とネット上、騒然としています。不思議と思い、少し調べたら、児童ポルノでリンクを張っただけでの摘発例はこれが最初ではなく、日本警察にとって当たり前の捜査なのですね。むむ、これはショックでした。

 よく知られたブログなら「404 Blog Not Found」の「 URLを掲示しただけで刑事犯?」が「これは、話しにならない、を通り越して、話しが出来なくなる」「これが刑事犯ということであれば、以下のリンクはどうなのだろう。刑事犯は私?それともリンク先?それともリンク先で表示されるリンクのリンク元?」と、「児童ポルノ - Google 検索」「Yahoo!検索 - 児童ポルノ 」などを並べて疑問を呈しています。グーグルのアドセンスには怪しげな広告も掲示され「特にGoogleの例では、『児童ポルノ』という単語が販売されたことまで示唆されている。これがアウトなら、検索エンジンは全部クロにしないと鼎の軽重が問われるでしょう>当局各位」と訴えたい気持ち、良く分かります。

 読売の記事をよく読むと、「これまで国内の児童ポルノサイトのアドレスを掲載した摘発例はあったが」との一節があります。記憶になかったのでネット上を検索すると、「つれづれコンサル」の「う??ん、会員制のリンク集だと・・・」に行き当たりました。2007年7月に大阪府警が会員制サイトを運営してポルノ画像のアドレスを会員に教えたとして2人を逮捕していると紹介されています。自民大敗の参院選のころで、情勢調査などで私は忙しすぎてネットどころではなかった時期です。

 このサイト主は「記事には公然陳列とありますが、この児童売春・ポルノ禁止法が出る前に、猥褻画像が掲載されているサイトへリンクを貼ったことで刑法175条『公然わいせつ』に当たると逮捕・起訴された事件が、私が知っているだけで数件ありました。このときにも思ったのですが、危ないサイトへリンクを貼ることが違反になることが不思議でたまりませんでした」と書かれています。さらに前に摘発例があるようです。

 読売の記事に戻ると「2人とも同法違反罪などで罰金50万円が確定している」とあります。自分で罪を認めて略式起訴になり、正式な裁判に持ち込んでいないことが分かります。おそらくこれまでも同様にして、摘発された側が異を唱えなかったので、ずるずると続いてきた悪しき捜査手法でしょう。

 「つれづれコンサル」には児童買春・ポルノ禁止法条文が引用されています。「児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする」とありますが、「『電磁的記録その他の記録』の中にURLが含まれるものなのでしょうか!?」と疑問を投げかけていらっしゃいます。

 正式な裁判で、この条文がURLアドレスについてまでも認定しているのか、是非とも争っていただきたいものです。2007年の例は有料のサイトで3400人が加入、1350万円の収益を上げていますから加罰性があったと言えるかも知れませんが、今回は海外の掲示板にアドレス11件を書き込んだだけです。最近、私のブログにも海外から訳が分からないリンクが毎日のように書き込まれ、削除が面倒になる有り様です。放置していて、その中に児童ポルノ・アドレスがあったから「幇助」にあたるなどと言われるようなら、ブログのコメント欄やトラックバック欄は直ちに閉鎖するしかないと思います。

 【追補】一審で有罪判決あり……7/9付けのJ-CASTニュース「児童ポルノ、リンクだけで摘発 警察の好きにできる懸念も」は「海外サイトへのリンクで摘発は初めてというが、国内サイトでは、07年5月8日に大阪府警による全国初の摘発例がある」「被告代理人の奥村徹弁護士によると、大阪の例では、リンクは張っていなかったが、アドレスのURLがカタカナ交じりで書き込まれていた。その後、起訴されて一審で有罪判決となり、現在は控訴中となっている」と報じています。リンクを張っていなくてもアウトだったそうです。


ユーチューブが市民記者養成サイト設ける

 INTERNET WATCHの「米YouTube、市民記者の養成チャンネルを開設」に気になる話題があったので紹介しておきます。最近のイラン大統領選不正問題、ミャンマー民主化運動などで、インターネットに投稿された市民撮影の街頭映像が非常な注目を集めているのを受けて、市民ビデオ記者を育てようと言うのです。

 国内の市民記者サイトはお世辞にも成功しているとは言えません。あまりに主観的に書かれた記事が多いからですが、映像、ビデオがあるのなら客観的な説得力は段違いに増します。「YouTube Reporters' Center」です。著名なジャーナリストのインタビューなどについての教育講義も視聴できるのです。

 国内からは英語の壁があるのでニュースの本格的な投稿は簡単ではありませんが、それでも映像の見せる力が圧倒的な場合は、簡単な英語キャプションを付けるだけでも通用すると思います。1月の「ハドソンの奇跡」現場写真を5分後に一報したTwitterの例もあります。国内ジャーナリストも要チェックのサイトに発展してもらいたいものです。


テラの上の上、281エクサバイトになったネット

 15日付けのINTERNET WATCH「Google検索進化の方向性、メイヤー副社長が語る」に「Web上のコンテンツが5年前の5エクサバイトから、現在は281エクサバイトにまで急増していると指摘。ユーザーがアップロードするコンテンツについても、動画や写真が増えたことで3年前と比べて15倍に拡大した」とありました。

 エクサとはギガの上のテラ、その上のペタの上で10の18乗です。つまり「ギガ(10億)のギガ」と考えればよいので、あり得る数字と思えてきますが、とんでもない数字であることには変わり在りません。5エクサバイト(EB)が5年間で281EBになっているということは、倍々ゲームで5年間なら160EBなので、それよりも速い増加ぶりです。Googleはウェブコンテンツをハードディスクではなく電子キャッシュに取り込んで、相互のリンク関係などを高速に分析しているはずです。年に倍々以上の増加速度なら大変な設備投資が要りますね。

 ブログ登場以前に比べて検索結果の精度が落ちている、つまり、つまらない検索リストしか返さなくなっていることは何度か指摘しました。いまやブログだけでなく、動画や写真も猛烈な勢いで増えています。「検索結果の20%は過去3カ月前にはなかったものが追加され、どんどん新しくなっている」とは、検索をとてもよく使う私には納得できる状況です。少ししか時間が経過していないのに検索結果が違う「違和感」に最近、しばしば直面します。


Twitter利用者数、国内でも急増カーブに

 一度には140文字しか書けないミニミニつぶやきブログサービスである「Twitter」の参加者が国内でも急カーブで増え始めました。《米国発のマイクロブログサービス「Twitter」の利用者が日本でも順調に増加》によると、今年4月の利用者数は52万人で、1月に比べて2.6倍です。オバマ大統領が選挙戦で使った米国は1700万人、英国の250万人に比べると絶対数ではまだまだ見劣りしますが、世界全体では1週間に100万人が増えているとされる状況が国内にもやって来たようです。

 折しも「ITmedia News」が5日に「ライブドア堀江元社長がTwitter開始 3時間で2000人フォロー」を流しています。6日に「takapon_jp」をのぞいてみるとフォローは6716人に増えています。有名人が参加するとさらに増幅されるでしょう。

 秋までにはある総選挙の時点では、国内利用者が数百万人にもなるでしょう。短い文章と親密なフォロワーの間ですから、思わぬ使われ方をするのではないでしょうか。選挙のことをあからさまに表現しなくとも、関係している人には分かってしまう使い方も出来るでしょう。公選法との関係でも注目すべき存在になります。


第177回「インターネット世界に地殻変動を感じる」

 インターネットの世界は一本調子に拡大してきたように思われがちですが、TechCrunchの「ウェブの成長は停滞しているのか、それとも小休止なのだろうか」のグラフを見ると、経済活動の一環であり、景気変動の波をしっかり反映していることが分かります。もうひとつ気になるグラフを「何故伸びるTwitter!!??」(FPN)で見ました。ふたつのグラフを並べて見ましょう。



 ウェブサイト数の成長は「2001年から2002年にかけては成長率がマイナスとなっており、2008年にも増加数が減っている。これはつまりウェブサイトの増減は、全体的な経済動向により左右されるということを示す」「2009年には4600万ものサイトが新たに登場したが、そのほとんどは中国のブログサイト」という状況だそうです。中国では自動車販売台数が既に上向いていて、経済的にはある程度の活況にあるようです。

 この記事には2008年から2009年にかけて、各国のインターネット人口がどう動いたかの一覧が付いています。非常に目立つのは中国の19%増加に対して、米国がわずか1%増なのです。

 では、米国は完全に停滞しているかと言えば、そうではありません。「今年になってTwitterの伸びが目立ちます。現在は1週間に約100万人づつ参加者が増えているようです」「現在米国のユニーク参加者数が約9百万人、その他のグローバル参加者が実数で1千9百万人に上っています」と、ウェブの停滞を横目に、一度に140字しか書けないミニミニつぶやきブログ「Twitter」に流れ込んでいるのです。これはウェブサイトの増加にはカウントされないでしょう。

 オバマ大統領が選挙戦でTwitterを使ったことは有名です。新型インフルエンザ流行で、米疾病対策センター(CDC)は「CDCemergencyはTwitterをつかっています!」とアピールしています。死者数や感染の広がりなどの情報を124000人が「フォロー」しています。

 Twitter創業者Biz Stoneのスピーチの記録が「Twitterは人間性の勝利であって、テクノロジーの勝利ではない」に。シンプルなサービスであっても、使われ方が問題です。

 《UCバークレーの学生がエジプトでのデモ抗議をカメラで撮影する活動をしていて、エジプトの警察に逮捕された。「タイホされた!」という彼のつぶやきに反応し、フォロワーが、学部長を呼び、学部長が弁護士を呼んだり、とサポート活動が自然に起こったおかげで、「逮捕された!」のつぶやきの2時間後には「自由の身だ」のつぶやきが!》

