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日本列島を揺する地震軸エックス交差を地図に

 富士川河口断層帯の位置を産総研が特定したニュースを見て、日本列島を震撼させている地震の中心軸が二つである点を思い起こしました。エックスに交差している2大軸を一緒に見せる地図が無いので自ら作成しました。ひとつは西端で今回の熊本地震の震源になっている中央構造線で東の端は関東に至ります。もうひとつは東海地震や南海地震が心配されている南海トラフで、その延長が富士川河口断層帯で上陸して富士山の西を北上、長野県諏訪湖付近で中央構造線と交差し日本海に抜けます。グーグルマップ「中央構造線」の上に南海トラフなどのデータを書き込んだのが次の地図です。濃い青が中央構造線で空色は推定部分、南海トラフと延長は赤い線です。


 中央構造線から南側の陸地は、列島がまだ大陸の一部だったころ南方からプレートに乗ってやってきて元の列島北部と接合した部分です。その後、大陸の辺縁が割れ始めて列島が大陸から分離する際に、南海トラフと列島東側を南北に走る日本海溝とが強い力を及ぼして中央で折れた状態になりました。陥没したフォッサマグナ、大地溝帯の出現です。有名な糸魚川静岡構造線はその西側境界で、東側境界は新潟から東京東部・千葉に南下するラインにあります。

 産総研(2016/05/18)の《富士川河口断層帯の位置を陸・海で連続的(シームレス)に特定》はこう言います。

 《2013年に駿河湾北部沿岸域で地質・活断層調査を行い、沿岸部の陸域から海域にかけて連続的(シームレス)に富士川河口断層帯の地質構造を明らかにした。特に、富士川河口断層帯と駿河トラフは、雁行して配列する位置関係にあり、連続性があることが判明した》《富士川河口断層帯は、南海トラフで大地震が発生した場合に、連動して大きな被害をもたらす可能性がある》

 南海トラフの延長はフォッサマグナの境界ではなく中を走る形になっています。この付近の断層分布詳細をご覧になりたければ産総研の《起震断層・活動セグメント検索[GoogleMaps版] 》を見て下さい。延長が日本海に落ちた先は北上して日本海東部地震の震源域に繋がるようです。太平洋では南海トラフから中央構造線までの間には西から南海地震震源域や東南海地震震源域、さらには東海地震の推定震源域が連なっています。危惧されているのはこうした大地震が連鎖する事態です。

 こうして地図にしてみると日本列島の地震が連鎖しないわけがないと改めて思えます。第524回「熊本の大地震が関西にも地震を呼んだ観測結果」で熊本地震が関西地域に及ぼした観測結果を紹介しました。個々の地震について吟味しなくても地域として大づかみすれば見えるのです。地図で2大軸が交差した諏訪湖付近の地下は地表から見えないものの、折れ曲がりからして錯綜した構造になっているでしょう。南海トラフで巨大地震が起きる時には、平行している西日本の中央構造線だけでなく、交差している関東甲信越の部分にも響く可能性を考えたほうが良いと思います。


独裁志向は挫折するか、習政権の変調があちこち

 中国共産党と国家、軍の実権を一身に集めて独裁志向を強めている習近平主席に、スーパーマンぶりは無理と示す変調が伝えられています。経済が右肩上がりの成長期でなくなった今、独裁で万事さばくのは不可能です。ウォールストリートジャーナルの《中国、エコノミストの経済見通しにも圧力》は《政府当局は、経済についての公的な発言が政府の楽観的な声明とずれているコメンテーターたちに口頭での警告を発してきた》と報じています。さらには下がり続ける株価に苛立って主要証券会社などに株の売買を頻繁にしないように指令するなど、無理無茶を言わなければならなくなっています。


 上海株式総合指標の過去1年間チャートをヤフーファイナンスから引用しました。昨年6月の大暴落から何度もテコ入れをしても結局は下がり続け、当面の落とし所と目論んでいると言われる「3000」をも割り込んでいます。昨年7月の第490回「中国の無謀な株式市場介入に海外批判止まず」で指摘したように「市場に任せるしか無い」のに、全く逆方向に介入と統制一辺倒で進んできた結果です。

