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中国の鳥インフルエンザH7N9型流行が過去最大に

 2013年に中国で発生した鳥インフルエンザH7N9型のヒトへの流行が今シーズンは過去最大になっています。中国政府が15日に発表した第6週(2/6-2/12)の患者数が69例に達し、死者が8人でした。既に中国本土だけで370例を超える患者数であり、2013〜2014年シーズンの310例余を軽く上回りました。パンデミック、感染爆発の新型発生ポテンシャルを秘める中国だけに注目です。


 発表データをグラフにしました。今シーズンは週ごとの発生数が際立って大きく、2013〜2014年シーズンのピークが43例(2014年第4週)だったのに、年明け第1週に107例のピークを記録しました。1月の死者数が79人と発表されており、新たな8人を加えて何人になるのか不詳ですが、15日付のロイターによると国家衛生計画出産委員会は今シーズン累計死者数を100人としているようです。過去の1月の死者数は20〜31人だったので大幅に上回っています。

 鳥インフルエンザウイルスに大きな異変はなく、地域コミュニティの中で伝染していく力は獲得していないとされています。生きた鳥類からの感染が主なので、そうした鳥の市場に閉鎖が命じられました。しかし、上がっている症例報告の中には親子や同じ病院の入院患者同士の発生例があり、WHOでもヒト感染の可能性が否定できないと見ています。

 2013〜2014年シーズンについては同年3月の第414回「鳥インフルエンザ、終息せず散発発生を継続」で詳報しています。H7N9型は鳥にとっては高病原性ではなく感染しても死に至りませんから、生きた鳥は厄介です。鶏肉などを4度以下のチルド状態で流通させる方向が図られていたはずですが、実現していないようです。

 パンデミック、感染爆発に至る新型インフルエンザを生み出すのに中国南部は格好の条件を備えています。大量の豚と鳥と人間が一緒に住んでいる地域だからです。鳥インフルエンザの流行が散発的に起きていますが、今のところヒトとヒトの間で感染力があるウイルスは現れていません。ところが、豚は鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスのどちらにも感染でき、体内で遺伝子組み換えを起こして本格的なヒト・ヒト感染を起こせる新型インフルエンザを作り出す可能性があります。


外国人大量訪日で日本理解は確実に進んでいくはず

 2016年は海外から2400万人の訪日客を迎えました。経済効果や商売の話が優先されがちな話題ですが、日本理解が進んでいく指標として各国の人口当たりの訪日客比率を調べてみると新しい発見が見えてきます。訪日客数が急速に立ち上がった2013年から昨年まで4年間、各年の各国別人口比を計算して4年累計を出しました。香港62.5%、台湾55.0%、韓国29.7%、シンガポール21.4%が高率ベスト4であり、これだけ多くの国民が訪日してナマの日本理解が進まないはずがありません。一方で、大人口の中国が1.1%、米国が1.3%に達した点も見逃せません。また、英語・中国語と日本語を自在に通訳、持ち運べるスティック型のリアルタイム翻訳機「ili(イリー)」が6月からサービス開始と報じられ、日本理解で問題の言語の壁もやがて超えられそうです。


 観光庁が2016年の推計訪日客数を発表している主要国を中心に、アジアと欧米各国で人口当たりの訪日客比を計算しました。香港、台湾、韓国、シンガポールのベスト4に続くのがオーストラリア6.1%、タイ4.1%、マレーシア4.0%、カナダ2.5%、英国1.6%などです。

 4年間の累計には複数回、来日している人も含まれます。訪日外国人旅行者消費動向調査によると、これまでは初来日客は全体の2割とされていましたが、2016年には4割まで膨らみました。1%が訪日したとして初回は0.4%だけで2回以上は0.6%、重複訪日を省いて実質比率は3分の1の0.2%と推定すると「6掛け」くらいで見れば良いでしょうか。1.6%の英国以上の国は国民の1%以上に訪日経験があると考えられるでしょう。

 中国からは爆買いの中心だった高所得層が一巡して、日本の観光ビザ発給要件「年収25万人民元(約400万円)以上」ぎりぎりの層を狙った格安フリーツアー販売が出ているそうです。こうした層まで来日して日本の実情を見れば、依然として抗日映画・ドラマ漬けになっている中国国民意識に変化が現れるはずです。ただ、抗日映画好きはもっと貧しい層だとも言われます。