 FPNの記事は「インターネットの第二の波が『即時性=同期型コミュニュケーション』、『3D化』を求める方向に向かっている。それが歴史的な新旧メディアの転換点と重なっているのが大きいと思われます」「テレビや新聞に代わるリアルタイム社交とリアルタイム報道の新しい形を、米国を中心とする若者の新しいライフスタイルは求めています」と指摘しています。

 今年1月の「ハドソンの奇跡」で「航空事故の現場写真,Twitterで第一報が」世界に発信されました。ハドソン川の不時着現場近くにいて救助に向かったフェリーに乗り合わせた乗客が撮影した、主翼に乗客が立ち並ぶ写真です。潰れてしまったオーマイニュースには「地の利」「時の利」を感じることがほとんどありませんでしたが、1900万人の参加者が発信するものにニュースが含まれて当然です。「Twitter検索」でうまくすればキャッチできるようですから、マスメディア側も注目せざるを得ないでしょう。国内では米国ほどには活発になっていないようですが、「Twitterはじめて一年たったけど、(たぶん)人生変わった」と経験を語る人も出ています。


市民メディアの不毛と既成メディアの守勢

 やはりと言うべきでしょう、「オーマイニュース、市民記者ニュースサイトを4月24日で完全閉鎖」との結末になりました。2006年にスタートした時点で「オーマイニュースの可能性ほぼ消滅か」「大型市民記者メディアは無理と決した」を書いている立場からは、後に残すものがなかった不毛な3年に思えます。

 この機会に「ガ島」藤代裕之さんが「書くことの難しさ ネットの言論はなぜ質が低いか」で「25日についにオーマイニュースの閉鎖が発表されたが、市民メディアと呼ばれるメディアが広がりを見せないのは、コンテンツの質が低いからに他ならない」「コンテンツの質を高めるという点で、新興ニュースサイトやブロガーには大きな壁がある」「ひとつはライティング、表現に関わるスキルが定型化されておらず、習得を困難にしているという問題」「もうひとつは、人材が既存メディアに囲い込まれているという問題」と論じました。

 これ対して「雑種路線でいこう」の楠正憲さんが「市民メディアの凋落とマスメディアの憂鬱」で「ネット上の文章について藤代さんが厳しい目を向ける気持ちは分かる。しかし市民メディアは『コンテンツの質が低い』以前に深刻な自己矛盾を抱えているのではないか。既存のマスメディアでさえ、今後もコンテンツの質と威信を担保し続けられるかは疑わしい」と、深いところからの疑問を呈しています。

 オーマイニュースのような市民メディアに関しては失敗は歴然としていますが、ネット上では有用な記事を流す専門家のウェブやブログは増え続けています。私が運営する「Japan Blogs Net」にRSSリーダーを持つものだけ、分野別にサンプルを集めているのでご覧ください。藤代さんの考え方と違って、書くか書かないか以前の問題として、読むに耐えるコンテンツを持つか、あるいは見つけてこられるかが最初の関門です。オーマイニュースの記事大多数は落第でした。

 楠さんは「読者減と広告出稿減で昔のようには予算をかけられなくなりつつあるマスメディアも、市民メディアと同じ罠に嵌る前に記者の人的資本を活かしつつ効率的で新たな形式を模索せざるを得ないのではないか。Iza!の記者ブログは興味深い先駆事例だ。記者は普段から多くの事実に触れつつ、記事に書けること書けないことを熟知している分、特徴あるブログ記事を書けるのではないか」と、既成のマスメディアに対してネットに出てくるように求めています。

 ところが、国内では「iza」以降、既成メディアの動きが止まっています。不況が深まり、将来の経営に不安が高まる状況の下で、守勢に入っている印象が強まっています。「メディア・パブ」の「米有力新聞にもTwitterフィーバー、発行人や編集長から記者まで一斉にアカウントを取得し公開」によると、シカゴ・トリビューン紙の媒体公式紹介欄に社長や編集長のアドレスが公開され、実際に近況のようなメモが書き込まれています。記者ブログですら不十分な展開しかしていない国内メディアでは考えられないことです。


ブログ検索エンジンへの失望、日米同じか

 「ブログヘラルド」に「過ぎ去りし、ブログ検索エンジンの時代」「ブログ検索エンジンにとって代わる4つの手段」という連作エントリーが載っています。筆者のジョナサン・ベイリーさんは2005年からブログを始めた人。私も2004年末だから似たような時期です。「好んでTechnorati(テクノラティ)やGoogle Blog Search(グーグル・ブログ検索)を含むブログ検索エンジンを利用していた」「しかし、年月が経過するにつれ、これらのサービスの有用性はほとんど失われてしまった」と、彼は断じています。

 スパムブログ、RSSを利用するブログ以外のサイト増大などの問題点に加えて「恐らく最も大きな問題は、3年前と比べて、ブロゴスフィア全体が大幅に拡大している点ではないだろうか」と、本質的には量的な膨大が手を付けられない事態を生み出しているとみています。「ブログ検索フィードの購読をやめてもいい準備は整っているが、まだ諦めたくない。テクノラテイやグーグルには、是非、解決策を見出してもらいたい」と捨てきれないとしつつも、いま出来る対処方法もいくつか示していますが、これは米国向けです。

 ブログ・エントリーのリリース順に大きな検索リストを出すテクノラティやグーグル・ブログ検索が本当にゴミの山だと思ったのは、かなり前からのことです。私の場合、新聞社の記事審査委員の仕事で新聞記事に関係する、当日の的確なブログを見つけるには、かなり規模が小さめな「Ask.jp」を活用したりしていました。最近ではこちらも効用が落ちています。ただ、グーグルは「日付順」のほかに「関連性が高い順」も選べるようになりました。「グーグル・ブログ検索」で検索すると、取り上げているブログヘラルド記事を引用したブログが17,221件中の2番目に入っているのですから、意味はあるようですが、スパムブログの多さは相変わらずです。

 国内では皆さん、自分の見たい記事、トピックを見るためにどうしているのでしょうか。「はてなブックマーク」など様々なソーシャル・ブックマーク類が結構、参照されているのも対策の一つかも知れませんが、こちらもゴミが増えています。個人的にはいま暫定的に運用している「Japan Blogs Net」はこうした事態への対処でもありますから、これをもっと手広く拡大することも考えています。月末には短い春休みが取れそうですから、手を着けられればと思います。


村上春樹イスラエル批判講演と中川失態報道の続き

 今日は米ビッグ3の再建策、政府に提出を考える日でしたが、あまりの出来の悪さに(これが当然、あるいは必然かも知れません)唖然として見送りです。代わって昨日のエントリー「村上春樹イスラエル批判講演とブログ活況」を続けたいと思います。「Japan Blogs Net」で見ると、「極東ブログ」が「村上春樹、エルサレム賞受賞スピーチ試訳」を出しています。要旨や抄録に隔靴掻痒だった方、読まれることをお勧めします。共同配信の要旨はかなり政治的なメッセージになっていましたが、これなら作家の心情吐露としてしっくりきます。既成メディアの手抜きに対してブログの存在感がさらに浮き出たように感じます。

 今日の重点はむしろ、中川財政金融相のG7失態と辞任の方でしょうか。やはり「Japan Blogs Net」のモニタリングで「nikaidou.com」が「中川と飲んでた女性記者」以下の裏情報をいち早く流していたのを見ていました。18日になって「読売特殊班、記者をかばう」で女性記者の写真が載っているページが消えたと書かれていますが、まだgoogleキャッシュには残っています。名前と「weblets」をキーワードにしてキャッシュを見ればオーケーです。女性記者は3人で、読売、日本テレビ、ブルームバーグと後に追加されました。

 18日朝刊では毎日新聞が最も詳しく報じ、「中川氏は昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行うことが恒例化していた」とまで書いています。「中川財務大臣はやっぱり酔っていた?」が「『中川氏はまんまとはめられた』と見るか、『すべて自己責任だから、飲んだ方が悪い』と見るか。マスコミなら当然後者で書くだろうね。さすがに、自分も中川氏を擁護することはできない。しかし、マスコミの行動も到底容認できない(結局マスコミは何しに行ったんだよ)」と、取材のありように憤慨して当然でしょう。

 読売新聞は女性記者は出席していたが、酒を飲んだかどうか見ていない、との趣旨を記事にしています。こういう逃げは良くありません。時代の証言者として取材に行っているのですから、膨大な定期購読者という委託をしている市民社会に対する完全な職務放棄です。

 もっとも、「その人が中川財務相の飲酒(口を付けたでなく飲んでいた)を認めた場合、同行記者なので当然日程知ってるよね?国益より醜態さらす方が大事ですか?」「で、日本を貶めたと怒っている人たちの矛先がその新聞社にも向くだろう」と書く「毎日新聞は地雷を踏んだような…」のような右のブログが存在している時代です。

 いずれにせよ既成メディアの今回失態での報道対応は落第点でした。

 【追補】共同通信の特派員が現地で聞いた通りに再現したスピーチ全文が《【英語全文】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演》にあります。(日本語訳も)


村上春樹イスラエル批判講演とブログ活況

 ノーベル賞にも擬せられている作家村上春樹さんが、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判したことがブログでは反響を呼んでいます。マスメディアがむしろ、前後して報じられた中川財政金融相の失態と進退に傾斜しているために目立つ感じがします。「Japan Blogs Net」でいつもモニターしているブログ中ではまず「カッコ悪い日本人とカッコいい日本人」(5号館のつぶやき)が両者を並べています。事前に盛んにあったブログからの危惧発信に村上さんが沈黙していたのに違和感を感じていたのですが、「今日の授賞式の記念講演の内容を聞いてぶっ飛んでしまいました」と告白しています。大手紙が省いた共同配信の講演要旨、意味が断然はっきりするので、やはりこれは入れるべきだったと思えます。

 Jerusalem Post紙から英文の抄録を引用しているのが「壁と卵」(池田信夫 blog)です。講演に最大級の賛辞を送る一方、ここのコメント欄を起点にブロガーによる自主的な英文翻訳の紹介などがされていて、既成メディアがジャーナリズムらしい作業をさぼっている時代に、オルタナティブ・メディアならではの活況になっています。(中川失態は女性新聞記者との直前飲酒が原因の裏情報まで流れる始末)