 国家主席が一人で笛を吹いていてもどうにもならないと示すのがダイヤモンドオンラインの《中国の公務員にサボり、無責任、非効率が横行する訳》です。商標登録証用の用紙がずっと届かないから国家商標局が業務を停止していたと言います。

 《国家商標局が7ヵ月間で一度も商標登録証を発行していないため、多くの企業がビジネスチャンスを失い、重大な損失を被っている》《商標局の用紙切れは去年8月からだが、今年1月になってようやく商標局は用紙サプライヤーの入札募集を行った。この4ヵ月以上にわたる空白期間について、政府からは何の説明もない》

 日経新聞の《中国版AKB、文革賛歌で“詐欺”騒動》が伝えた少女アイドルグループが「毛・習」礼賛を歌った騒ぎにも注目です。毛沢東が発動した文化大革命の惨状を経験した中国共産党は、二度と個人崇拝に陥らないよう集団指導体制を守ってきました。個人崇拝に踏み込もうとしているかのような習主席に「褒め殺し」を仕掛けた形跡が匂います。

 中国の財政相の懸念を伝える《エリート幹部も懸念する「中所得国の罠」》は経済実務家の問題意識が習主席指向の強権体制とかけ離れていると示しています。

 《楼財政部長が提起したのは、中国は今後5年から10年にわたって「中所得国の罠」からの脱却について真剣に考えざるをえない、という点である。しかも彼は、中国がその罠に陥る可能性は五分五分だとまで述べる。罠に陥らないためには労働市場を再び柔軟なものにし、知的財産権を保護し、土地の流動性や開放的な経済体制をとるべきだと言う》《楼部長はスピーチの最後に、2020年までの間にこうした任務が完了できなければ、「中所得国の罠」を乗り越えることはできない、と結んだ。そして感想として、債務が過大であること、もうひとつは、いまや社会の安定と改革の進捗とのバランスがきわめて苛酷な現実として浮き出ているとの認識を付け加える》

 1年前に読んだ《コラム:中国の習近平氏「独裁」阻む3つの壁》を思い出しました。《第1に、中国経済の構造的欠陥が足かせとなっている》《第2に、習氏の政治的地位は、見掛けほど強力ではない》とし《中国の社会構造や経済構造のシステム的な欠陥を考慮すれば、習氏が国家を動かしているのと同じぐらい、習氏が社会に動かされていることは明らかだ。もし習氏が党のルールと社会の安定を保ちたいなら、これらの問題すべてに対処しなくてはならない》と結びます。

 巨大になった中国こそ「神の見えざる手」に任せるべきであり、その市場を機能させるには自由な情報流通、言論の自由が不可欠です。しかし、第515回「中国の異様な言論統制、安全弁も根こそぎ圧殺」で示したように習近平政権になってからの4年間は全く逆行してきました。


ワイヤレスで騒音カットのヘッドフォンは絶品

 初代ウォークマンの頃からヘッドフォンやイヤフォンを持ち歩いて来て、決定版と思える製品に出会えた思いです。ワイヤレスで騒音カットできるヘッドフォンは交通機関や地下街でも音楽の細かな味わいに没入できます。ソニーの新製品で「MDR-100ABN」です。既に百時間以上、慣らし運転をしながら試して素性の良さが分かりました。接続コードが無いのは確かに快適ですし、流行のハイレゾを掲げてもいますから、色々な場面の使い勝手を報告してみます。


 購入したのは5色ある内の青系で、3万円くらいで入手できます。折りたためる構造で幅18センチ、奥行き15センチの携帯ケースが付いてきました。Bluetooth 4.0に対応したワイヤレスで、私の場合はタブレットに蓄えた224kbpsのMP3ファイルを主に聴いています。圧縮音楽ファイルの高音域を回復させる機構が常時ONになっており、結構効いている感じです。写真左下のケーブルでも接続可能です。本体が電池切れの場合にも使いますが、音質は鈍くなります。右側部の下に曲送りやボリュームの操作部が見えます。