 年の始から従軍慰安婦問題で緊張関係にある韓国ですが、4年で29.7%の訪日累計はとても大きな数字です。どんなに少なく見積もっても10人に1人以上がナマで日本を見た経験があると考えられます。韓国メディアまで含めた過去の反日言論の積み重ねがあるので、SNSでも反日の声ばかりが目立ちますが、その中で訪日して喜んでいる書き込みを非難するケースにたびたび遭遇するようになっています。「親日は悪」と刷り込まれた韓国社会の基盤にひび割れを見る思いです。

 ソウル聯合ニュースの《韓国人の海外旅行先 一番人気は日本=旅行サイト調べ》は《満19歳以上の韓国人ユーザー1668人のうち、今年海外旅行の計画があると答えた人は92%だった。このうち、最も行きたい国・地域として日本を挙げた人が20%で最多を占め、次いで米国とタイ(各9%)、台湾とスペイン(各7%)の順だった》と伝えました。

 世界における日本語の特殊性は来日してもらい、ナマの日本を見てもらうにしても理解の壁になってきました。株式会社ログバーが開発した翻訳機「イリー」は《【速報】世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili」(イリー)」を公開、法人向けサービスを6月から開始》にあるデモンストレーション動画、続編の体験記事を見て大いなる可能性を感じます。

 取り敢えずは各種の窓口に置いて、外国人客がする質問を日本語に翻訳する用途が想定のようです。1本では片方向の通訳しかしませんが、2本持っていけば対話が可能になります。いずれ訪日客に貸し出して各地を回ってもらう方向に進むでしょう。

 《専用の管理ソフトで入出力言語を日本語、英語、中国語に切り替えることができる。英語圏からの顧客に加え、近年増加している中国語圏からの顧客にも対応可能。韓国語も2017夏頃に対応予定で、タイ語、スペイン語にもやがて対応する予定》なのです。どれくらい使えるシステムなのか、自分で試したい気分満々です。

 なお、1年前の第512回「訪日観光客、リピーター増で質の変化始まる」では主要7空港の出入国シェアなど変化の兆しを扱っているので参照して下さい。


英EU強硬離脱は議会阻止可能、米新政権は暴れ馬

 年明け早々、トランプ政権に移行の米国とEU強硬離脱表明の英国から大騒がせですが、全く違う先行きと考えるべきです。英国の無茶は議会に阻止させる伏線であり、米国のは無謀無展望の波乱時代幕開けと言うべきです。トランプ大統領が就任する前の発言は諸外国からは本意かどうか不明、あるいは手加減して受け止められていて、米国内外の自動車メーカーのトランプ発言への順応は商い人ゆえの過剰反応です。一方、英国のメイ首相表明は名分が立ってとても格好が良い半面、実行は無理です。首相が離脱には議会の承認を求めるとしただけでポンド急騰を生み出しました。

 昨年の第533回「永遠に言い出せぬEU離脱通告、現状凍結しかない英」で指摘したように、マイルドな離脱になるよう条件面で厄介な交渉をして2年の交渉期限を超えて破談になり、英国が裸でEUから放り出されるのが最も深刻な結果を生みます。日経新聞の《「開かれた英国」守れるか EUから強硬離脱へ》が伝えるように、《正味の交渉期間は1年半ほど。EU側の交渉責任者、欧州委員会のバルニエ首席交渉官は英側との最終合意の目標を「18年10月」としている。EUと英国の双方の議会の承認手続きに半年程度はかかるためだ》としたら、すっきり強硬離脱が良いのです。

 国民投票でEU離脱判断した民意に沿えますし、強硬離脱では例えば貿易協定を世界各国と離脱後に結び直さねばならず、金融機関が英国で許可を取ればEU域内で自由に営業できる制度が利用できなくなるなど経済的な打撃があまりに大きすぎると考える議会が実際には阻止してくれます。

 一方のトランプ氏、新政権の閣僚が米国議会の承認を得るために公聴会で述べている発言とはかけ離れたトーンでツイートしまくっています。20日の就任式以降はアメリカ大統領としての発言になるのに数日間で軟着陸できるのか疑問です。先日の記者会見を契機に大統領選挙からのマスメディアとの戦争が再開されましたし、自分の商売への外国からの利益供与が疑惑にならないか、ガードは著しく甘いと報じられています。