 受賞前に繰り返し危惧を表明していた「Arisanのノート」の「もう一度、村上氏の講演に触れます」「毎日新聞の記事」から「日本国内で受賞拒否を求める声が上がったと説明するとともに、『私は、沈黙するのではなく(現地に来て)話すことを選んだ』と述べた」を引用して「賞拒否や批判的なスピーチなどの明示的なアプローチを求める人々の声は、村上氏の耳にちゃんと届いていたのだと、はじめて思った」「多くの人たちの気持ちが伝わっていたこと(その意味で、無駄でなかったこと)を知って、とても嬉しいと思ったのである」と率直です。

 ITmediaが早速、「村上春樹さんの受賞スピーチ、日本のブロガー陣がスピード翻訳 『ハルキ風』も」と報じています。この件では「モジモジ君の日記。みたいな。 」などが盛んに取り上げていたのが印象に残ります。

《続編》=「村上春樹イスラエル批判講演と中川失態報道の続き」


「ブログ炎上で初摘発」のリンク集

 「男性タレントのブログが悪意の書き込みで炎上した事件」で「警視庁は、男性タレント(37)のブログを攻撃した17〜45歳の男女18人について、名誉棄損容疑で刑事責任を追及することを決めた」と、読売新聞が5日付朝刊1面で特ダネを流しました。

 この事件では「現場」が既に消されている(waybackmachineでも復元しない)上に、報道が警察・検察の真意を伝え切れていない感じがします。今回は情報のリンクだけを並べましょう。東京・足立区の女子高生コンクリート殺人事件の犯人と誤認しての暴力的なコメントの嵐だったようです。

 概要は《「10年間ネットで中傷被害」スマイリーキクチがブログで事件経緯》が分かりやすいでしょう。被害者であるスマイリーキクチさんが「5日付けブログ」で説明していますが、読売の記事にも誤りがあるようです。「2008年1月にブログを開設してからも毎日コメント欄への誹謗中傷があり、8月15日のブログで否定したにも拘わらず誹謗中傷が続きました。さらに書籍等で、個人を特定していないまでも私を連想させる表現で、事件の犯人であるかのような書かれ方をされた事があり、それがインターネット上の誹謗中傷の根拠とされてしまいました」と書かれています。

 この記事には6日夜の段階で2400以上のコメントが寄せられています。このサイトは管理者がチェックしている場所なので、当然のことながら好意的なコメントしか在りません。

 第三者のサイトでは「Birth of Blues」が「スマイリーキクチさんブログでコンクリ殺人粘着していた18名を警視庁が特定 逮捕か?」が震源地だったであろう「2ちゃんねる関係掲示板」の狼狽ぶりを収録しています。テクノラティで見る限りはキーワード「スマイリーキクチ」のブログ記事数は5日に100件程度ですから、意外にネット上の注目度は低いのかも知れません。


オバマ米大統領就任、ブログの反応はどうか

 「次期大統領」という言葉が現職のブッシュさんを上回る重さで使われた、期待先行の数カ月でした。ついにオバマ大統領就任の日が来ました。「Japan Blogs Net」の記録を以下に、22日夜の段階で残しておきます。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 右と左、政治色が強いブログはもちろんですが、社会派のブログも数多く取り上げています。取りまとめる暇もないので、二つだけにしましょう。

 「大統領就任演説を読んで」(内田樹の研究室)は「そのまま英語の教科書に使えそうな立派な演説である。アメリカという国が『もともとある』共同体ではなく、国民ひとりひとりが自分の持ち分の汗と血を流して創り上げたものだという考えが全体に伏流している」「よいスピーチである。政策的内容ではなく、アメリカの行く道を『過去』と『未来』をつなぐ『物語』によって導き出すロジックがすぐれている」「『それに引き換え』、本邦の政治家には『こういう言説』を語る人間がいない」と切り出して、愛国主義を持ち出すナショナリストですら「うちは昔からこうであった。今もこうである。これからもこれでゆく」という「本態的ナショナリズム」を持てない様を嗤っています。

 「Arisanのノート」の「むなしい演説」は「相変わらず、『海を渡って』植民してきた先祖の苦労には思いをはせても(しかも、『鞭打ちに耐え』た人たちの経験がそれに同一化されてしまっているが)、その先祖たちに土地を奪われ虐殺された先住者たちへの言及はなし」「上の二つの言葉(認識)が組み合わさってるんだから、アメリカがイスラエルのやってることを非難できないのは当たり前だ。まったく同じ事をやってきたわけだから」と、もうひとつの根源的な問題をクーズアップしています。

 さて、英語と日本語のキーワードでオバマを検索すると、当選直後には及びませんが、それぞれ数万、数千と膨大なエントリーが書かれているようです。テクノラティのグラフで半年分が見られるようにしておきます。

Posts that contain Obama per day for the last 180 days.
Technorati Chart

過去180日間に書かれた、オバマを含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「オバマ」に関するグラフ


《参照》「オバマ当選翌日のJapan Blogs Netの記録」


『ハドソンの奇跡』に見る米ネットの活性

 USエアウェイズのエアバスA320型機が離陸直後にエンジン2基の推力を失い、ニューヨーク市マンハッタンのハドソン川に不時着しながら機長の『神業』で死者・重傷者ゼロの奇跡を呼んだニュースは、冬の寒さ以上に冷え込んだ世界に何かホットなものを流してくれました。同時に日本語ネットの世界では物足りない情報しかなかったのに、米国のネットは活性度が高いと思えた今回の事故でした。

 何と言ってもお膝元、ニューヨークタイムズ紙のウェブ記事構成が秀逸でした。「After Splash, Nerves, Heroics and Comedy」Multimedia欄にある「Interactive Graphics」と「Video」は必見です。良くできたグラフィックスは離陸から不時着水までの数分間の出来事を立体的に経時的によく把握させてくれますし、沿岸警備隊撮影のビデオは着水の瞬間から乗客が機外へ脱出する様子、近くのフェリー船が急行するところまで映っています。記事の構成も十分です。他のネット媒体でもカラー写真のスライドショーなど豊富でした。

 「奇跡のハドソン川着水機、みごたえのあるネット新聞の記事構成」(生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ)がニューヨークタイムズを評して「これなら、新聞よりもネットのほうが動画もあるし、カラー写真もたくさんあるし、はるかに見ごたえ、読み応えがあります」と激賞している通りです。「日本のネット新聞の実力とは技術的に差があるように見えました。理由はわかりませんが、動画や鳥瞰図や写真が豊富でかつそれらが軽いのです」「日本ではまだ新聞社の上層部がネットに虎の子の記事をだすことにかなりの抵抗があるのでしょうか。朝日も読み応えのある記事はネットでは読めません」

 その通りで、国内紙のウェブはニュースのほんの「さわり」しか出していないので、こういった大事件では非常に物足りない思いをします。ニューヨークタイムズは紙とネットの編集部を一体化させるところまで踏み込んでいるので、今回のように手間を掛けた、優れた構成が出来たのでしょう。

 目撃した市民がマスメディアに頼らずに現場写真の第一報を流せたというのも特筆物です。「航空事故の現場写真,Twitterで第一報が」(メディア・パブ)が「15日にニューヨークのハドソン川に不時着水したU.S. Airways 機の航空事故でも,現場に向かっているフェリーに乗船していた市民(Janis Krums氏)がiPhoneで現場写真を撮り,すぐにTwitterで以下のように発信した」と伝えています。不時着機の周辺には何もありませんから、沿岸警備隊ビデオがとらえたフェリー船からの写真です。携帯電話のカメラで撮って、SNS的にも使われる簡便ブログ「Twitter」にアップロードしています。

 国内では「画像共有サイトやSNSへ、写真を簡単アップロード “サイバーショット”Gシリーズ | プレスリリース | ソニー」のようにパソコン無しでもネットへ写真を送り出せるデジカメが現れました。市民とマスコミが対等に競う時代が来てしまったようです。


Wiiの間チャンネルは超容易セカンドライフ?

 2008年暮れも押し迫って、「家族」「生活」「絆」をコンセプトにした《任天堂と電通、Wii向けに動画配信サービス「Wiiの間チャンネル」を来春開始》とのプレスリリースが流れました。聞いた当初は大不況に突入しての縮み指向、家庭回帰に合わせた企画かと思ったのですが、しばらく眺めている間に考えが変わりました。もてはやされながら失速した仮想空間「セカンドライフ」を家族ベースにした超イージー版ではないのか、と思えるのです。

 現実にWiiでどんなことが出来ているのか、「Wii.com JP」に行けば分かります。「Wii Music」では仲間で色々な楽器を使って合奏できます。もちろん楽器は画面の中にあり、例のリモコンをそれらしく扱うことで演奏感が味わえるわけです。「街へいこうよ どうぶつの森」では街が造られて、そこでシティー生活を楽しむのですから、これだけでも簡便な「セカンドライフ」です。

 「Wiiの間チャンネル 出前チャンネル」(ブログ|ニュース&ワイド)は「お茶の間復権?ってことなんですけど」「2年前にWiiが発売された時には、テニスとかボーリングとか、けっこう家族で夢中になっちゃって、久々にお茶の間で家族そろってゲームを楽しんで、なんか懐かしい感じがしたんですね」「Wiiの間チャンネルは、どんなコンテンツなんでしょうかね」と期待を寄せます。

 プレスリリースには「任天堂(株)は任天堂ならではのユニークでどなたにもお楽しみいただけるサービスの開発・運営を手掛け、(株)電通は様々な外部企業と交渉し、Wii独自の新しいコンテンツの制作体制を構築します」とあります。「Wiiの間チャンネル」という仮想空間プラットフォームに外部企業のアイデア、コンテンツ力をどんどん取り込みますよ、と宣言しているのです。「動画配信サービス」という説明が悪いのです。