 ノイズキャンセリング機能が付いたヘッドフォンを前々から狙っていたものの、ノイズ打ち消し作用から癖が出る製品が多くて試聴して気に入る製品に出会えませんでした。このヘッドフォンはエージングを済ませると音楽を楽しめる高い品質があります。最低で30時間は必要で、これで楽器には十分ですが、最初きつい感じがあるボーカルは100時間くらい経過しないと滑らかになりません。普通の振動系だけでなく電気系統まで含めたエージングが要るのでしょう。

 大阪・梅田の地下街はゴーという大きな騒音に人の話し声などが乗っている環境です。このヘッドフォンを着けると密閉型であるためにぐっと騒音が減ります。さらに電源をONにしてキャンセリング機能を効かせると、おやっと思うほど静かになり、普段は意識しない耳の底にあるシーンという耳鳴りが表に出ます。《音楽を聞いて仕事に集中に最強! ソニー「MDR-100ABN」》に詳しい解説や類似製品との比較があり、周辺の騒音状態に合わせて3つあるキャンセリングのモードを自動的に切り替えているようです。

 家庭のリビングルームなら誰かがテレビを見ていても、あまり気にならずにタブレットで音楽やWOWOWなどのビデオ・オン・ディマンドを楽しめます。10メートルまでは離れて使えますから、飲み物を取りに行く場合など装着したままです。パソコンのそばでキャンセリングONにしてみると、換気ファンの騒音が消えたのにびっくりでした。パソコンにUSBで繋いだパイオニアのDA変換ヘッドフォンアンプ「U-05」と有線接続でハイレゾ・ファイルを聴いています。『流行のハイレゾ再生、ソフト選択で音質劣化に』で問題にした音質劣化もきちんと確認できて、ハイレゾの性能も間違いないようです。

 ベルリン・フィルのデジタルコンサートホールがこの春からハイレゾ・ファイルのネット配信を始めています。パソコンのヘッドフォン端子に有線接続するだけで良質状態で聞けた点も報告しておきます。

 我が家のメインヘッドフォンであるゼンハイザー「HD800」ほど先鋭な表現力はありませんが、その分、聴きやすいと思います。密閉型らしい骨太な低音を持つのでジャズやポップス系はHD800よりも楽しい感じがあります。ずっと静かな環境で聞いている感じになるので音楽のボリュームを上げる必要を感じません。埋もれていた弱音の微妙さが聴き分けられ、ダイナミックレンジが十分に取れているからです。

 これまでは騒がしい地下街で音楽を聴くならイヤフォンを大きな音にしないとダメでした。このヘッドフォンを着けて自分だけ静かな環境にいて、クラッシクの器楽曲など細かい音楽表現を楽しんでいるのは不思議な感覚です。ただし問題もあります。周囲の人の気配が耳から感じられなくなるのでぶつからないよう注意して下さい。クルマが来る屋外は危険です。屋外だと風が強い日は風切音が気になりますが、川沿いの散歩道を歩きながらゆったり楽しむのはいいと思いました。


小学生にプログラミング必修、失敗必至の愚政策

 安倍首相は小学生から「プログラミング教育を必修化」と産業競争力会議で表明しました。教える人材を手当出来ない情勢から、街のパソコン教室以下とも言われる高校の必修科目「情報」の失敗を繰り返すのは必至です。「情報」はワードやエクセルなどを教えるだけの存在に成り下がったり、厄介者扱いで受験向け科目に振り替えられたりしています。2003年の必修化時にはそれなりの理想は掲げられていたのですが、情報専門の人材が高校に入ることはほとんど無く、教える先生の大半は数学などの教諭が夏休み3週間の講習会で免許取得認定を受けたのでした。今回も小中学校で同じことが起きると申し上げてはばからないのは、子どもの数が減っていく時期にぴたりと合致しているからです。


 18歳人口の推移グラフです。2003年の「情報」必修化はハイティーン人口が急速に減っていくタイミングで実施されました。高校側には新教科導入に即応する新しい人材を雇う余力など無かったのです。現在に至るまでも「情報」が専門の教員が採用される例はほとんどなく、他の教科の免許と併せ持つ先生ばかりです。そして、現在の中学3年生がグラフでどこに位置しているか、見てください。これから人口が減っていく入り口に立っていると知れます。

