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iPad登場目前、電子新聞など内外で動き急

 4月3日の米国発売が決まったアップルのタブレット型端末「iPad」。13日から先行予約が開始されて、「Apple iPadの初日販売総数は12万台? - 人気はWi-Fi版に集中」(マイコミジャーナル)という人気ぶりです。無線LANで記憶容量が少ないタイプが強いのですから、自宅やオフィスで専らメディアブラウザとして使うのでしょう。4月までに100万台規模の生産が進むようです。日本国内では4月下旬の発売です。

 「メディア・パブ」の「ソニーの電子書籍端末,17紙の電子新聞と5誌の電子雑誌が購入可能に」が、iPadに足下を脅かされかねないソニーの電子書籍リーダーが「これまでの電子書籍に加えて、17紙の電子新聞と5紙の電子雑誌もReader"! Storeから購入できる。今後、購読可能な電子新聞や電子雑誌を増やしていく」と伝えています。この分野では先行のアマゾン「キンドル」では月額27.99ドルで提供のニューヨークタイムズが、ソニー側では月額13.99ドルで出しています。他の新聞では9.99ドルが多数見られ、なかなかリーズナブルな値付けです。

 国内については1月に「新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈」で日経が月額4000円、デイリースポーツが1890円と伝えています。日経に至っては紙の新聞の販売に影響させないことを至上命題にしている観さえあります。月額1000円前後まで下がれば劇的な変化を起こす可能性があると思います。iPad側は米国でどう出るのか、日本国内ではどうするのか、注目です。

 「TechCrunch Japan」が「iPadの対抗機7種を見てみよう?甘美なインタフェイスだけがすべてじゃないぞ」で、既に発売済みやこれから出るタブレット型を集めて紹介しています。どれもグラフィックは美しいのですが、アップルとの決定的な差はアップルストアによるコンテンツ供給力の有無だということです。コードレスのメディアブラウザとして最初から色々な楽しみが出来ると期待されてこそ大きく売れるし、販売台数が大きくなれば参入するコンテンツ供給媒体も増えることになります。

 日経新聞が今週、《「iPad」に雑誌配信、「おとなの週末」など38誌》で「電通は講談社など有力出版社と組み、米アップルが4月下旬にも日本で発売する新型の携帯端末『iPad(アイパッド)』向けに雑誌38誌の記事を有料で配信するサービスを始める」と報じたように、国内も動いています。


クロマグロ禁輸で漁業と水産養殖を見直せ

 大西洋と地中海のクロマグロについて全面禁輸が話し合われるワシントン条約締約国会議が13日、カタール・ドーハで始まりました。この海域のクロマグロは8割を日本が消費しているのに、EUや米国など禁輸賛成派の勢いは強く、太平洋にまで影響してくると心配する水産関係者もいます。実はマグロだけに気を取られてはいけないことは、2006年の「世界規模での漁業崩壊が見えてきた」で指摘しました。漁業・養殖業の在り方を早急に見直すべきなのに、稲作・農業問題と同様に放置が続いています。

 マグロの漁獲量推移は「主なマグロの海域別漁獲量」で見ることが出来ます。焦点の高級魚クロマグロについては西大西洋での資源枯渇が著しく、1964年の1万8679トンが2007年には10分の1以下に減っています。クロマグロに並んで高級なミナミマグロは南半球に生息していますが、これも急速に漁獲が減っています。1961年のピーク8万トンが2007年には1万トン余りです。東大西洋のクロマグロはまだ余裕があり、1996年のピーク5万トンが2007年に3万トン余りです。

 「世界規模での漁業崩壊が見えてきた」で紹介した「スシが食べられなくなる 2048年までに世界の海産食品資源が消滅−新研究」から引用すると、「過去200年、沿岸の生物多様性は、汚染による水質悪化、有害藻・沿岸の洪水・殺魚の急増に伴い、急速に低下している」「海産食品資源についても、1950年に利用できたものの29%が2003年時点で失われており、残ったものも2048年までにはすべて消えてしまうだろう」という恐ろしい予測を国際研究チームが出しているのです。

 農水省の「農林水産基本データ集」を見れば、水産国日本と言いつつ漁業・養殖業が放置されてきたことが分かります。漁業総生産量は2008年の概数で559万トンで、ピークだったのは1984年の1282万トンです。養殖で主流の海面養殖は115万トンと、1994年のピーク134万トンに比べてかなり落ち込んでいます。マグロに関してなら「国際規制強化に間に合ったマグロ完全養殖」のように明るい展望がありますが、これも不可能とされた技術開発に近畿大がねばり強く挑んだおかげであり、国が強力にサポートしたものではありません。

 いま大学ではバイオ系大学院研究者の過剰感が目立っています。国内にバイオ系の企業が少なく就職先が無いのに、研究者養成の枠だけが大きいのです。少し目先を変えて、水産養殖業に本腰を入れる、柔軟な発想転換が出来ないものかと前々から思っています。


資源の限界を考えない中印鉄鋼業:新聞を読んで

 8日の各紙朝刊を読んでいて、とても気になった二つの関連記事を見つけました。日経新聞1面の「インド、20年粗鋼生産5倍2億トン 日韓勢含む10社で」と、朝日新聞経済面の「資源メジャーの鉄鉱石『高すぎ』中国鉄鋼業協会長がクギ差す」です。どちらもネット上には提供されていない記事ですが、2010年現在の世界を考える重要な視点を提供しています。