 Wiiは9月末時点で世界に3455万台が出荷され、8割がリビングのテレビに、4割がインターネットに接続されているそうです。国内に限れば11月末までの2年間で700万台を販売していますから、来年は1000万台に届くでしょうし、国内だけで数百万台が家庭からネット接続されている魅力は大きいでしょう。使用者が男女別、世代別で偏りが無いというのも大きな吸引力です。最初は国内から出発して、海外にも広げる方向のようです。

 全く新しい展開と考える方もいます。「新しい広告の形」(株式未来予想図)はこう指摘します。「任天堂と電通が本格的にタッグを組みました。TV・新聞広告業界のパトロン、トヨタが疲弊した今、王者電通も新たな有力媒体を確保する必要に迫られたわけです」「任天堂も今は何とか好調を維持していますが、新興国の中間層にゲームが普及するのはまだまだ先の話・・・。となると、現在の顧客から新たな収益を得るというビジネスモデルを何とか構築せねばならない・・・。そこにアニメや広告というネットを使った媒体が候補として浮かび上がった訳です。これは面白くなってきました。日本の広告の構造がガラッと変わる転機になるかもしれませんね」

 セカンドライフは話題になって一度は行っても再訪する人が少なく、閑散としているといいます。大不況で旅行も外食も控える時期が続くとしたら、家庭のリビングを受・発信地にした仮想ネットライフは強いかも知れません。世界中との交流も出来るでしょうから、縮こまっている生活の癒しにもなります。


NYタイムズが外部リンク活用を本格化

 ニューヨークタイムズ紙のウェブが5日、従来になく本格的に外部リンクを重視する方向で刷新されました。主要記事サマリーの下に小窓が設けられ、そこには記事に関連する、一般人のブログ記事や競合するマスメディア記事のリンクがびっしり埋め込まれているのです。この状態にするには右肩にある「Try Our EXTRA Home Page」のロゴをクリックする必要があります。リンク先の選択はタイムズが作った「Blogrunner」から自動的に送られ、12000ものメディアやブログの更新をウオッチしているそうです。

 米国の「Center for Citizen Media」ブログは「NY Times Continues to Push Old-Media Boundaries」で「やり方は決して目新しくはないが、我々が現に生きている、リンクで満ちた社会に進み出てくれた」と評価しています。

 国内では「メディアパブ」が「NYTサイトの窓が大きく開かれた」で「NYTサイトのトップページから、競合するWSJ.comの記事などにダイレクトリンクが張られる時代になってきた」「いよいよ新聞社サイトも鎖国政策に終止符を打ち,本格的な開国に向かい始めた。供給者の思惑だけでユーザーを囲い込んでいると、ユーザーが寄り付かなくなる」と評しています。まさにその通りです。

 翻って国内の既成メディアのネット政策は極めつけの鎖国状態です。先日、ある大学で「ネット社会とメディア」と題した講義をしてきましたが、「国内大手メディアのウェブサイトは極めて閉鎖的だ。記者ブログを設けるにしても本体と分離したり、見えにくい場所に設け、記事にコメントを受け付けるようにもなっていない」と申し上げざるを得ませんでした。

 破綻寸前の米ビッグ3を政府の巨額融資で救済する問題をめぐるウォールストリート・ジャーナルの記者ブログ、例えば「Political Wisdom: Who’s Willing to Save Detroit?」ではコメント欄でも活発な議論がされています。国内マスメディアの経営は経済危機も手伝って急速に傾いています。小手先のコストカットだけでなく、ネット社会とどう向き合うのか、共にどう生きるのか急いで検討するべきです。


オバマ当選翌日のJapan Blogs Netの記録

 オバマ氏が米大統領に当選した翌日昼過ぎのブログ界を、「Japan Blogs Net」の記録として残しておきます。当選確実が報じられてから丸1日が経過した2008/11/06、13時の時点です。以下の硬派系分野のブログでは様々なオバマ論評がされています。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 実は先月末、麻生首相が衆院解散を見送った時点でも保存したかったのですが、本業などでばたばたしていて忘れました。現在、「Japan Blogs Net」はほぼ1時間おきに更新しています。時間が経過すればどんどん変わっていくのを見ると、どこかの時点で保存していく意味があるように思えます。今後も折をみて試みます。

《参照》オバマ当選の衝撃をリアルなグラフで

ブログ界を分野別に定点観測:Japan Blogs Netスタート

 ブログの世界の動きを分野別に手軽に一覧できないか――この半年ほど、模索していた試みを実現し、新たなサイトを立ち上げました。「Japan Blogs Net」(http://japan-blogs.net/)です。

 3月末まで新聞社内で記事審査委員を2年半、務め、当日の新聞記事について、その日のブログで書かれた批評・批判など盛り込んで紙面審査メモ(社外秘)を書いてきました。各紙を読み終わった午前10時過ぎに30分ほどで、ブログ検索を駆使して集めるのですが、実はかなりのテクニックと、どこにどんなブログがあるのかなど予備知識が要ります。この経験から、メディアの人間に限らず多くの方のために、ブログ界の動向を大まかに捉えられる場所があって良いと考えました。

 当面、「政治・経済」「社会・医療」「科学・IT」「食・グルメ」「芸能・趣味」「話題・ネタ」の6分野、計150サイトでスタートします。1997年開設の「インターネットで読み解く!」「ブログ時評」(休止中)、新設「Blog vs. Media 時評」、さらに社内の仕事でも積み上げきたブックマークから、RSSを持つアクティブなブログとウェブを取り上げ、分類してあります。1分野30サイトくらいが限度かとも思えますが、まだ試行段階で、収録サイトの増減や分類形式など、手直しして行きます。RSSリーダーソフトでも出来そうなことですが、意外にこんな形にはなりません。

 解散・総選挙を前にした時期に開設したのは、2005年総選挙時に非常に多数の方に読んでいただけた「小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]」をリアルタイムで見せられないか――とも考えているからです。上の6分野とは別に「リベラル・左」「保守・右」の分類で計画中です。実は3年前に面白かったブログはほとんど活動を停止していて、新たに集め直さねばなりません。こちらには6分野以上に幅広いブログに参加してもらうと面白そうです。

 もう少し経緯を書くと、20年前の幻ネット「サイエンスネット.jp」を復刻・復活させる作業をしていて、ドメイン「japan-blogs.net」が取得可能であることを知りました。ここからイメージが湧いてきてシステムの仕様を描き、perlプログラミングができる大学生の長男に作ってもらいました。一覧性を高めて見るには、表示文字を小さくするのも良いでしょう。なお、RSSを持つウェブはまだ少なく、夕刊で1年連載した「ウェブ通」から採用できたサイトはわずかしかありません。

 国内のブログにも将来は政治色や問題別に「ハブ」が出来ないか、と夢想しています。このサイトの観察から、膨大な数になっているのに全くばらばら、散発的に動いているブログの世界に結集軸のようなものが見えてくることも期待しています。


ブログ界の現状報告から収益問題をチェック

 ブログ記事の頻度グラフをしばしば使っわせてもらっているテクノラティ社がブログ界の現状報告「State of the Blogosphere / 2008」を公表しています。本編に続いて5日連続で分析記事が続き、今日はその3日目というところです。目に付いたトピックをいくつか。

 「2002年以来、同社が記録したブログは1億3300万
 過去120日以内に更新されたのが740万
 1週間以内に更新は150万
 24時間以内の更新は90万」

 毎日、更新している人は世界規模でも意外に少ないのですね。

 欧米人を中心にアジア人も含めたブロガー・アンケートを実施しています。その結果から収益問題。ブログからの収入を聞いて続編「Day 2: The What and Why of Blogging」は「ブログは楽しみでお金儲けなど考えない人が54%、いつかはお金もと言う人が42%、収入の一部とする人が15%、フルタイムの仕事になっている人が4%、主な収入源という人が2%」だと報告しています。

 国内でもブログから収入を得ている方がいるのは知っていますが、「主な収入源2%」は信じがたい数字です。私も親サイトのウェブとこのブログにGoogle AdSenseなど広告を掲示しています。時に気晴らしをする程度のお金は入ってきますが、圧倒的に親サイトからのものです。ブログではヒット数の多さに比べてGoogle AdSenseのクリック率が極めて低いのです。ウェブでは記事1本ごとにページが切り分けられ、内容に合った広告が出るのに、ブログではいくつもの記事を束にしているのでフィットしない問題もあります。

 さらにブログを回る人はせっかちなようです。私の記事は紹介してあるリンク先をゆっくり見て回ってこそ面白いものが多いのですが、両方に出した記事で、たまたま親サイト側から何倍も多くジャンプしているケースを知りました。そもそもリンクをクリックしてくれる確率が低いのですね。国内のブログで米国のような高収入を得るのは当分、無理なようです。「ブログ限界論」論点まとめには収益の問題も触れられています。


Googleが過去の新聞紙面を検索可能に

 INTERNET WATCHの「米Google、新聞紙面のデジタル化プロジェクトを開始」は、ついに来るものが来たという感じで受け止めました。「ネットの世界、1兆ページを突破!」を達成しているグーグルが、知的財産として残された膨大なテキスト分野、過去の新聞紙面の検索に手を着けました。「Google News Archive Search」です。

 当面は米国の数社が対象になり、一部の記事は全文を読もうとするとお金を支払う必要があります。試しに「japan war」を入れてみましょう。冒頭に出てくる記事はニューヨークタイムズの東京発、1918年5月の記事「JAPAN'S WAR POLICY STANDS, SAYS GOTO; New Foreign Minister...」で第一次世界大戦末期、スキャンしたオリジナル記事全体が読めます。ちょっとは興奮して良いのでは。