国にも原発事故責任、無原則な東電救済を許すな

 福島原発事故の対処費用が21.5兆円にも膨れ上がり、その7割は東京電力が負担する絵空事が閣議決定されました。疑問符を付けるしか能がない日本のメディアは、国にも原発事故責任がある事実を忘れたようです。事故後に東電が全ての費用負担をする枠組みが造られて国の責任が隠されました。今回も仕切りをしている経済産業省こそ無能な規制機関だった原子力安全・保安院を抱えていた「原発事故の戦犯」です。既に除染に直接の税金投入が始まり、将来は東電負担分が国民負担に転嫁されるのが必至なのに、「福島原発事故の責任は誰にも取らせない」との原子力ムラの総意が貫徹されている現実をマスメディアは看破すべきです。社会の木鐸として役に立たないこと夥しいと申し上げます。

 20日に出された東京電力改革・1F問題委員会の《東電改革提言(案)》から引用した資金繰り図です。総額22兆円あって閣議決定の21.5兆円が違うのは、除染に含まれている国負担の中間貯蔵施設費2兆円を1.6兆円に減額、さらに賠償金も7.9兆円に圧縮したからです。《廃炉は東京電力の改革努力で対応し》《賠償は、原発事故への対応に関する制度不備を反省しつつ、託送制度を活用した備え不足分の回収はするものの、託送料金の合理化等を同時に実施し、新電力への安価な電力提供を行う》《除染・中間貯蔵は、東京電力株式の売却益の拡大と国の予算措置によって対応する、ことから、今回の対応を全体で見れば、総じて電力料金の値上げとならない》と苦しい言い訳が付いています。

 東電負担15.9兆円が実現できると真面目に考えている官僚がいるとは思えません。除染の4兆円は政府が買った東電株1兆円を大幅に高く売れると想定したものだし、廃炉の8兆円は東電の事業合理化で生み出す「打ち出の小槌」があるとの説明になっています。出来ないことが目に見えており、将来、国民負担に転嫁されるでしょう。

 9月の第541回「東電破綻を救済なら福島原発事故の責任を明確に」でこう主張した全体状況は変わりません。

 《確かに事故は東電が起こしましたが、安全審査をして運転にゴーサインを出し、日常的にも運転・訓練の監督をしていたのは国です。また、事故後1年で書いた第300回「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」で具体的に挙げただけでも、するべきことさえしていれば事故の進展が食い止められる可能性がありました。その後、論点は増えています。誰にも責任を取らせないのが政府から原子力学会まで原子力ムラの総意でしたが、何兆円も新たに国民が持つなら国にも大きな責任があったと認めるべきです。それなら国民も理解するでしょうし、では過失の責任者は誰だったかが当然、問われます》

 ところが、メディアの反応が奇妙です。政府擁護が使命になっている読売新聞は《【社説】原発事故処理費 東電改革の実行力が問われる》で「未曽有の事故を完全に収束させるためには、資金の手当てなどで持続可能な仕組みとすることが何より重要だ」「有識者会議が指摘した改革の方向性は妥当である」と全く問題が無いとする姿勢です。

 朝日新聞は《東電へ3度目救済策 閣議決定》で《数千億円かかると見られる帰還困難区域の除染は「例外」だ。「まちづくり」の名目で復興予算を投じ、汚染者負担の原則を適用せず、東電に負担を求めない。山本公一環境相は20日、「避難された方の強い思いを受け止めての決定だ」と述べた。賠償でも、今回の新電力を巻き込んだ負担発生で、加害者が「無限」に責任を負う大原則は明確に崩れた。原発事故から来年で6年。責任の所在は、あいまいになるばかりだ》と憂うだけです。

 辛うじて毎日新聞が《帰還困難区域 除染に国費300億円投入…来年度予算計上》で《大阪市立大の除本理史(よけもと・まさふみ)教授(環境政策論)は「東電が負担すべき費用を国が肩代わりするのなら、国は原発事故の責任を認め、政策の転換や事故の検証を進めた上でないと理屈が通らない」と指摘する》との識者談話を盛り込んでいます。