 日経の記事に付いているグラフはインドの大手鉄鋼10社粗鋼生産がこれから10年で5倍、年間2億トンに迫ると示しています。ところが、一緒に書いてある中国粗鋼生産は過去10年で1億トンが6億トン近くにもなっているのです。この10年間、米国も日本も1億トン前後のラインで終始し、むしろ最近の不況で頭打ちです。

 朝日の記事は、大幅な上昇が予想される2010年度の鉄鉱石価格交渉についてのインタビューです。中国鉄鋼業協会長が資源メジャーを「採掘コストが十数ドルの鉄鉱石を中国に百ドル超で売っている」と非難しているのですが、こんな市場原理を無視した発言が世界に通用するはずがないでしょう。10年5倍という、無茶苦茶な増産をしていたら、原料供給側の一方的な売り手市場にならない方がおかしいのです。供給側にだって設備投資の膨大さや、それに伴う将来へのリスクが頭にあるでしょう。中印の言うままに供給をし、もし倒れたら膨大化した設備・従業員とも一蓮托生ではかないません。

 限りある資源をどう使うのか、頭を冷やして考えねばならない時が既に来ていると思います。市場の自律的な抑制力はむしろ活用すべきです。私には、中国の粗鋼年間生産6億トンは途轍もない資源無駄遣いに見えます。

 【関連】インターネットで読み解く!「環境・資源」


地検特捜の捜査ここまで劣悪。東京も大阪も

  • 2010.03.06 Saturday
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 障害者向けの郵便料金優遇制度悪用に便宜を図ったとして起訴されている村木厚子元局長の裁判で、大阪地検特捜部の捜査がいかに劣悪か、笑い出したくなるほど明白になってきました。しかし、こんな面白いニュースに対してマスコミは出来るだけ踏み込まず、扱いを控えめに努めているように見えます。NHKにいたっては、ここでも地検の側に立って報道する姿勢です。東京地検特捜部の小沢政治資金疑惑事件といい、検察当局とマスメディアは「心中」するつもりなのでしょうか。これから国民から生じるリアクションの大き、深刻さを思うと愚かしさに唖然とします。

 村木元局長事件は、民主党の石井一議員が「凜の会」代表の倉沢被告を紹介したことから始まったというのが地検特捜部が描いたストーリーです。4日の公判に出廷した石井一議員はこれをありえない事実として根底から否定しました。ジャーナリストの江川紹子さんがツイッターで公判廷を「実況中継」しているのを《「この裁判は検察の倫理、検察の存在(意義)を問うている」(石井一議員)*村木元局長裁判の様子を江川紹子氏がツイート!》が記録しています。

 「今日の公判で弁護側証人として出廷した石井議員は、過去40年にわたって自分の予定と実際の行動について克明に手帳に記録している、と証言」倉沢被告と面会したとされる日は「午前7時頃に自宅を出て、1ラウンドプレーをし、風呂に入って着替えをして4時頃ゴルフ場を出たとのことです。その後は東京に戻り、赤坂の料理屋で議員や業界関係者との懇親会に直行」「捜査段階で大阪地検の前田検事の事情聴取を受けています。そのときも、2004年分の手帳を全部並べて『見ていただいて結構ですよ』と言ったのに、検事はあまり興味を示さず、パラパラを見ているくらいで、その日について詳しく聞かれることはなかった、とのこと」

 私が検察官を取材した経験からは、これが事実なら、もう勝負は「終わっています」ね。事実だったことを法廷で「証明」するために、検事だけでなく都道府県警の捜査官もどれほど細部を詰めていることか。それほど要るのかと思えるほど複数の関係者から証言を集め、補強するのが、捜査では当たり前の世界だったのです。特捜部の捜査がこの程度の思いこみで進行しているのなら、検事総長の首がいくつあっても足りないと思います。

 江川ツイッターの続きです。「検察官は石井議員の証言を崩そうと必死。一緒にゴルフに行った議員が、当日、国会の委員会に出ていたという議事録を突然出してきた。ところが石井議員、『いい所に目をつけられましたが、議事録には出席してもしなくても、メンバー全員の名前を載せるんです』」「さらに検察官、『その日はインのスタートで……』と言ったところで、弘中弁護士すかさず立ち上がり、『異議!』。それは証拠に出てないと。尋問が終わった後、弘中弁護士が再び立ち上がり、『インからスタートしたと分かっているのは、ゴルフ場に照会をしているんですよね。それを開示してください』とたんに検察官しどろもどろ」

 こうしたやり取りが法廷で取材したNHKの記者によると「石井一議員 検察側主張を否定」で「石井議員は『その日は、同僚の議員らと千葉のゴルフ場に行っており、議員会館には行っていない』と述べました。これに対し、検察官は、その日の国会の議事録を示して『同僚の議員が委員会に出席しているとの記載がある』と指摘し、石井議員は『ゴルフをいっしょにしたという自分の記憶にまちがいない』と反論しました」と変わってしまうんです。どういう記者トレーニングを受けてきたのでしょう。あるいは細部まで書いた記事をデスクが勝手に書き換えた可能性もあります。

 ブログには辛辣な声が溢れています。例えば「あえて記者クラブ存続論」は「検察とメディアが一緒になってブクブク沈没しているわけで、こうなってくると私はもう元凶と言われる記者クラブのオープン化問題なんてどうでもいいんじゃないかと思い始めた。むしろ、記者クラブを放置して晒しておいた方が問題点が浮き彫りになっていいのではないか」と主張します。

 東京地検特捜部の酷さとメディアの問題点は第199回「政治家とマスコミの愚、公認会計士が直言」「マスメディアによる『私刑』の様相すら」などで指摘したばかりです。