 「進むリアル社会のインデックス化」は「ネットの情報は個人的には深いようで軽い。表面的な情報を整理するにはよいが、本当に深い情報はやっぱり紙でという流れは今でも大部分で変わらない気がする。だが、新聞をインデックス化されるとだいぶ変わる」「何気なく一言を記憶していて、検索すればその番組、雑誌、新聞などリアル社会での反響も検索できる。それは紙メディアでは考えられなかったことだ」と、率直に驚いています。

 「Google News Archive Search」は「米国の『知』に対する基本的な考え方が、垣間見えるようにおもう。[一部の権利者の利益]よりも[みんなが賢くなる]ことを選ぶお国柄だ。しかもビジネスとしても成立している。過去記事の検索結果で表示される広告の収益を、Googleと新聞社で分かち合うそうだ」「振り返ってこちらの国では、あいかわらずのフィジカル時代(アナログ時代)の著作権が、デジタル/ネット上でも、まかり通っている」と日米格差に目を向けます。

 この大波が数年も待たずに日本に来ないはずがないと思っています。ビジネスモデルとして確立するのなら、アルファベットと日本語全角文字の差など問題になりません。さて、国内の新聞各社に対応する、あるいは対抗する用意があるかです。


オーマイニュース終幕:市民メディアは無用か

 2年前に「新しい市民参加型メディア」を掲げて出発したオーマイニュースが7月末で20人の社員全員を解雇、9月から企業タイアップ型『Oh! MyLife』として再出発するようです。MyNewsJapanの「オーマイニュース、全社員に解雇通告『ニュース』の看板降ろす」が15日に詳しく伝え、ネット上ひと騒ぎになりました。やはり市民記者系のパブリックジャーナリストを掲げたライブドアPJも、2ちゃんねるウオッチャーが中身に呆れ見捨てる中、細々と続いている状況です。オーマイについてなら本家韓国でも以下のアクセス量グラフのように衰退しているので、あの韓国モデルも狂い咲きに近かったのです。


 前後して「ネット報道の質向上へ、『インターネット報道協会』設立」も報じられて、ジェイ・キャスト、オーマイニュース、市民記者系のJANJAN(日本インターネット新聞)など5社が横の連携を強化する方向に動き出します。「ネットを使った記者会見の開催」あたりが目を引きます。既成メディアの枠組に食い込めないミディメディアが、経営の論理で連合する様相でしょうか。

 オーマイニュースの理念を一度は信じたという「●オーマイニュースはなるようになったのか」は17日に新たにアナウンスされた原稿料「・スーパー市民記者:一律300円 ・市民記者:一律100円」設定に怒りの気持ちを隠していません。「はっきり言って、これでもなおガイドラインに沿った商品宣伝記事をわざわざ投稿する人は、俗に言う『アフィリエイト乞食』『ポイント乞食』どころではない」「『お人よし』を超えた『スーパーお人よし』としてウェブ上で『認定』され、末永く語り継がれてしまうことになりかねないのではないか」

 私は2年前にオーマイニュース開設早々でその限界を見極めました。しばらくして「大型市民記者メディアは無理と決した [ブログ時評65]」を書きました。ところが、末尾部分で「メディア各社は最近、ブログなどで読者、視聴者の声を聞く態勢を整えつつある。現状は読者サービス的な色彩が強いが、メディア水準を超えた市民の『知のピーク』を取り入れるべく、市民社会と対話する方向に自覚して進む時が来たと感じる。マスメディアが自分でしなければならないと、オーマイニュースの挫折は教えている」と論じたのに、予期したように進んでいません。マスメディアは相変わらず企業防衛に傾き、市民の声を取り入れて余計な火の粉はごめんだ、という姿勢です。毎日新聞のようにネット市民と激突する事態すら起きています。

 市民側の声はメディアとしてまとめて発信しなくとも、これだけ多数のブログやウェブがあるのですから日々に流れています。ところが、国内のブログには米国にある「保守」「リベラル」のような「ハブ」が出来ないのです。郵政解散総選挙の時には出来かけたのですが、争点だった郵政民営化のお粗末な実態が明らかになり、左右とも一気に白けてしまいました。だから、個人ごとに好きな場所をいくつか見つけて、そこを足がかりに有用な情報を探すことになります。勢い、盛り上がっているようでいて、散発的に騒ぎが起きているだけという様相になります。

 本当にこれで良いのかが問題です。私は、ブログ「ハブ」機能も持ちつつ、何のために書くのか、ジャーナリズムの意味を勉強し直して、取材や情報収集の訓練も積んだ次世代・市民メディアが生まれても良いと思い始めています。何も企業体である必要もなく、初めは小さなブログ連合体でも良いでしょう。かなり本格的なサーバーをポケットマネーで維持できる時代なのですから。


ネットの世界、1兆ページを突破!

 グーグルがgoogle Blogの"We knew the web was big..."で、7月25日、"1 trillion (as in 1,000,000,000,000) unique URLs on the web at once!"と発表しました。そうです、遂に1兆ページを突破です。

 この記事によると、グーグルが登場した1998年には2600万ページが既に存在、2000年には「one billion(10億)」へ、そして8年で1兆ページでした。1998年は私にとってもINTERNET WATCHでの連載を止めて、独立メールマガジンと独自ウェブを始めた年です。ネットの成長は本当にもの凄い勢いでしたね。現在でも毎日、数十億のページが生まれているとも伝えています。

 グーグルはこの膨大なページの相互リンク関係を記憶してページの重要度をはじき出し、検索結果を出力する順番を決めています。1兆とまでなると、言うは易くして、実際に行うのはとんでも無いことのように思えます。グーグルの記憶装置はハードディスクではなくキャッシュでしたよね。メモリー群がどんな風に実装されているのか、その巨大さが想像できかねますし、「a link graph with many trillions of connections」をどう管理すればよいのか、見当がつきかねます。最近、開設の「サイエンスネット.jp」に圧倒的に多く収集にやってくるのも「googlebot」ですし、グーグルを凌ぐ大変さを改めて感じます。


『ブログ通信簿』…お遊び程度の技術ですが

 NTTレゾナントが「『gooラボ』で、ブログ記事からブロガーの年齢や性別、ブログの影響度などを推定する『ブログ通信簿』の実験を開始」を発表しました。ブログを「主張度」「気楽度」「マメ度」「影響度」の4指標で5段階評価してくれる仕掛けです。ブログ通信簿がそのリンクです。

 文章表現からブログ主の性別や年齢を推定するプロフィール判定も付いています。「きっこのブログ」(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/)を入れてみると、「主張度2」「気楽度3」「マメ度5」「影響度5」で、プロフィールは「女性」「29歳」との推定です。「主張度2」は駄目という感じですね。色々な知っているブログで試すと分かりますが、まだお遊ぶ程度の技術でしょう。

 でも、早くもアクセスが殺到しているようで「しばらくの間、新しい通信簿の発行は1日1回(00:00-23:59)までとさせていただきます。同じ日に2回以上通信簿を作成しても、同じ通信簿が作成されます」とのお断りが出ています。最新のエントリー10回分を分析するので、どんどん点数は変わっていく仕組みです。お暇な方は自動判定のアルゴリズムをあぶり出すように内容を工夫してみるのも、面白いでしょう。


20年前の”幻ネット”復刻、復活

 メディアが作ったのに、全く痕跡なく消えてしまったために、ネット社会でもほとんど忘れ去られたパソコン通信ネットがあります。今年が20周年であるため、復刻、復活させてみようということになり、この2週間ほどその作業に多くの時間を取られてしまいました。そのネットとは「サイエンスネット.jp」です。興味があればどうぞ。

(このエントリーでは、コメントやトラックバックは受け付けません)

アクティブなブログ数は300万で頭打ち

 総務省の情報通信政策研究所が「ブログの実態に関する調査研究」を発表しました。国内上位20ブログサイトだけを対象にした調査である点で、昨年4月の「世界で最も多いのは日本語ブログ――Technorati調査」と違っています。テクノラティ社は日々に発信している日本語ブログそのものを把握していて、2600万件くらいとはじいています。情報通信政策研はこの1月段階で1690万件とし、このうち毎月更新しているアクティブなブログは308万としました。


 毎月、新規に開設されるブログは数年来40〜50万と変わっていないので、上のグラフ「国内のブログ総数の推移」のようにブログ数は増え続けています。しかし、一番下の曲線が示すアクティブなブログは2005年段階で頭打ちになり、300万でほとんど横ばいだといいます。ブログの数も記事数も増え続けている中で、この頭打ち傾向が何を意味するのか関心を引きますが、それ以上に分析できるデータは与えられていません。

 この調査ではブログ開設経験者アンケート調査も、調査会社の登録パネル2351人を対象に実施されています。ブログ開設の動機を問うていて、その結果から5つの類型に分類しています。最も多いのが「自己表現(30.9%)」で「自己表現、ストレス解消等の内面的な効用を重視」、ついでコミュニケーション重視の「コミュニティ(25.7%)」、自己の情報を整理・蓄積する「アーカイブ型(25.0%)」、少し離れて「収益目的(10.1%)」、さらに「社会貢献(8.4%)」の順です。社会貢献派は「自分の知識を発信して社会貢献することを重視」「『マネー・金融』『医療・介護』『地域』の割合が高い」「40代以上の割合が高い」との説明です。一方、自己表現派は若い世代が多いとも書かれていますが、開設動機の年代別分布が帯グラフになっていて、年代差はあまり無いことが読みとれます。


大学病院の医師って、実はとても暇だった?