 東電がもう負担に耐えられないとギブアップして始まった議論が、形だけさらに大きな負担を負わせて決着する――ジャーナリズムがこんな虚偽虚飾に加担してはいけません。正面から国の政策が行き詰まった点を問い質し、国の福島原発事故責任を明確にするよう求めるのがマスメディアの仕事です。


日本以上に非婚化・少子化が進むアジア工業国群

 貧乏人の子だくさんを続けるアフリカと一線を画し工業化を成し遂げたアジアは、追っていた日本以上の非婚化・少子化を抱え込みました。この秋学期に関西学院大で講義して国際学部生なのに知らないのに驚きました。BRICsは知っているのに、20世紀に目覚ましかった「アジア四小龍」を知らない学生が大半です。先進国化した大龍、日本を追った香港、シンガポール、韓国、台湾のことであり、今やタイやマレーシア、ベトナムなども工業化を進めています。人口問題はかなりの時間が経過しないと表面化しません。先日リリースした第544回「東アジア諸国の生産年齢人口が減少に転じる」はその非婚化・少子化の現れであり、講義で使った資料で諸国事情を解説しておきます。

 アジア諸国での非婚化がどう進んだか分かる一覧表をネット上で見つけました。各国女性「25-29歳」と「30-34歳」の未婚率を1990年、2000年、2010年で推移が見えます。脚注にあるように様々なデータを参照しなければ出来ない労作です。『図解でわかる ざっくりASEAN: 一体化を強める東南アジア諸国の“今”を知る』(秀和システム刊)から「図表2 ASEANなどの女性の未婚率」を引用です。台湾のデータが欠けていたので、別の資料から2009年分だけ補い、空欄になっていたマレーシアのところに挿入しました。

 国別に歩みが随分と違っています。シンガポールや香港は30-34歳層の未婚率が早くから2割前後に達していたのに韓国は20年間で急上昇しました。2010年前後の30-34歳未婚率は、アジア四小龍で香港36%、台湾35.9%、韓国29%、シンガポール25%であり日本34%を凌ぐほどです。タイではアジア四小龍を追うように未婚が増えていますが、インドネシアは一桁のままです。ベトナムも未婚率が高まっていません。インドネシア6%やベトナム8%の一桁状態は日本の1980年前後の姿です。

 この結果、2011年における合計特殊出生率は日本1.39に対してシンガポール1.24、韓国1.23、台湾1.16、香港1.09に低下、一人っ子政策に加えて工業化が進んだ中国・上海は0.89でした。人口を維持できる出生率を人口置換水準と呼び、若年死亡率で変動します。現在の日本の人口置換水準は「2.07」であり、衛生状態を考慮すると大雑把に「2.1」あれば長期的にその国の人口を保てると考えて下さい。アジア四小龍は遥かに下回っていますから急激な高齢化が起きつつあります。タイもそれを追います。

 そこでは生産年齢人口が減り、現役世代が支えなければならない高齢者人口が急増します。第544回「東アジア諸国の生産年齢人口が減少に転じる」に掲げた「アジアと欧米の老年人口指数推移」グラフはまさにそれを表しています。アジアでは欧米のような婚外子があまり存在せず、子育てが共稼ぎ家庭でも女性側に大きな負担になります。工業化で社会進出した女性が非婚化すれば少子化は必然です。一方で工業化できていないアフリカ諸国は人口増加を続け、今は2億人もいないナイジェリアが2050年には4億人を超えて米国を抜きインド、中国に次ぎます。

 アジア四小龍は1人当たりGDPが2万ドルを超えていて、それなりに富んだ社会を築いていますが、1万ドルにも達していない中国は生産年齢人口減少でアルゼンチンなどの挫折を招いた「中所得国の罠」に陥りつつあります。生産年齢人口減を補える技術革新のメドは立っていません。老いを支える年金制度にも問題があり、第482回「国家のエゴが歪ませた中国年金制度は大火薬庫」インターネットで読み解く!)で「中国メディアの報道では2030年ごろに制度崩壊しかねないとされますが、現状でもボロボロと申し上げて良いでしょう。このままなら都市部労働者の半分は無年金で老後を迎えるしかありませんし、農村部で新たに始まった年金制度は月額で千円もなく社会保障になりません」と指摘しました。