 安倍首相の表明を官邸19日の《産業競争力会議》から収録しましょう。《日本には、ITやロボットに慣れ親しんだ若い世代がいます。第四次産業革命の大波は、若者に『社会を変え、世界で活躍する』チャンスを与えるものです》《日本の若者には、第四次産業革命の時代を生き抜き、主導していってほしい。このため、初等中等教育からプログラミング教育を必修化します。一人一人の習熟度に合わせて学習を支援できるようITを徹底活用します》

 昨年末の第510回「米が小学校にコンピュータ科学導入は女子に効く」で米国がプログラミングを含むコンピュータ科学を教えるべく動き出したと伝えました。労働市場でプログラマーの需要に供給が追いつかない現状が背景にあります。こうした欧米の動きに刺激されたのでしょうが、日本と違って人口が増えていく米国なら子どもに教える人材を新規に雇うことも可能でしょうし、IT人材の質と量が日本に優っているのは明らかです。

 子どもが減っていく中で、現在でも学校教員の数は財務省の圧縮要請に文部科学省が激しく抵抗する状況です。安倍首相が言う十分なケアが出来るスタッフが小中学校に揃う可能性は限りなく小さいと思われます。

 日経の2014年《高校の「情報」科目、必修は名ばかり 簡単パソコン操作だけ》が《情報処理学会は8月、教員向けの講習を初めて開催し、指導力の改善に乗り出した》と伝えていますが、まさに焼け石に水としか言いようがありません。現状がまとめられているので紹介します。

 プログラミングは思いついたアイデアを数学上の手順に置き換えてコンピュータの処理として実現します。うまく作れればとても面白く、40年前に大学で希少だったディスク・オペレーティング・システム付きミニコンで対戦型麻雀ゲームを作って大学祭で遊んでもらった経験があります。隘路を突破していく発見の喜びを教えられれば子どもに刺激的な経験になるでしょうが、決まり切ったプログラミング手順を教えるだけの授業に止まるなら苦痛そのものです。長くウオッチしてきた立場からは人材・教材ともにかなり悲観的です。性急にプログラミング教育に走るより、2011年『日本人の4割はパソコン無縁:欧米と大きく乖離』で示したデジタル・ディバイド層を何とかする問題意識を持って欲しいところです。


熊本の大地震が関西にも地震を呼んだ観測結果

 震源域が東北方向にも拡大して不穏な様相の熊本地震、大学の地震観測ネットワークを参照すると遠く関西地域の地震にも影響していると分かります。地震が連鎖する構図が目で見られるケースなのでお伝えしておきます。


 この観測結果は《全国地震データ等利用系システム》のリンクを利用して、九州大と京都大の地震データにアクセス、「最近の地震活動マップ」を九州と関西、それぞれ拾ったものです。16日午後5時現在で、過去1週間分の九州地域と関西地域の地震発生状況を比較しました。

 下の発生グラフを見比べて下さい。関西地域は週半ばはしばらく平穏だったのに、14日夜の熊本地震「前震」に連動して地震発生が喚起されたと見て取れます。16日未明に熊本の「本震」が起きると再び活発になっています。

 熊本地震は《<熊本地震>異例の続発 九州の内陸部地震では過去100年で最大規模 被害甚大》で《16日発生したM7・3の地震は、熊本地震のM6・5を上回り、1995年の阪神大震災と同規模。気象庁は「14日以降の地震は前震で(今回が)本震と考えられる」との見方を示した。九州の内陸部での地震では過去100年で最大規模。同庁は「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」としている》と報じられています。

 広域さからかなり異例なケースとされますが、そう驚いてはいられません。狭い範囲で見ても、一つの地震で蓄えられていたエネルギーが開放されると、地盤の動きが周辺地域に歪として付加されることがあり得ます。1999年に書いた第75回「大地震に備える時が来ていないか」では、雲仙普賢岳の噴火をめぐり、さらに大きな地球規模で地震火山活動の連鎖に触れています。