(注=ここにあったエントリーは、まとめて何件もコメントを書いて没にされた方への警告です。他の方には関係ありませんから、ここではコメント類は受け付けませんし、エントリーは1日だけの公開に止めました。あれだけの情報があれば「is102.hosp.tohoku.ac.jp」管理者は個人端末に容易にたどり着けるでしょうから、Googleキャッシュが出来ていないことを確認したうえで非公開にしました。魚拓をとるような愚かなことをしている人がいれば、可哀想ですから潰してあげてくださいね。「素っ頓狂」なヒマ人が多いものです)

パソコンで見るハイビジョン最近の話題

 家庭に薄型大画面テレビが広まり、ハイビジョン番組(HD)が普通になりました。マシンパワーが上がり、光回線で大容量化したパソコンでもハイビジョンビデオが広く見られるようになったことは第155回「テレビ局独占から脱したHDビデオ番組」で紹介しました。そのハイビジョンビデオ、最近の話題を集めます。明日6/30に「ソニーの動画共有サイト「eyeVio」、HD動画の投稿・視聴に対応」が動き出します。ユーチューブに代表される動画共有サイトでも高精細化が始まるわけです。

 ちょっとHDの話題を求めて歩き回ってみると、2005年から市民のハイビジョンビデオ投稿を募っている「市民テレビ」で「自然界で生きると言うこと(巣立ちのドキュメンタリー)」という最新作に出会いました。アオゲラという小鳥の巣立ちを撮影しようとしたら、巣穴にヘビが侵入し、異変に気付いた親鳥を交えてハラハラするドラマの一部始終を収録しています。「焦点距離2100mm(35mm換算)のレンズで寄ってみた」だけのことがあり、親鳥や幼鳥の表情まで見えます。「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」も含めて、国内のアマチュア勢は新作を数多く出しています。

 アップルの「iTunes Store」で無料入手できるHDポッドキャストでも、相変わらず宇宙・自然・ニュースを中心にしたジャンルでハイビジョンビデオを楽しんでいます。NASAの火星探査機「フェニックス」着陸の実況、コントロールルームの盛り上がりぶりは納得でした。ハッブル宇宙望遠鏡による映像も見飽きません。このところ、「Earth-Touch.com | Wildlife HD video, Weekly highlights podcast」をよく見ています。世界中で撮影された旬の映像ハイライトです。今週はイワシの大群に襲いかかるイルカ、サメ、海鳥のシーンが印象的でした。

 「Apple - Movie Trailers」で見る映画予告編ハイビジョンでは、この夏公開の「Star Wars: the Clone Wars」をつい何度も見てしまいます。私のディスプレイは1600×1200なのでフルハイビジョンの横1920ピクセルは出せませんが、左右両端を切り落として得られる高精細感には唸ります。どうということもない内容の地上デジタルテレビなどに時間を取られたくないと思えます。


ネット大異変は1カ月で元へ収束?

 「大異変がネット上で5月中旬に発生!」「四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵(6/14追補)」で伝えた大異変現象がほぼ収束したようです。まずAlexaのグラフを掲示します。


 国内版のヤフーとグーグルの関係が最も劇的で対称形の推移を見せ、そっくり元に戻りました。激減の様子だったニコニコ動画も急回復の兆しです。世界スケールでも同じ動きがあり、下のグラフには一例としてニューヨークタイムズ紙を入れています。アマゾン、はてな、アサヒコムと合わせてよく似た動き方をしています。「魔法のiらんど tosp.co.jp」は大きくアクセス量を落としたので、回復基調にありながら遅れているようです。

 Alexaの統計グラフ上だけの動きなのか、実態を伴った物かは「6/14追補」でほぼ答えが出ています。マスメディアサイトがこの1カ月間、大きくアクセスを伸ばしました。「tanakanews.com」のような個人運営のニュース系サイトまで似通った変動があったようです。ただ、どうしてこんな事が世界スケールで起きるのかは、依然として謎です。


大異変、スラシュドットに。でも真相は難解

 ネット大異変の発見について12000人のメルマガ読者にご案内したので、昨日から私のドメインは大忙しになっています。さらに帰宅したら、ブログ側のアクセス件数が急伸していて、スラシュドット「四川大地震でYahoo! JAPANへのアクセスが下落、Google上昇」に取り上げられているのを知りました。まだコメントは付き始めたばかりですが、この異変はスラシュドットお得意な「アレゲ」なセンスで解読できるものではないような直感があります。

 日本語サイトという限定されたシーンで観察されやすかったにせよ、変動規模は世界的です。その点からしても原因が雑多な国内ニュースではなく、四川大地震が起点であると考えざるを得ません。ではどうして、この天変地異を契機に世界規模で多数の人々が娯楽的なアイテムを捨てて、ニュース的、実用的なアイテムに向かうのか――とても不思議です。

 私の記者歴では科学部記者が一番長いのです。その意味でまだサイエンスライターを名乗っています。そのセンスでこの事態を見るとまず思い起こすのが、木村資生さんの「中立進化説」です。ダーウィン進化論と違って、集団の中で突然変異は生存に有利、不利に関係なく偶然に起きて広まり、生物が変わる時にはどっと変わってしまう考え方です。当初は反発を受けた考えですが、分子生物学の進歩で証拠が揃い、現在では基軸になりました。

 遺伝学といま起きている社会現象は全く違うレベルですが、「どっと変わるときには変わる」この類似性が私には最もしっくりきます。普通の「アレゲ」センスで考察しても解けそうにない難問なので、敢えて、とんでもない見方を紹介しました。


四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵(6/14追補)

 先日の「大異変がネット上で5月中旬に発生!」は結果として、今回タイトルの通り「四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵」だったのですが、四川大地震という天変地異がインターネット視聴者の知的指向にどのような影響を与えたのか、興味深いものがあります。週末になって時間がとれたので、国内の主要なサイトについて探ってみました。人々の関心が四川地震を契機にニュース指向に大きく振れたと見られる中でも単純ではなく、改めてサイトの性格を見直す場合もありました。

 Alexaが公表している「日本のトップ100」が対象です。先日はトップ5のうちで別格の「YouTube」を除いた「ヤフー yahoo.co.jp」「FC2 fc2.com」「グーグル google.co.jp」「楽天 rakuten.co.jp」から見ました。今回もまず、この4サイトを並べ、続いてベスト10前後の「ミクシィ mixi.jp」「ライブドア livedoor.com」「ニコニコ動画 nicovideo.jp」「Goo辞書 goo.ne.jp」に47位の「ギャオ gyao.jp」のグラフを見ましょう。


 ライブドア、グーはポータルサイトとして、ミクシィも少し性格は違うもののニュース提供に力を入れ始めていたと聞きます。グーグルに同期してかなりプラスに振れたのは当然でしょう。逆に娯楽路線のニコニコ動画は惨憺たる結果です。著作権に問題がある動画を排除する措置が加わってさらに下げ幅を大きくしているのでしょうが、下がり始めは今回のネット大異変のスタートにあります。同じく娯楽路線のビデオ提供サイト、ギャオも明らかに大きな影響を受けています。グラフは出しませんが、同じビデオでもアダルト系が多い「dmm.co.jp」はなだらかな減少で済んでいます。

 さらに下のサイトを見ましょう。意外だったのは14位の「2ちゃんねる 2ch.net」で、わずかに下がって戻しました。いつも騒ぎすぎで大異変には客離れするのでしょうか。「アマゾン amazon.co.jp」はグーグルと同期している感じを強めます。「はてな hatena.ne.jp」の大きな伸びも注目ものでしょう。「価格.com kakaku.com」の増加はちょうと驚き。また、ずばり娯楽の「オリコン oricon.co.jp」は判りにくい乱高下になっています。


 ベスト100の中位から下位に位置する主要な全国紙サイトが、海外のニューヨークタイムズと並んで軒並み大幅なアクセス増加を示していることは、先日のグラフで出しました。これが放送局サイトになると様相が違います。次のグラフのように「TBS tbs.co.jp」は大きく下げていましたし、「NHK nhk.or.jp」は横ばいです。多分野解説の「All About Japan allabout.co.jp」とグルメ情報「ぐるなび gnavi.co.jp」という実用系サイトのアクセスが増えているのも面白いと思います。アマゾンや価格コムの増加と合わせると、遊びでない、実用的な知識に振れている気がします。その証拠に単なるおしゃべりが多い「魔法のiらんど tosp.co.jp」は激減です。


※追補=世界規模のネット巨人たちがどうなっているのかも、参考にグラフ化しました。同じ検索といってもグーグルは伸びて、ヤフーは失速、マイクロソフトのlive.comは横ばいです。ユーチューブは四川大地震の映像を多く流しましたから増加、なぜかマイスペースも伸ばしています。



 ※6/14追補=ネット運営側からアクセス増加の証言を見つけました。
 産経izaを運営する側のブログ「So what?」「改めて痛感するネットアクセスの非情さ 2008/06/12 08:00」 で「MSN産經ニュースが昨年10月にスタートしてから7カ月あまりは、最多PV記録はずっと、スタート月に亀田問題が起きた直後にマークした数字でした。それも、僅差ではなく、断トツの数字として“君臨”していたのです」「しかし、この5月、大きな変化がありました。四川大地震が起きた直後からアクセスが急増しました。連日、高い数字が並び、トップに迫る勢いでしたが、結局、最多の日もわずかの差で史上2位にとどまりました」と書かれています。これでAlexa側の何らかの操作が原因で、こう見えているだけとの可能性は無くなりました。


大異変がネット上で5月中旬に発生!

 国内のインターネット上で5月中旬、驚くべき大異変が観測されました。どうやら世界規模の変動で、あまり経験したことがないため、事態をどう解釈すべきか、確信が持てないところではありますが、まず「alexa.com」で観測された大手サイトのアクセス変動をグラフで見てください。上のグラフはトップに位置する巨人たち、yahoo.co.jp、fc2.com、google.co.jp、rakuten.co.jp、下は主要紙4社です。


 このalexaのグラフは、そのサイトにアクセスした実人数を反映していると考えられます。国内では断然トップのyahooに大きな陰りが差し、googleが倍増の勢いで駆け上りました。一方、ショッピング中心の楽天には何の影響もありません。インターネット利用者・視聴者の間に何が起きたのでしょう。事態を読み解く、ひとつの鍵は、主要4紙のサイトがそろって倍近い水準まで利用者を増やしている事実です。

 5月中旬のニュースで何があったか、と言えば中国の四川大地震を挙げざるを得ません。この巨大地震が人々の気持ちをニュース指向にさせたと考えざるを得ません。以下に、国内4紙にニューヨークタイムズ「NYTimes.com」を加えたグラフも示します。国内紙以上にアクセスが増えています。大ニュースに励起された人々の関心変化は長く続くのか、それも全く分かりません。本家「yahoo.com」と「google.com」の争いはグーグルが昨秋にヤフーを追い越し、今回の異変でさらに差を広げています。



※6/7の続報「四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵」で他の主要サイトの動きまで詳細に検討しています。是非ご覧下さい。


auの携帯電話でもYouTube視聴可能に

 ITmediaの22日付が伝えるホットニュース「auケータイでもYouTubeが視聴可能に──ドコモの対応機種も拡大」です。私はau派「W54T」だったので早速、試してみました。昨年の製品はほぼ視聴可能なようです。ただし、現状はで容量1.5MB以下の作品しか見られませんから、自ずと限界があります。よく見る音楽物などは無理です。

 動物・ペットなどをほんわかと見るのが一般的な使い方なのでしょうか。今日はチベットで竜巻が起きる現場を撮影というのもありました。画面はこぶりながら画質は結構、良好です。しかし、パケット料金は食いそうです。携帯がどんどん熱を持ち、通信している実感ありです。打ち切り料金制に入っていないと大変ですから、試す場合はご注意を。

 一方、ドコモ側は対応機種を900iシリーズ以降と703iシリーズ以降に拡大し、2MBまでの動画を再生するようです。それ以上のものは最初の2MBとなります。今後は、ドコモにしても、auにしても長編動画は分割して見られるようにしていくそうです。パソコンとの差がまた縮まった観あり。


ウェブログ図書館が休止して1年

 ブログの注目記事を書籍の図書館のように分類、展示してくれていたウェブログ図書館が更新されなくなって、つまり活動を休止してちょうど1年になりました。2005年初から2年半ほどの活動期間はブログの隆盛期と重なっており、収集されたエントリーには充実した作品が多く、いま読んでも面白いと思います。私がお勧めしている利用法は「第2次区分」からスタートして、各項に進むなり、第3次区分に降りるなりするものです。ばらばらなブログを個々に読むのと違い、テーマごとに束ねられているのが新鮮に映るでしょう。「070 ジャーナリズム 新聞」あたりでも開いてみてください。

 どうして休止になったのか、理由は知らないので、検索してみると館長さんのブログ「Weblog::moralaturgie」は健在でした。そこにあった「■図書館と図書館員に対する指摘(長文)」は休止後の昨年末に書かれています。「私が始めた『ウェブログ図書館』という試みは、狙いとしてウェブコンテンツ産出のファシリテーションを行ないたいという意図がある」「市販の書籍のように出来合いのコンテンツを貸し出すのではなく、(貸し出しという概念から離れて)コンテンツ産出に関与できるのがウェブ図書館の特徴といえる」。しかし「アルファブロガーの記事に素早く反応するとか(私もよくやった)、同業者の内輪ネタ的発言に盛り上がるとか、そのような形でのコンテンツ産出が多い。異質な人間のコンテンツ(脳みそ)をウェブコンテンツ(ブログなど)に再構成するといった、ファシリテーションに通じる流れは少ないように思うがどうか」とあり、不満はここかと思えました。

 つい最近、J-CASTニュースが「読んでもつまらない 『ブログ』はもう終わったのか 井上トシユキさんに聞く(上)」「ブログは基本スキルが学べる だからチャレンジしてほしい 井上トシユキさんに聞く(下)」のインタビュー記事を出しました。そこにこんな指摘があります。「『きっこ』によって日本のブログがゲリラメディアとして認められたかというと、そうでもない。結局、誰が書いているのかもわからないし、客観性、信憑性の担保がないからなんです。アメリカのトップブロガーは実名を出し、自分で取材や調査をしていますが、日本のブロガーは基本的に匿名での論評が多い。ご指摘の『きっこの日記』も匿名ですよね。偽メール事件、耐震偽装問題を取り上げ、イーホームズ社長とのやり取りも載せ話題になりましたが、よく考えてみると、どこまでホントなんだ、と」

 ウェブログ図書館が収集していた時期に優れた記事を書きながら、もう消えてしまったブログがいくつもあります。間違いなく数だけは増えているブログですが、内容豊かな方向に進んでいるのか、何とも判断が出来かねるところです。


NYTの苦戦、国内各紙も無縁でないはず

 メディア・パブの「NYTの新聞部数は下降続くが,WSJはマードック効果?で踏み止まる」を見て、ニューヨーク・タイムズの部数減少ぶりにはショックを受けました。3月末現在で、NYTは平日版新聞3位で107万部、前年同期比3.9%のマイナスです。あの有名な、超分厚い日曜版はもちろんトップですが、147万部で、何と9.2%ものマイナスと言います。平日版トップの「USA Today」228万部、2位の「Wall Street Journal」206万部が微増で踏みとどまっているのと対照的です。3月末の「米新聞協会,“新聞危機”の深刻さ示すデータを公表」も「全米新聞紙の2007年広告売上高は,前年比9.4%減の422億ドルと大幅に落ち込んだ」と伝えていました。

 国内にも日本ABC協会があって各紙の部数を調べていることになっていますが、その実態は押し紙問題とかで有名無実と言われます。政治の世界の動きを読み切れていないことを割り引いて読んでいただくとして、FACTAの「新聞ビジネス崩壊の『Xデー』〜消費税率引き上げが淘汰の引き金。経営体力が弱い『毎日』『産経』の命運は……。」に書かれていることはそんなに的外れではありません。広告の世界の趨勢なら「図録▽広告費の推移(対GDP比、媒体別)」で全体像がつかめるでしょう。新聞の転落とインターネットの上昇は、やがて交差する勢いです。

 ニューヨーク・タイムズは紙の編集部とネットの編集部を統合して運用するなど、紙の読者に比べて10倍近いネット読者にシフトした動きを始めています。問題はそれに見合うほどにはネット広告が取れないことです。国内各紙はまだ1000万部とか800万部とかの大部数を維持しているために切迫感が薄いのですが、この春から各紙ウェブサイトでちょっとした速報競争が始まりました。


ブログ訪問者は3527万人で6割はSNSも

 最近、ブログ利用の統計を見ないことに気付き、ブックマークして置いたビデオリサーチインタラクティブのサイトに行って来ました。2007年の数字はこの2月に発表されていて、「2007年1年間でのブログサイト訪問者数は約3,500万人」がメインです。さらに「2007年1年間でのSNSサイト訪問者数は約2,100万人」ではSNSや動画共有サイト利用者との重複がカウントされています。

 同社の2006年調査ではブログ訪問者は2752万人でしたから、1年で28%の伸びです。1年間にインターネットでウェブを見たネット・ユーザーの80%がブログも見たという推計がされています。ブログとSNS、動画共有サイトの3種サイト利用者の合計は3650万人と推定、そのほぼ半数が3種全てを使っているそうです。ブログだけという人は800万人にとどまります。ブログ利用の平均回数は224回、平均視聴ページ数は652ページだそうです。

 ブログの数の方は昨年4月にリリースされた「世界で最も多いのは日本語ブログ――Technorati調査」のデータが一番新しいものでしょう。世界でテクノラティ社が把握している7000万あるブログの37%が日本語ブログだそうですから、2600万件くらいあることになります。あれから1年間を経ていますので、どれくらい増えているでしょうか。世界規模では3500万が7000万に倍増するのに320日かかったそうです。


オーマイニュース、加護亜依告白で一息?

 じり貧状態だった市民記者サイト「Ohmy News オーマイニュース」が4月になって盛り返したと聞き、行ってみました。実験メディアプロジェクト「empro」で、元モーニング娘の「加護亜依、新たなるスタート」を6回、独占配信したのがヒットの原因だったようで、12日の最終インタビュー配信後に「Alexa」のアクセス実人数グラフは、ぱったりと落ちています。

 このグラフには韓国の本家「ohmynews.com」と、毎日十数万人がアクセスする「アキバBlog」も比較のために加えました。オーマイニュースのサーバーがアクセス集中で一時落ちたと聞きましたが、10万人くらいだったんですね。ご本家の凋落ぶりは、かつては韓国内で既成メディアと張り合ったことを思えば隔世の感ありです。贔屓にしてくれた前の大統領も去りました。

 オーマイニュースの活動本体は、立ち上がり初期の粗雑な印象が薄くなりました。読める記事も交じるようになったと言って良いでしょう。ただし、「●オーマイニュース日本版はメジャーになるか。」のように「はたして、これからメジャーなサイトになっていくのでしょうか。注目です」とは思えません。2005年夏に書いた「市民記者サイトは高い敷居を持つべし [ブログ時評30] 」の問題意識はなお有効だと思います。

 それよりも加護亜依さんが未成年でタバコを吸い、所属事務所から契約を解かれた事件について、マスメディアの報道姿勢がぶれたことを思い出さずにいられませんでした。少年法の精神に従えば「匿名のAが喫煙を理由に匿名の事務所Bから解雇された」と伝えるしかないのです。事実、そのように伝えたメディアもありましたが、冷静に考えると、そんな記事は伝える価値がないのです。読者に届いて判じ物になるようなら「没」が正解です。そこで”蛮勇”をふるって、この有名人の実名報道をしてしまったメディアも現れました。彼女が一連のインタビューの中で「リストカットまでした」と告白した過程に、報道がどうからんだかは分かりません。しかし、今になってみれば、やはり原則は守るべきだと考えています。


デジカメで出来るハイビジョン撮影の例

 アマチュアでもハイビジョン撮影してネット公開するようになっていると、家庭用ビデオカメラの進歩を紹介してきましたが、何と実売価格2万円台のデジカメでハイビジョン撮影が出来るようになりました。「ウェブ通リンク集」の初めにも出している「市民テレビ」で、No.1390「デジカメでハイビジョン動画を」を見てください。皇居・千鳥ケ淵と小石川・後楽園のいま盛りのサクラたっぷりの光景が、1280×720ピクセルのハイビジョン動画で映し出されます。デジカメらしく、撮影中にはズームが使えない制約はありますが、このビデオを見る限りは問題にはならない感じです。

 FX35というデジカメです。メーカーの「HD解像度動画撮影」にあるとおり、30コマ毎秒で1時間余りの撮影能力があるそうです。縦が1080ピクセルのフルハイビジョンとは精細度が違いますが、640×480のVGA動画とは明らかに次元が違う絵です。正直言って恐ろしい。

 国内マスメディアのサイトにもぼつぼつとハイビジョン動画が現れ始めたばかりです。例えば「動画ニュース」「『探訪』:イザ!」など。これでは機材の進歩と市民の行動力に置いて行かれる気がします。

 米国を見ると第155回「テレビ局独占から脱したHDビデオ番組」で紹介したように、「iTunes Store」にiPodでは視聴できない「HDポッドキャスト」の一群が現れ、そこに米ワシントンポスト紙が「HD Podcast washingtonpost.com」を開設しています。こちらは2月末で更新が止まっていますが、米大統領選を追いかけている「Plitical Lunch HD」は連日のように新しい番組を流して白熱です。


「ネットの知」入手には足掛かりが必要

 先日、20代の女性ライター達を相手にネット勉強会を開いてきました。テキストといっても簡単なもので、実質的には3月末まで月曜夕刊2面で1年間連載した「ウェブ通リンク集」のお話をしてきました。

 インターネットには膨大な知的資源が眠っていますが、こんなモノが欲しいと思う心が無ければ決して手に入りません。欲しいモノがはっきりすれば問題解決に近いのですと、最初に申し上げておき、ネットで何が出来るのか、手に入るのか考える「足掛かり」として、このリンク集を紹介しました。

 43項目しかないのでざっと一覧してください。例えば前半に「社会の動き 年表でたどる ……広告景気年表」と「気になる『未来』 集めて6000件超 ……未来年表」があります。いずれも広告業界の資料として生まれた存在で、前者は現代史・同時代史年表として貴重ですし、後者はマスメディアに登場した未来予測記事を達成年ごとに再編成し並べています。この対になる二つの年表があることを知るだけで、何かを知りたいイメージが膨らむはずです。

 ユーチューブなどの映像投稿サイト全盛の時代ですが、画像・映像資料にはもっと豊かなバリエーションがあります。実際に見てもらって最も驚かれていたのが、360度パノラマ写真の「panoramas.dk」でしたね。「DEATH VALLEY」でどこを見ても塩が噴き出した足下の大地から中空の月まで見渡し、次にヴェルサイユ宮殿の鏡の間で同じ事をすれば豪華な天井画が眼に飛び込んでくる仕掛けです。

 第155回「テレビ局独占から脱したHDビデオ番組」でも紹介したハイビジョンビデオ映像も初めてだったようです。ユーチューブくらいの荒れた映像しか知らないと、ネットからDVDを上回る高精細ビデオが下りてくるのはショックですよね。

 ところで、このブログのタイトル背景も「ウェブ通リンク集」から作ったものです。


読売新聞見出しは「ウィニー悪用 氏名開示」

 今年に入って読売新聞に「ネット叩き」の姿勢が鮮明になりました。警察庁の有識者会議「総合セキュリティ対策会議」はメディアの関心対象としては極めてマイナーな存在なのに、最近あまりに力が入っていると思ったら、3月27日夕刊でトップ記事として「ウィニー悪用 氏名開示 警察庁の有識者会議 著作権対策提言」を打ちました。これはかなりセンセーショナルですが、ウェブでは「『ウィニー』賠償請求仕組み作り提言…著作権侵害で警察庁」と、穏やかな表現だったので、ネット上では気づかれた人はわずかだったようです。

 「通信の秘密」を守る義務をプロバイダーは負っています。一方で、2002年に施行の「プロバイダー責任法」では権利侵害が明らかであれば氏名開示が言われているのにルールが明確でなく、実効性がなかったのです。両者の関係を整備するよう後押ししようとする動きを、さらに読売が後押ししている感じです。この少し前には「悪質利用者のネット接続を強制的に停止」の話も書かれていました。報道する側が望んでいるニュアンスでしたね。

 2月末から3月にかけての連載「ネット社会」は「YOMIURI ONLINE」で読めますから、興味があればご覧になってください。毎日新聞の「ネット君臨」とはまた違った、ひねくれ方です。最終回の「海外リポート 各国の現状と取り組み」の取り上げ方ひとつ見ても、ネット規制に誘導したいのだろうと意図が透けて見えます。「大西 宏のマーケティング・エッセンス」「読売は炎上しない?」も「読売新聞がネット社会の出来事を興味本位としか思えない取り上げ方をしていることが気になります。記事を書く能力の問題か、あるいはなんらかの法的規制を誘導するための意図を持って書いているのかと疑ってしまいますが、おそらくは、後者のほうではないでしょうか」と見立てています。

 今年はWinnyに限らず、何か、一騒ぎある年になりそうな予感がしています。


「ウィニーに大打撃」報道への反応は

 新聞なんか見なくてもネットで十分読める――と思われていたら間違っていますよ。まず、新聞が流した記事の多くても2、3割しかネットに現れないし、ネットに出ていても目立つところに表示されなければ見逃されてしまいます。後の例が今日25日の毎日朝刊「著作権法違反:地図データ不正公開・警官摘発 ウィニー捜査に影響大」でしょう。ネットに関心があれば、朝の社会面を見て最も気になったニュースの一つなのに、毎日さんのサイトを見ると「トップ > オッショイ!九州 > 社会 > 記事」ですから、九州ローカルという扱いなのでしょう。

 福岡県警が、著作権があるファイルをWinnyで不特定多数に入手可能にしたとして兵庫県警の男性巡査(31)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で摘発しました。この事件についての解説的観測記事と言うべきものです。これまでは違法に入手できるようにした最初のファイル提供者を摘発してきたのに、今回はそれを入手しただけの巡査を摘発したのです。巡査のパソコンにはダウンロードしたファイルのキャッシュ(一時保存ファイル)が残っていて、他の利用者が要求すればコピーされうる状態でした。それを捉えて公衆送信権の侵害とみなしたわけです。

 ウィニーは不特定多数のパソコン・ハードディスクを連結して膨大な記憶倉庫として使いますから、接続していればどんなキャッシュが来るかもしれません。それに著作権があるファイルが混じれば摘発対象になると言う話です。「今後、多くのウィニー利用者は摘発を恐れ、パソコンからキャッシュを消去するとみられる。すると、ウィニー上のデータが激減して魅力がなくなり、利用者は減る。結果、ウィニーに大打撃を加えることになりそうだ」と記事は希望的観測をします。【ネット取材班】の署名まであり、「ネット君臨」で名を売ったチームかとも思いましたが、どうも迫力不足です。

 「Winny完全終焉?『ダウンロード』で逮捕」は「合法ファイルをダウンロードしようと思って立ち上げていても、勝手に違法ファイルのキャッシュが貯まっていきます。この書類送検によって、Winnyは終焉の時を迎えたといえるのではないでしょうか」と本気で心配してます。

 「Winny、二次放流者も著作権法違反容疑に問われる模様」も「意図はないにしても、その構造を知っていたことで、責任を問われるということは、おそらく私はWinnyを使ってはいけない、ということなのだろうか。違法に共有されているファイルをダウンロードするわけではないが、少なくとも著作権侵害ファイルを中継しかねない、ということを理解している。それに関してはどのように判断されうるのだろうか」と思案顔。ただし、心配派はそう多くないようです。最近、ウィニー利用者は確実に増えているのですが、テクノラティの頻度グラフを見ても、いまウィニー利用の是非が話題にってなっている様子はありません。

 2ちゃんねる「【Winny】 警官、Winnyで著作権法違反…兵庫」での議論は事情が分かった人が多いせいか、収束しかねるよう。「自覚の有無は警察に引っ張られてから取調室で確認される事で、例え無自覚無罪だったとしても、令状持った警察が押しかけて来て押収され本人もパトカーで連れてかれたという事実は消えない。一人暮らしならまだいいが、自宅だったら引っ越しせなならんかもね」(739)とか、「こりゃまた無理筋な摘発だな」「流出したファイルの責任は一次放流主が一元的に負うってwinny正犯の判例無視か。多分流してる奴のIP辿って摘発してみたら単なるキャッシュ保持者だったから仕方なく書類送検→不起訴って事だろう」(754)とか。

 有罪判決まで行くのなら、確かに画期的な摘発例になります。それにしても、反応がこれくらいでは、この記事、ネットでは読まれていませんね。


新ブログをオープンします

 2004年末から続けた「ブログ時評」に代わる新しいブログ「Blog vs. Media 時評」(略称:BM時評)をオープンしました。この3年余り続けてきた社内外の枠組みから今春、自由になり、再スタートして伸び伸びと運営したいと考えています。スパムコメント類が増えて面倒になって来た事情もあり、対策がしやすい自前のドメイン「dandoweb.com」内に適当な落ち着き先を見つけました。

 国内マスメディアはネットとのつきあい方を学ぼうとし始めた段階です。まだまだ不慣れであるゆえの摩擦が起きます。先日も毎日「まいまいクラブ−記者の目・読者の目」の「在日コリアンが暮らすウトロ地区」で「炎上」事件を目撃しました。これは良く分かっているはずのサイト管理者の不手際まであったケースでした。

 ネットではブログの他に個人ニュースサイトなども大きな勢力になっています。そうしたネット勢と既存メディアの対峙、相克、協働……がどう展開していくか、1988年の「サイエンスネット」からもう20年、ネットに関わってきた新聞記者の目でウオッチしていきます。時には個人的な趣味の話も交えて、ブログらしくフランクにやっていきたいと思います。